税務ニュース2025年01月24日 税理士法人の仮装が請求人の行為と同視(2025年1月27日号・№1060) 審判所、実質経営者は総勘定元帳等を確認すれば仮装行為を容易に認識
本件は、請求人が税務調査を受けて法人税等の修正申告をしたが、原処分庁が重加算税の賦課決定処分を行ったため、請求人は仮装行為を行ったのは税理士法人の担当者であるとして原処分の全部の取消しを求めた事案である。
請求人は、税理士法人の担当者が行った仮装行為は、請求人のいわゆるみなし役員に該当する実質経営者の指示によるものではなく、請求人は税務調査が行われるまで知らなかったことから、仮装行為を請求人の行為と同視することはできないなどと主張した。
審判所は、納税者以外の者が隠蔽仮装行為を行った場合であっても、それが納税者本人の行為と同視することができるときには、形式的にそれが納税者自身の行為でないというだけで重加算税の賦課が許されないとすると、重加算税制度の趣旨及び目的を没却することになることから、納税者以外の者が隠蔽仮装行為を行った場合であっても、それが納税者本人の行為と同視できる場合には、納税者本人に対して重加算税を賦課することができると解するのが相当であるとした。
本件については、請求人のみなし役員に該当する実質経営者は、請求書作成、資金繰り表の作成、会計ソフトへの仕訳入力を行っており、各事業年度における請求人における売上先及び支払先のほか、預金や現金の入出金等の資金繰りについて十分に把握し、仕訳入力をできる程度の会計知識も有しており、請求人の帳簿書類をいつでも確認することができる状態であったとした。審判所は、実質経営者は税理士法人の担当者の仮装行為を認識していたか、仮に認識がなかったとしても、決算期末に近い時期に年間の所得金額を上回る多額の外注費が計上されていることからすると、総勘定元帳や決算報告書を確認すれば容易に認識することができたと指摘。その上で法定申告期限までに是正や過少申告防止の措置を講ずることなく確定申告書を提出したのであるから、税理士法人の担当者の仮装行為は実質経営者の行為と同視することができ、さらに請求人の行為とも同視することができるとの判断を示した。
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