会社法ニュース2025年10月10日 有報虚偽記載巡り非名義株主の控訴棄却(2025年10月13日号・№1094) 東京高裁、名義株主ではない海外機関投資家らの損害賠償請求を認めず
本件は、海外機関投資家らが東芝に対して、東芝が公表した有価証券報告書等に虚偽記載等があったため、委託したカストディアン名義で取得した東芝株式の価額が下落して損害を被ったなどと主張して、金商法21条の2第1項等に基づく損害賠償を請求していた訴訟である。海外機関投資家らは、東芝株式を自己の名義では取得せず、委託したカストディアンの名義で取得していた非名義株主である。海外機関投資家らは、金商法21条の2第1項の「取得した者」には自己の振替口座簿に株式の増加記録を受けた名義株主に限られず、非名義株主も含まれると指摘して、有報等の虚偽記載等により生じた損害について金商法21条の2第1項等に基づく損害賠償請求をすることができる旨を主張していた。
これに対し東京地裁令和5年12月21日判決では、自己の振替口座簿に増加記録を受けた名義株主が「取得した者」(金商法21条の2①)に当たると解釈したうえで、本件に関して自己名義で東芝株式を取得していない非名義株主は自己の振替口座簿に増加記録を受けた名義株主ではないから「取得した者」には当たらず、非名義株主による金商法21条の2第1項に基づく損害賠償請求は認められないと判断したほか、非名義株主による不法行為に基づく損害賠償請求は認められないと判断した。なお、本判決では名義株主である海外機関投資家の損害賠償請求は一部認められている。
この地裁判決を不服とした非名義株主である海外機関投資家らは控訴を提起するなかで、非名義株主である海外機関投資家らは委託したカストディアン等の名義で東芝株式を取得(自らの資金を支出して自らの判断で東芝株式を取得)しており、東芝株式のいわゆる実質株主として自己決定権を侵害されたから、東芝に対する損害賠償請求権を取得する旨を主張していた。だが、この主張に対し東京高裁は、本件における非名義株主が「取得した者」(金商法21条の2①)と認められないと判断するほか、その非名義株主が損害賠償請求権を取得するものと認めることはできないと判断したうえで、控訴人である海外機関投資家らの控訴を棄却する判決を下している。
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