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解説記事2024年12月09日 SCOPE 外国人旅行者向け免税制度、消費税は事後的に返金へ(2024年12月9日号・№1054)

システム改修等により実施までには1年半程度
外国人旅行者向け免税制度、消費税は事後的に返金へ


 インバウンドによる消費が拡大する一方で、多額・多量の免税購入物品が国外に持ち出されず国内での横流しが疑われる事例が多発している。また、出国時に免税購入物品を所持していない旅行者を捕捉し即時徴収を行っても、その多くが滞納となるなど、免税制度の不正利用が横行している。このような状況を踏まえ、令和7年度税制改正では、外国人旅行者向け免税制度について、課税で販売し、事後的に消費税相当額を返金する「リファンド方式」に制度を見直すこととなった。また、リファンド方式への見直しに伴い、免税販売に係る各種要件の見直しを行い、外国人旅行者の利便性や免税店の事務負担の軽減も図る。なお、リファンド方式への変更については、システム改修など、準備期間が必要であることから、実施までには法案成立後、1年から1年半程度かかるとされている。

購入から90日以内に持ち出し確認が必要

 外国人旅行者向け免税制度とは、税務署長の許可を受けた輸出物品販売場(免税店)を経営する事業者が、免税購入対象者(非居住者)に対し、免税対象物品(免税品)を一定の方法で販売する場合には、消費税が免除されるというもの。免税購入者は、出国時に税関へ旅券を提示しなければならないが、多額の不正を行おうとする者は、旅券提示を回避するなどにより、多くの者が税関検査を逃れているのが実態だ。特に税関や国税当局が捕捉し、検査を行った1億円以上の高額購入者のほとんどは、適正に国外へ持ち出されている事実が確認されず、消費税が賦課決定されているが、納税資金を持ち合わせていないとして滞納のまま出国しているという。
 令和7年度税制改正で導入されることとなるリファンド方式とは、課税で販売し、事後的に消費税相当額を返金するというもの。外国人旅行者はクレジットカード情報等の返金先を登録。出国の際に持ち出しを確認できた場合には自動でキャッシュレス返金又は空港で現金が返金される仕組みとなる(図表1参照)。制度の詳細が確定後、国税庁が免税販売管理システムの仕様を公表し、公表後に承認送信事業者(免税代行事業者)や免税店がシステム改修を行うことが見込まれている。このため、実施までには法案成立から1年から1年半程度要するとされている。

 そのほか、外国人旅行者は、免税店での購入から90日以内に税関の持ち出し確認を受けなければならないこととする(図表2参照)。購入した日から90日以内に持ち出しが確認できないときは、免税販売管理システムを通じて購入記録情報ごとに持ち出しが確認されなかった旨の情報が提供されることになり、免税販売が成立しないことになる。

一般物品と消耗品の区分を撤廃

 外国人旅行者の利便性や免税店の事務負担の簡素化の観点から免税販売要件を見直す。現行制度では、一般物品と消耗品の区分により、免税要件や包装方法が異なるが、一般物品と消耗品の区分を撤廃する。これに伴い消耗品の上限額も撤廃される。最近では、高額な酒類や化粧品等の販売が拡大しているが、消耗品は50万円との上限額があるため、免税販売ができないとの弊害が生じていた。また、購入までに時間がかかる特殊包装も不要とし、外国人旅行者の利便性を向上させる。
 加えて、免税店で販売する際の「通常生活の用に供するもの」であるか否かの判断を不要とする。現行では、免税購入対象者が事業用又は販売用として購入することが明らかであるものは免税対象外となるが、税務リスクを免税店が負っているため、免税販売を断るケースがあり、課題が指摘されていた。
免税品の別送の取扱いは速やかに廃止
 そのほか、税関で持ち出しが確認できず、消費税を賦課決定した者の半数以上が免税品を郵便局から別送していると抗弁している状況を踏まえ、免税品の別送を認める取扱いは、リファンド方式への見直しを待たずに速やかに廃止する。
 また、高級時計等のすり替え防止のため、税抜100万円以上の免税品については、シリアルナンバーやブランド名、型番号など、商品を特定するための情報を国税庁に提供する仕組みも導入するとしている。

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