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解説記事2026年02月09日 SCOPE 金融資産の消滅範囲を明確化、SPC貸付金保有者も対象に(2026年2月9日号・№1110)

2027年4月1日から適用へ
金融資産の消滅範囲を明確化、SPC貸付金保有者も対象に


 企業会計基準委員会(ASBJ)は2月中にも金融商品会計基準等の改正案を決定する方針だ。今回の金融商品会計基準等の見直しは、一昨年の12月に企業会計基準諮問会議から提言のあった「譲受人が特別目的会社(SPC)である場合の金融資産の消滅範囲の明確化」を踏まえたもの。具体的には、金融商品会計基準(注4)について、証券の保有者だけでなく、貸付金の保有者についても同様に取り扱う旨を明記する。また、金融商品会計実務指針第40項について、譲受人がSPCを発行する証券を保有することとなる場合のみだけでなく、SPCに対する貸付金を保有する場合についても同様に取り扱う。順調に審議が進めば、2027年4月1日からの強制適用を想定している。また、早期適用も認める。

SPCが発行する「証券等」に貸付金も含まれるか

 企業会計基準委員会が開発を行っている金融商品会計基準等の改正案の詳細が明らかとなった。2月24日開催予定の同委員会で改正案を決定する方針だ。
 今回の金融商品会計基準等の見直しは、一昨年の12月に企業会計基準諮問会議(会計基準の検討テーマなどを審議する機関)から提言のあった「譲受人が特別目的会社(SPC)である場合の金融資産の消滅範囲の明確化」を踏まえたものである(本誌1054号11頁、1058号32頁参照)。
 現行の金融商品会計基準第9項(2)の(注4)では、金融資産の消滅の認識要件について、譲受人が一定のSPCの場合には、当該SPCが発行する「証券」の保有者を金融資産の譲受人とみなして消滅の要件を適用するとされている。
 しかし、テーマ提案者である全国銀行協会によれば、「証券」の定義の解釈が監査法人の間で分かれているため、その明確化が必要としている。また、(注4)を補足する金融商品会計実務指針第40項では、SPCの「証券等」の一部又は全部を譲渡人が保有することとなる場合に、当該保有部分についての譲渡はなかったものとみなされる旨の記載があり、「証券等」として、「信託の受益権、組合の出資金、株式、会社の出資金、社債、劣後債等」が例示されている。「等」との記載から限定列挙ではないが、この「証券等」が企業会計における有価証券とみなされるものを指すのか、あるいは、SPCによる資金調達手段全般を指すのかは定かではない。
 この点、企業会計基準委員会では、SPCが発行する証券の保有者だけでなく、SPCに対する融資者も金融資産から生じる収益を享受している場合、どのように評価して譲渡人が譲渡した金融資産の消滅の認識に関する判断を行うかという点から検討を行っている。

2026年4月1日からの早期適用も可能に

 検討の結果、 企業会計基準委員会では、金融商品会計基準(注4)について、SPCが発行する「証券の保有者」の文言をSPCに対する「投資者又は融資者」(投資者等)に変更し、貸付金の保有者についても同様に取り扱う旨を明記することとした。また、金融商品会計実務指針第40項についても、SPCに対する貸付金を保有する場合を同様に取り扱う。譲受人が金融資産の譲渡対価の全部又は一部について特別目的会社に対する「投資者等」になる場合、金融商品会計基準(注4)によりSPCに対する投資者等が譲受人とみなされ、譲渡人が譲受人となるから当該保有部分の全部又は一部は「残存部分」として取り扱い、金融資産の消滅の認識を行わないとする。
 適用は、一定の準備期間が必要になることを踏まえ、最終基準を公表した日以後最初に到来する4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首以後実施される金融資産の譲渡から適用することとし、早期適用も認めるとしている。順調に審議が進めば、2027年4月1日からの強制適用となる。
 なお、早期適用の方法としては、最終基準の強制適用日の1年前の4月1日以後開始する連結会計年度等の期首以後実施される金融資産の譲渡から適用することができることとする。順調にいけば2026年4月1日からの早期適用が可能になる。
経過措置により遡及的な処理は行わず
 今回の譲受人がSPCである場合の金融資産の消滅範囲の明確化によって、これまでの会計処理と異なる場合が生じる可能性がある。この場合には、改正基準の適用初年度において「会計基準等の改正に伴う会計方針の変更」として取り扱うことになる。この点、本来であれば、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用することになるが、スキーム実行時に想定していなかった会計処理を過去に遡って見直すことは原則として求めるべきではないとの判断から経過措置を設ける方向だ。
 具体的には、改正基準の適用前に実施された金融資産の譲渡に係る従前の取扱いは、改正基準適用後においても継続し、改正基準の適用日における会計処理の見直し及び遡及的な処理は行わないものとする。

連結財務諸表会計基準第7−2項も改正へ
 金融商品会計基準等の改正を踏まえ、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」第7−2項も改正する。当初は、金融商品会計基準等の改正による他の会計基準等についての修正として対応する方針であったが、連結会計基準第7−2項は、連結の範囲に関連して、一定の要件を満たしたSPCは、当該SPCに資産を譲渡した企業の子会社に該当しないものと推定するものであり、金融資産の消滅とは異なる内容を定めるものであることなどから改正案を示すことにした。内容的には、SPCに対する融資者をSPCに対する投資者と同様に取り扱うこととしている。適用は、最終基準の公表日以後最初に到来する4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用し、早期適用も認める。遡及適用は求めず、将来にわたって適用することになる。

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