カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2025年06月09日 SCOPE 中小企業経営強化税制における経営規模拡大要件が明らかに(2025年6月9日号・№1077)

確認申請書様式も公表、6月2日より申請開始
中小企業経営強化税制における経営規模拡大要件が明らかに


 令和7年度税制改正では、中小企業経営強化税制の適用期限が2年延長されるとともに、B類型(収益力強化設備)の拡充枠として、売上高100億円超を目指す中小企業を対象に新たに建物が追加されている。経営規模拡大設備(E類型)とも呼ばれるものだが、経済産業省は令和7年5月30日、「中小企業等経営強化法施行規則第十六条第三項の規定に基づく経営の規模の拡大に著しく資するものとして経済産業大臣が定める要件等に関する告示」(経済産業省告示第85号)等を定めた。これにより適用を受けるための経営規模拡大要件が明らかとなった。例えば、投資規模が1億円以上又は売上高5%以上であることなどの詳細な要件が定められている。要件を満たすハードルは高いものの、税制措置の適用を受けることができればメリットも大きいものとなる。なお、併せて確認申請書の様式なども定められ、令和7年6月2日から施行されている。

投資規模は1億円以上又は売上高5%以上

 令和7年度税制改正により、中小企業経営強化税制の収益力強化設備(B類型)の拡充枠として、新たに建物が追加されることになった。具体的には、売上高100億円超を目指す投資計画が、経営規模拡大要件を満たすものである場合に、その計画に基づいて行う工場のラインや店舗等の生産性向上に係る設備投資について、B類型の対象資産に建物を追加するというもの。給与等の支給額を増加させるものでなければならず、①賃上げ率2.5%以上の計画の場合は、建物に対する特別償却15%又は税額控除1%、②賃上げ率5%以上の計画の場合は、建物に対する特別償却25%又は税額控除2%を適用できる。
 基本的な手続自体は既存のB類型と同様だが、基準年度(経営力向上計画の認定を申請する事業年度の直前の事業年度)の売上高が10億円超90億円未満である中小企業とされているほか、確認申請を受けるための要件が詳細に定まっている点で大きく異なる。今回、経営規模拡大要件が告示により明らかとなったため、令和7年6月2日よりB類型の拡充枠の申請が開始されることになった。
 具体的な要件は表のとおり。例えば、投資計画の実施期間が3年以上10年以下であることや、投資計画に売上高の増加のための取組及び設備投資の時期(ロードマップ)を示していることのほか、売上高100億円超を目指すための事業基盤、財務基盤及び組織基盤が整っていることなどの要件が定められている。また、投資計画に記載した経営規模に関する目標として、売上高が100億円を超えること及び年平均の売上高成長率が10%以上となることを目指していることが要件とされている。

【表】経営規模拡大要件

〇基準年度(経営力向上計画の認定を申請する事業年度の直前の事業年度)の売上高が10億円超90億円未満であること。
〇申請投資計画の実施期間が3年以上10年以下であること。
〇申請投資計画に記載した経営規模に関する目標について、①申請投資計画の実施期間内において、1事業年度の売上高が100億円を超えることを目指していること、②申請投資計画の実施期間内における年平均の売上高成長率が10%以上となることを目指していること。
〇申請投資計画に売上高の増加のための取組及び設備投資の時期を示していること。
〇経営に関する基盤(事業基盤、財務基盤、組織基盤)が次のいずれにも該当する事業者の策定した投資計画であること。
(1)事業基盤について、次のいずれにも該当すること。
 ① 申請投資計画に係る事業の方針及び当該事業に係る市場の選択に関する事項について、次に掲げる要件のいずれにも該当すること。
  ・事業に係る顧客及び市場を明確に設定していること。
  ・事業者が参入又は開拓をすることが可能な市場の規模が、当該事業者の一事業年度の売上高を100億円超に増加させるために十分な規模であること。
  ・当該事業に係る顧客が購入の意思決定を行う上で重視する事項を把握していること。
  ・事業の内容が、当該事業に係る顧客が意思決定を行う上で重視する事項に合致するものであること。
 ② 基準事業年度の直前の事業年度の売上高からその前事業年度の売上高を控除した値の前事業年度の売上高に対する割合及び基準事業年度の売上高からその前事業年度の売上高を控除した値の前事業年度の売上高に対する割合が正の値であること。
 ③ 基準事業年度の損益計算書上の営業利益が正の値であること。
(2)財務基盤について、次のいずれかに該当すること。
 ① 基準事業年度の貸借対照表上の純資産の額及び負債の額の合計額を貸借対照表上の純資産の額及び負債の額の合計額で除して得た値が100分の30以上であること。
 ② 基準事業年度の貸借対照表上の社債及び借入金の合計額から貸借対照表上の現金及び預貯金の合計額を控除して得た額を、基準事業年度の損益計算書上の営業利益の額に減価償却費の額を加えた額で除して得た値が10以内であること。
(3)組織基盤について、次のいずれにも該当すること。
 ① 債権及び債務に関する管理が適切に行われていること。
 ② 在庫管理が適切に行われていること。
 ③ 予算及び資金計画について適切に管理することができる体制が構築されていること。
 ④ 数値管理に対応するシステムや体制等が備わっていること。
 ⑤ 売上目標の設定が適切に行われていること。
 ⑥ 部門別による管理体制が構築されていること。
〇次の要件の全てを満たす設備投資を行うものであること。
 ① 導入予定の設備が売上高の増加に貢献するものであること。
 ② 申請投資計画に係る経営力向上計画につき計画認定を受けた日から2年以内に導入予定の設備の取得価額の合計額が、1億円又は基準事業年度の売上高の100分の5に相当する額のいずれか多い金額以上であること。
 ③ 生産性の向上に資する設備の導入に伴い建物及びその附属設備の新設又は増設をするものであること。
〇申請投資計画の実施期間において、雇用者給与等支給額を増加させることが明確に示されていること。
〇申請投資計画に記載された建物及びその附属設備を事業の用に供する事業年度の給与増加割合の目標が数値により定められており、かつ、その数値が100分の2.5以上であること。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索