税務ニュース2024年11月08日 概算払の補助金は交付時に権利確定(2024年11月11日号・№1050) 審判所、補助金確定の通知があった日の事業年度に益金算入も
本件は、請求人が固定資産の取得価額から固定資産の取得に充てた国の補助金を直接減額するなどの経理処理を行って法人税等の申告をしたが、原処分庁は補助金は収益計上されておらず、益金に算入されていなかったとして法人税等の更正処分等を行ったもの。請求人は、補助金を補助・交付金勘定の貸方に計上することで益金の額に算入し、圧縮損を同勘定の借方に計上することで損金の額に算入しており、これらの額が同額となったことにより、結果として決算書上において同勘定は表示されないことになったものと主張した。
審判所は、請求人は補助・交付金勘定の貸方に計上された金額について貸借対照表又は損益計算書のいずれかの科目に振り替えるための仕訳を行っていなかったことからすれば、損益計算書の収益の額に補助金は含まれていないこととなり、補助金を益金の額に算入する申告調整も行われていなかったのであるから、補助金は、益金の額に算入されていたとはいえないとの判断を示した。しかし、補助金の益金算入時期については、原処分に誤りがあるとして一部取消しを行っている。
審判所は、法人税法22条4項の規定によれば、補助金等は、原則として、補助金等の交付決定がされた日の属する事業年度に収益計上すべきであるが、本件補助金は書類の審査や現地調査等により条件に適合しないと判断された場合は交付されないことからすれば、補助事業の実施結果が本件補助金の交付決定の内容及びこれに付した条件に適合すると認められ、本件補助金の額が確定した旨の通知があったときに収入すべき権利が確定すると認められるとし、通知があった日の属する事業年度において益金の額に算入されると解するのが相当であるとの見解を示した。ただし、概算払により交付を受けた補助金については、補助事業が実際に完了した部分に応じて交付されるものであり、払い過ぎによる返還を求められることはなく、書類の審査等により不備がなければ概算払をするとされていることからすれば、交付を受けたときに収入すべき権利が確定すると認められることから、実際に交付を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入されるのが相当とした。
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