税務ニュース2020年04月03日 退職社労士への移行料支払請求を容認(2020年4月6日号・№829) 東京高裁「支払合意は社労士法の趣旨に反しない」と判示
被控訴人(税理士法人)は、従業員であった控訴人(社会保険労務士)が退職するにあたり、被控訴人と労務管理顧問契約を締結している顧客を控訴人の顧客とするために、顧客との間の被控訴人の契約上の地位を控訴人に移転することとし、その対価として、控訴人が被控訴人に598万円を支払う旨の合意(本件支払合意)をしたと主張し、控訴人に対して、本件支払合意に基づく移行料の支払いを求めた。
原審は、被控訴人の請求を556万円の移行料として認容したところ、控訴人が請求全部の棄却を求めて控訴し、被控訴人が上記認容されたもののほか42万円の請求の認容を求めて附帯控訴した。
控訴審で控訴人は、①移行料の支払合意が成立していなかった、②支払合意が認められるとしても、民法34条ないし民法90条違反の無効原因があると主張した。
控訴審判決は上記①の争点について、「本件各移行会社の契約移行は、控訴人の独自の交渉によって行われたものではなく、被控訴人の承諾・協力のもとに行われたものであり、いわゆる暖簾分けであったと認めるのが相当である。したがって、本件面談時に、本件各移行会社の契約移行についても、被控訴人に了承されたと認められる。」「被控訴人においては、顧客の紹介を受けた場合、紹介者に顧問紹介料として1年分の報酬相当額を支払うとの認識を有していたことも考慮すると、移行の対価の支払もなく、被控訴人が本件各移行会社の契約移行を了承し、それに協力的な行動を取るとは考え難い。」「他方で、控訴人は、契約移行についての控訴人の上記方針を認識しており、被控訴人に対して顧客の契約移行を求められる立場にはないにもかかわらず、年間1969万円程度の顧問報酬が得られる顧客の契約移行を被控訴人に求めたのであるから、自らの開拓顧客ではない2社分について、移行料の支払いを申し出たとしても何ら不合理ではない。」などと判示して控訴人の主張を斥けた。
争点②については、原判決の判示に「本件支払合意は、被控訴人の一部門として行っていた社会保険労務業務を控訴人の開設する社会保険労務士事務所に移行することについての対価の支払合意であって、社会保険労務士法27条の趣旨に反するものとはいえないし、」を加える形で、やはり控訴人の主張を斥けている。
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