税務ニュース2025年10月10日 切手類の非課税規定、趣旨と文理に乖離(2025年10月13日号・№1094) 税負担が累積した金券業者が訴訟提起、立法による解決が本筋との意見も
金券業者が郵便局から年賀はがきを仕入れ印刷業者に販売した後、印刷業者が年賀はがきに宛名を印刷して消費者に販売する取引を巡り、消費税に係る訴訟が発生した。
金券業者による郵便局からの年賀はがきの仕入れは、消費税法別表第二第4号イ(本件規定)に定める非課税取引に該当する。一方、本件規定は非課税の対象を「日本郵便株式会社が行う譲渡及び同社の営業所等一定の場所における譲渡」に限定しているため、金券業者から印刷業者に対する年賀はがきの販売は、少なくとも文理解釈上は非課税取引に該当しない。この点を理由とした消費税等の更正処分の適法性が現在東京地裁で争われている。
本件の審査請求で金券業者は、郵便局からの仕入れは非課税のため仕入税額控除の対象とならない一方、印刷業者への販売が課税取引とされると税負担の累積が生じることを問題視。その上で、本件規定(当時は別表第一第4号イ)の趣旨は、郵便切手類が郵便物の配達という役務提供の対価の支払いを表彰する金券にすぎず、郵便局等で譲渡が行われた段階では役務提供がされていないという点にあるところ、本件では、金券業者が郵便はがきを印刷業者に販売する段階では郵便物の配達という役務提供は行われていないから、同趣旨が当てはまると主張した。これに対し審判所は、本件規定は文理解釈から意味内容が明らかであり、金券業者が行う年賀はがきの譲渡は非課税取引に該当しないとした(令和6年1月23日関裁(諸)令和5第21号)。
本件規定が譲渡の主体・場所を限定している趣旨は、収集品としての郵便切手類の譲渡を非課税の範囲から除外するためとされる。すなわち、郵便切手類が収集品として譲渡される場合、譲渡後に郵便物の配達に用いることが予定されないため、譲渡の段階で課税すべきということだ。この趣旨に照らすと、最終的に消費者に年賀はがきとして販売される場合まで非課税の対象から除外するのは行き過ぎとの見方もある。
審判所は、文理上は非課税対象とならない以上、解釈論による救済の余地はないと考えたのだろう。文理解釈の結果として非課税の範囲が過剰に狭くなっているとすれば、立法による解決が本筋とも言えよう。
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