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税務ニュース2025年06月06日 地裁、所得の実質帰属主体は原告と判断(2025年6月9日号・№1077) 関連法人に金地金を購入させて消費税還付を受け、自身は納税せず

  • 東京地裁、所得の帰属が争われた事案で、旅館経営に係る所得は母ではなく原告に、金地金に係る所得も関連法人ではなく原告に帰属すると判断(令和7年5月27日判決)。

 本件は、原告(個人)の旅館経営に係る所得及び金地金取引に係る所得が、原告に帰属するかどうかが争われた事案である。
原告は、原告の母が亡くなるまで旅館経営に携わっていたとして、本件旅館に係る所得及び旅館に係る役務提供に係る対価は母に帰属すると主張していた。
 しかし東京地裁は、①かつて原告の母が取得していた本件旅館の旅館業及び飲食店営業の許可は、平成7年ないし平成8年以降は原告が取得するようになっていたこと、②平成23年頃から原告の母は本件旅館を経営するのは困難な状況にあったと推認されることなどを指摘。また、原告による売上金の管理の状況や、母名義の口座の利用状況などから、原告は自身が代表者であり実質的に支配しているT社の名義も利用しながら、本件旅館を実質的に事業主として経営していたと認定した。その上で、遅くとも平成27年1月1日以降、本件旅館から生ずる所得及びその役務提供に係る対価は、法律上(私法上)、原告に帰属していたと判断した。
 金地金取引については、原告が購入資金を出して、自身が代表を務める各関連法人に金地金を購入させた上で原告に引き渡させ、原告自身がそれを売却してその代金を収受していたと指摘。また、本件各関連法人が、金地金の購入代金を仕入税額控除の対象となる課税仕入れとすることによって、消費税等の還付を受けるための申告を行い、高額の消費税等の還付を受けていた一方で、原告自身は消費税の納付を行っていなかったと認定した。そして、これらの事実から、本件各金地金取引は、原告が、自らの資金を原資として、本件各関連法人名義で金地金を購入し、この金地金を専ら原告自身の計算において売却することによって差益を上げるのみならず、支配下に置いている本件各関連法人が本件各金地金取引に係る消費税等の還付を受けることができる仕組みを利用して、その還付金を得ることを目的としていたものと推認することができるとした。東京地裁は、このような一連の取引を全体としてみれば、金地金が本件各関連法人名義で購入されていたとしても、その売買を通じた実質的な収益の帰属主体は原告であったとして、本件各金地金取引のうち本件各関連法人名義でされていた部分についても、これに係る法的効果は全て原告に帰属すると結論づけている。

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