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解説記事2026年02月09日 未公開裁決事例紹介 改修工事の資本的支出は高額特定資産に該当(2026年2月9日号・№1110)

未公開裁決事例紹介
改修工事の資本的支出は高額特定資産に該当
審判所、居住用部分の仕入税額控除は不可


○建物の改修工事に係る資本的支出が高額特定資産に該当するか否か(消費税法30条10項が適用されるか否か)が争われた裁決(令和7年3月19日・高裁(諸)令6第10号)。審判所は、本件工事は一の取引に係るものとみるべきで複数の工事の集合体と見る余地はないと指摘し、一の取引の単位として1,000万円以上であるから高額特定資産に該当すると判断した。また、資本的支出は居住用賃貸建物にも該当することを前提に、居住用賃貸部分以外の部分として合理的に区分されている部分以外の部分は消費税法30条10項の適用により仕入税額控除は認められないと結論付けている(本誌1107号12頁参照)。

主  文

 審査請求をいずれも棄却する。

基礎事実等

(1)事案の概要
 本件は、宅地建物取引業を営む審査請求人(以下「請求人」という。)が、建物の資本的支出に係る消費税等を仕入税額控除の対象として確定申告をしたところ、原処分庁が、当該資本的支出に係る消費税等については消費税法第30条第10項の規定により、仕入税額控除の対象にならないとして、消費税等の更正処分等をしたのに対し、請求人が、高額特定資産に該当する部分はないとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。
(2)関係法令等
 関係法令等は、別紙のとおりである。
 なお、別紙で定義した略語については、以下、本文及び別表においても使用する。
(3)基礎事実及び審査請求に至る経緯
 当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 請求人は、××××××に設立された、主に宅地建物取引業を営む法人である。
ロ ××××××に所在する建物(以下「本件建物」という。)は1棟の建物であり、平成29年7月27日付で、種類を寄宿舎、構造を鉄筋コンクリート造陸屋根4階建、所有者を請求人とする表題登記及び平成29年8月14日付で、請求人を権利者とする所有権保存登記がなされている。
ハ 本件建物は、建物内壁により、正面から見て左右に区切られた構造となっており、請求人は、本件建物の構造又は用途によって呼称を変えているところ、本件建物の正面から見て左側の1階部分は用途が事業用であることから×××と、同2階から4階までの部分は用途が居住用であることから××××と、そして本件建物の正面から見て右側の2階から4階までの部分は用途が事業用であり、上記の×××部分と構造が異なることから××××とそれぞれ呼称を付している(以下、それぞれの部分を順に「×××」、「××××」、「×××」という。)
ニ 請求人は、令和3年12月20日付で××××××(以下「×××」という。)と要旨次のとおり、本件建物に係る工事請負契約(以下「本件工事請負契約」といい、本件工事請負契約に係る契約書を「本件工事請負契約書」、本件工事請負契約に基づき×××が施工した工事を「本件工事」という。)を締結した。
 (イ)契約金額:82,082,000円
 (ロ)施工予定日:令和3年12月20日から令和4年5月20日
 (ハ)工事名称及び金額:建物共通工事として15,700,000円、××××工事として30,000,000円、×××工事として9,000,000円及び×××工事として19,920,000円、消費税として7,462,000円、合計82,082,000円
 (ニ)入金日及び金額:1回目は令和3年12月20日に13,682,000円、2回目ないし6回目は令和4年1月20日、同年2月20日、同年3月20日、同年4月20日、同年5月20日にそれぞれ13,680,000円(本件工事請負契約書の備考欄に記載)
ホ 上記ニの(ハ)の本件工事請負契約書に記載された各工事名称は、本件工事における各工事箇所を示すものであり、建物共通工事とは、本件建物全体に係る工事、××××工事とは、上記ハの××××に係る工事、×××工事とは、上記ハの×××に係る工事、×××工事とは、上記ハの×××に係る工事である。
ヘ 請求人は、×××に対し、本件工事の代金として、おおむね本件工事請負契約書の備考欄に記載された日付、金額に分けて、合計82,082,000円を支払った。
ト 請求人は、令和4年5月31日付で、本件工事の代金のうち、50,260,354円を建物、20,188,541円を附属設備として令和3年10月1日から令和4年9月30日までの事業年度の総勘定元帳に別表1のとおり計上した(以下、上記のとおり計上した各金額の合計額に係る支出を「本件計上支出」という。)。そして、本件計上支出に係る部分は、本件建物の価値を高め、又は耐久性を増すこととなる部分に対応し、本件計上支出は本件建物に係る資本的支出(以下「本件資本的支出」という。)に該当する。
チ 請求人は、令和3年10月1日から令和4年9月30日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について、確定申告書に別表2の「確定申告」欄のとおり記載して法定申告期限までに申告した。
リ 原処分庁は、本件資本的支出に係る支払対価の額のうち、別表3の「原処分庁認定額」欄の金額について、消費税法第30条第10項の規定により仕入税額控除を適用できないとして、令和6年2月28日付で、別表2の「更正処分等」欄のとおり、本件課税期間の消費税等に係る更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。
ヌ 請求人は、これらの処分を不服として、令和6年5月13日に審査請求をした。

争点および主張

 本件資本的支出に係る消費税額について、消費税法第30条第10項の適用を受けるか否か。当事者の主張は、のとおり。

【表】争点についての主張

原処分庁 請求人
 次のとおり、本件資本的支出に係る消費税額は、消費税法第30条第10項の適用を受ける。
(1)本件資本的支出を含む本件工事は、本件建物を、居住用部分(××××)及び×××部分(×××及び×××)に改装し、賃貸するための工事であり、本件工事請負契約は、一つの請負契約として締結されていることから、本件工事は一つの取引である。
(2)そして、本件資本的支出の課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)は、10,000,000円以上であるから、本件資本的支出は、高額特定資産に該当する。
  他方、本件工事は、本件工事請負契約書において、××××工事、×××工事、×××工事及び建物共通工事に区分されているところ、本件資本的支出に係る工事のうち、××××工事、××××工事並びに建物共通工事のうち「附属設備(電気工事)」及び「附属設備(消防設備)」については、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかであり、居住用賃貸部分以外の部分として合理的に区分されていると判断される。
  したがって、消費税法第30条第10項の適用を受ける範囲は、本件資本的支出に係る支払対価の額から、上記の居住用賃貸部分以外の部分として合理的に区分されていると認められる部分に係る支払対価の額を除いた部分の消費税額となる。
 次のとおり、本件資本的支出に係る消費税額は、消費税法第30条第10項の適用を受けない。
(1)本件工事は、建物の改築・修繕工事である。改築・修繕工事における「一の取引の単位」は、新築工事と異なり、原則として法人税法上の勘定科目ごとに資産計上された額を基準とすべきであるが、契約の数や経理状況の形式だけを見るのではなく、納税者の真意としての実質的な資産計上額を合理的に読み取れる場合には、その額を基準とすべきである。
(2)本件資本的支出を含む本件工事は、次のとおり、実質的には独立した工事の集まりであり、それぞれの工事は10,000,000円に満たないことから、本件資本的支出は高額特定資産に該当しない。
 イ 本件工事は、建物の性質等によりその範囲が決定されたものではなく、請求人の意思により決定されたものであり、複数回に分けて行える工事を同時期に行ったにすぎない。
 ロ 本件工事の一部は、部分的に完成・引渡しも行われており、それぞれの工事は密接関連性がなかったといえる。
 ハ 本件工事に係る工事内訳書に記載された各工事は、その内容や施工場所が違っており、各工事を施工した施工業者も別々の業者であって、加えて本件工事請負契約書などの各エ事に分けられた詳細な記載を考慮すると、本件工事が内容の違う独立した各工事の集まりであることは明らかである。

審判所の判断

(1)法令解釈等
イ 消費税法第2条第1項第12号が、「課税仕入れ」とは、事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることをいう旨定義していることからすれば、課税仕入れとはこれらの個々の取引を指すものと解され、課税仕入れに該当するか否かの判定が個々の取引ごとに行われることは明らかである。
ロ 消費税法第30条第10項は、事業者が国内において行う居住用賃貸建物に係る課税仕入れの税額について仕入税額控除を適用しない旨規定するとともに、居住用賃貸建物について、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。)」以外の建物(高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産に該当するものに限る。)であることを要件としているため、課税仕入れの時点で住宅の貸付けの用に供するか否かが不明な建物についても、住宅の貸付けの用に供する可能性のあるものについては、原則として居住用賃貸建物に該当する。
ハ 消費税法基本通達12−2−5において、消費税法施行令第5条各号に規定する資産に係る資本的支出は、同条に規定する課税仕入れに係る支払対価の額に含まれ、当該資本的支出が調整対象固定資産に該当するかどうかは、同条各号に掲げる資産で一のものについて行う修理、改良等のために要した課税仕入れに係る支払対価の額によって判定する旨定められており、当該資本的支出についても、それ自体は当該資産の価値の一部を構成するものであるが、それに係る課税仕入れ等の税額については各課税期間において控除するとともに、その額を当該資産の取得価額に加算せず、資本的支出自体で独立した一の資産として調整対象固定資産に該当するかどうかを判定することとなる。そして、消費税法において、資本的支出を独立した一の資産として取り扱うのは、仕入税額控除の仕組みに基因するものであり、かかる取扱いは当審判所においても相当であると認められる。
(2)認定事実
 請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 本件工事請負契約書には、特定の工事ごとに、引き渡し、支払義務が生じるとの文言は記載されていない。
ロ ××××工事は、複数の部屋を住宅用として賃貸するための改装工事であり、各部屋において入居者が居住の用に供するために必要なシステムバス、洋便器、洗面台、キッチンなどの設備の設置を含むものである。他方、×××工事及び×××工事は、××××工事とは異なり、居住用の設備を設置する工事を含まない改装工事であり、本件建物全体に係る工事でもない。
(3)検討
イ 本件資本的支出について
 本件計上支出の金額の適否及び本件資本的支出が課税仕入れの対象となる資産であることについては、請求人、原処分庁とも争わず、当審判所においてもこれを不相当とする理由はないから、以下、本件資本的支出に係る消費税額について、消費税法第30条第10項の適用を受けるか否かについて検討する。
 (イ)本件工事について
 上記(2)のイのとおり、本件工事請負契約書には、特定の工事ごとに、引き渡し、支払義務が生じる旨の文言などの記載はなく、上記基礎事実等の(3)のニの(ニ)及びへのとおり、契約金額について、令和3年12月以降、毎月20日の6分割で決済することのみが記載され、おおむねそのとおりに決済されていることからすると、本件工事は、本件工事請負契約書に記載のとおり履行されたものと認められる。
 したがって、本件工事は、本件工事請負契約書に記載された内容のとおり一の取引に係るものとみるべきであるから、これを複数の工事の集合体と見る余地はない。
 (ロ)本件資本的支出が高額特定資産に該当するか否かについて
 上記(1)のハのとおり、資本的支出は消費税法施行令第5条に規定する「課税仕入れに係る支払対価の額」に含まれ、また、調整対象固定資産に該当するかどうかは「同条各号に掲げる資産で一のものについて行う修理、改良等のために要した課税仕入れに係る支払対価の額によって判定」し、本件資本的支出は同条第1号に掲げる資産に該当するところ、上記(イ)のとおり、本件工事は複数の工事の集合体ではなく一の取引に係るものであり、本件建物という一のものについて行う修理、改良等のために要したものと認められることから、本件資本的支出は一の資産として、これに係る支払対価の額の合計額によって、調整対象固定資産に該当するかどうかを判定することとなる。
 そうすると、本件資本的支出の金額、すなわち本件計上支出の金額は、別表1の「金額」欄の合計額70,448,895円であり、一の取引の単位として1,000,000円以上のものであることから、本件資本的支出は、消費税法施行令第5条第1号に規定する「建物及びその附属設備」として、調整対象固定資産に該当することとなり、かつ、消費税法施行令第25条の5に規定する、一の取引の単位が10,000,000円以上の調整対象固定資産に該当する。
 したがって、本件資本的支出は、消費税法第12条の4第1項に規定する高額特定資産に該当すると認められる。
 (ハ)本件資本的支出が居住用賃貸建物に該当するか否かについて
  上記(2)のロのとおり、本件工事には、居住の用に供すると認められる工事箇所が含まれていることから、本件建物が、消費税法第30条第10項に規定する住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物に該当することは明らかであり、また、本件資本的支出が高額特定資産に該当することは、上記(ロ)のとおりである。
 したがって、本件資本的支出は、消費税法第30条第10項に規定する居住用賃貸建物に該当すると認められる。
ロ 本件資本的支出のうち仕入税額控除の対象外となる範囲について
 上記イの(ハ)のとおり、本件資本的支出は、消費税法第30条第10項に規定する居住用賃貸建物に該当する。
 ところで、消費税法施行令第50条の2第1項は、事業者が居住用賃貸建物を住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分と居住用賃貸部分とに合理的に区分している場合には、居住用賃貸部分についてのみ仕入税額控除を適用しない旨規定している。
 これを本件についてみると、上記基礎事実等の(3)のハ、ニの(ハ)及びホのとおり、本件建物は、構造上、××××部分、×××部分及び×××部分に分かれているところ、本件工事に係る金額は本件建物の各部分別に積算されており、同トのとおり、請求人は、総勘定元帳の建物及び附属設備勘定に上記の各部分別の工事ごとに名称を付し各工事に係る金額を計上していることがそれぞれ認められる。
 そして、上記(2)のロのとおり、×××工事及び×××工事には、居住の用に供する工事箇所がなく、本件建物全体に係る工事箇所も含まれていないことからすれば、×××工事及び×××工事は住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分に係る工事と認められる。
 そうすると、本件計上支出は、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分(×××及び×××)とそれ以外の部分(××××及び建物共通)とに合理的に区分されていると認められる。
 したがって、本件資本的支出において仕入税額控除の対象外となる居住用賃貸部分の範囲は、本件資本的支出のうち、×××及び×××を除く部分、すなわち××××及び建物共通に係る部分となる。
 なお、本件資本的支出における居住用賃貸部分に係る支払対価の額は、別表3の「審判所認定額」欄のとおりである。
ハ 小括
 上記イのとおり本件資本的支出は、居住用賃貸建物に該当し、上記ロのとおり本件において仕入税額控除の対象外となる居住用賃貸部分の範囲は、本件資本的支出のうち、××××及び建物共通に係る部分であり、当該部分に係る課税仕入れの消費税額は、居住用賃貸部分に係る消費税額として、消費税法第30条第10項の適用を受ける。
(4)請求人の主張について
 請求人は、本件資本的支出に係る工事は、①複数回に分けて行える工事を同時期に行ったにすぎず、②部分的に完成・引渡しも行われており、③各工事を施工した施工業者も別々の業者であって、本件工事が内容の違う独立した各工事の集まりであることは明らかである旨主張する。
 しかしながら、本件工事請負契約書に請求人が主張するような特約の記載はなく、また、請求人から上記主張に係る客観的な証拠の提示はない。そして、当審判所の調査によっても、請求人の主張を裏付ける証拠は認められず、上記(3)のイの(イ)のとおり、本件工事は一の取引に係るものと認められる。
 したがって、請求人の主張には理由がない。
(5)本件更正処分の適法性について
 上記(3)のロのとおり、本件資本的支出における居住用賃貸部分に係る支払対価の額は、別表3の「審判所認定額」欄のとおりであり、これに基づき算出した請求人の本件課税期間の消費税等の課税標準額及び納付すべき税額は、別表4の「審判所認定額」欄のとおりとなり、納付すべき税額は本件更正処分の額を上回ることとなる。
 また、本件更正処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
 したがって、本件更正処分は適法である。
(6)本件賦課決定処分の適法性について
 上記(5)のとおり、本件更正処分は適法であり、また、本件更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が本件更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの)第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。
 そして、当審判所においても、請求人の本件課税期間の消費税等に係る過少申告加算税の額は、本件賦課決定処分における金額と同額であると認められる。
 したがって、本件賦課決定処分は適法である。
(7)結論
 よって、審査請求は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり裁決する。

別紙

 関係法令等

1 消費税法第2条《定義》第1項第12号は、課税仕入れとは、事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることをいう旨定義し、また同項第16号は、調整対象固定資産とは、建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産でその価額が少額でないものとして政令で定めるものをいう旨規定している。
2 消費税法第12条の4《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》第1項は、事業者が、同法第37条《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》第1項の規定の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産(棚卸資産及び調整対象固定資産のうち、その価額が高額なものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)の課税仕入れを行った場合には、当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間における課税資産の譲渡等については、同法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第1項本文の規定は、適用しない旨規定している。
3 消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項柱書及び同項第1号は、事業者が、国内において行う課税仕入れについては、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額の合計額(以下「控除対象仕入税額」という。)を控除する旨規定し(以下、この規定に基づく控除を「仕入税額控除」という。)、同条第10項は、同条第1項の規定は、事業者が国内において行う同法別表第二第13号に掲げる住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。)以外の建物(同法第12条の4第1項に規定する高額特定資産又は同条第2項に規定する調整対象自己建設高額資産に該当するものに限る。以下「居住用賃貸建物」という。)に係る課税仕入れの税額については、適用しない旨規定している。
4 消費税法施行令第5条《調整対象固定資産の範囲》は、消費税法第2条第1項第16号に規定する政令で定めるものとして、棚卸資産以外の資産で消費税法施行令第5条第1号から同条第11号までに掲げるもののうち、当該資産に係る消費税法第30条第8項第1号ニに規定する課税仕入れに係る支払対価の額の110分の100に相当する金額が、一の取引の単位(通常一組又は一式をもって取引の単位とされるものにあっては、一組又は一式)につき1,000,000円以上のものとする旨規定しており、このうち消費税法施行令第5条第1号は、建物及びその附属設備(暖冷房設備、照明設備、通風設備、昇降機その他建物に附属する設備をいう。)を掲げている。
5 消費税法施行令第25条の5《高額特定資産の範囲等》第1項は、消費税法第12条の4第1項に規定する政令で定めるものとして、消費税法施行令第25条の5第1項第1号及び同項第2号に掲げる棚卸資産及び調整対象固定資産の区分に応じ、当該各号に定める金額が10,000,000円以上のものとする旨規定し、同項第1号は、同項第2号に掲げる自己建設資産に該当するものを除き、当該調整対象固定資産の一の取引の単位(通常一組又は一式をもって取引の単位とされるものにあっては、一組又は一式)に係る課税仕入れに係る支払対価の額(消費税法第30条第8項第1号ニに規定する課税仕入れに係る支払対価の額をいう。)の110分の100に相当する金額である旨掲げている。
6 消費税法施行令第50条の2《仕入れに係る消費税額の控除の対象外となる居住用賃貸建物の範囲》第1項は、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分がある居住用賃貸建物について消費税法第30条第10項の規定の適用を受けることとなる事業者が、当該居住用賃貸建物をその構造及び設備の状況その他の状況により当該部分とそれ以外の部分(以下「居住用賃貸部分」という。)とに合理的に区分しているときは、当該居住用賃貸部分に係る課税仕入れの税額についてのみ、同項の規定を適用する旨規定している。
7 消費税法基本通達12−2−5《調整対象固定資産に係る資本的支出》は、消費税法施行令第5条各号に規定する資産に係る資本的支出は、同条に規定する「課税仕入れに係る支払対価の額」に含まれ、その資本的支出とされる課税仕入れに係る支払対価の額の110分の100に相当する金額が1,000,000円以上であるかどうかは、同条各号に掲げる資産で一のものについて行う修理、改良等のために要した課税仕入れに係る支払対価の額(その一のものについて行う修理、改良等が2以上の課税期間にわたって行われるときは、課税期間ごとに要した課税仕入れに係る支払対価の額とする。)によって判定する旨定めている。

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