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解説記事2026年03月30日 新会計基準解説 実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」の概要(2026年3月30日号・№1116)

新会計基準解説
実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」の概要
 企業会計基準委員会 専門研究員 稲田真由子

Ⅰ はじめに

 企業会計基準委員会(ASBJ)は、2026年2月27日に、実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)を公表した(脚注1)。本稿では、本実務対応報告の概要を紹介する。
 なお、文中の意見に関する部分は筆者の私見であり、ASBJの見解を示すものではないことをあらかじめ申し添える。

Ⅱ 公表の経緯

 2025年2月4日に国会に提出された令和7年度税制改正に係る「所得税法等の一部を改正する法律案」において、防衛特別法人税が2026年4月1日以後に開始する事業年度から課されることとされていた。これを受け、ASBJは、2025年2月に補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」(以下「防衛特別法人税補足文書」という。)を公表した(脚注2)。
 防衛特別法人税補足文書では、防衛特別法人税に関して、2025年3月31日に終了する事業年度の決算での税効果会計の適用における取扱いを整理した一方で、当期税金に係る取扱いについては特段の情報を提供しておらず、当該法案成立後、防衛特別法人税の創設に対応した会計基準等の改正を行う予定であるとしていた。
 その後、2025年3月31日に成立した「所得税法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第13号)により「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(令和5年法律第69号)が改正され、防衛特別法人税が創設された。各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は、2026年4月1日以後に開始する各事業年度において、所得税額控除など一定の税額控除を適用しないで計算した法人税の額から基礎控除額(年500万円)を控除した金額に4%の税率を乗じて計算した金額を防衛特別法人税として申告し、納付することが必要となる。

 防衛特別法人税のような新たな税金の創設に対応した会計基準等の改正を行う場合、企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(以下「法人税等会計基準」という。)の適用対象となる税金の定め方に従えば、法人税等会計基準に個別の定めを追加することとなり、現行の税制改正のスケジュールに鑑みると、税制改正から適用までの短期間で会計基準等の改正を行う必要があると考えられる。この点につき、ASBJは、法人税等会計基準等について、適用対象となる具体的な税金を挙げて当該税金について規定する税法を参照することにより特定するのではなく、適用対象となる税金に関する原則的な定めを置き具体的な税金を特定しない方法に見直すことにより、防衛特別法人税のような新たな税金の創設に対応することとした。
 この見直しの審議において、一定の周知期間又は準備時間を確保する観点から、改正後の法人税等会計基準等については、公表した日から1年程度経過した年の4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する方向性で検討がなされている。この場合、例えば2026年3月に改正後の法人税等会計基準等を公表したとしても、これらの原則適用は、3月31日を決算日とする企業であれば、2027年4月1日に開始する連結会計年度及び事業年度の期首からとなり、防衛特別法人税が課される初年度の2026年4月1日に開始する連結会計年度及び事業年度において、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関して準拠すべき会計基準等が存在しないこととなる。
 このため、防衛特別法人税の取扱いについては、法人税等会計基準等の見直しに係る改正後の会計基準等とは別に、実務対応報告を公表することで短期的な対応を行うこととし、審議の結果を公開草案として公表することとした。本実務対応報告は、公開草案に対して寄せられた意見を踏まえて検討を行い、公表するに至ったものである。
 なお、本実務対応報告に関連して、本稿執筆時点において、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)等及び「『財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則』の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)」等についてパブリックコメントが実施されており、所要の改正が行われる予定とされている。

Ⅲ 本実務対応報告の概要

1 防衛特別法人税に関する会計処理及び開示
 防衛特別法人税は、法人税額から基礎控除額を控除した額を課税標準として課すこととされているため、法人税に対する付加税という点において、地方法人税と共通の性質を有していると考えられる。このような防衛特別法人税の性質を考慮して、防衛特別法人税に関する会計処理及び表示については、地方法人税と同様に行うものとして、法人税等会計基準の定めに従うこととした(本実務対応報告第7項、第13項、BC7項及びBC12項)。

2 税効果会計に関する会計処理
 防衛特別法人税は、法人税に対する付加税として課されるものであることから、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金である法人税等(企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下「税効果適用指針」という。)第4項(2))に該当すると考えられるため、税効果会計の対象となる税金に含まれると考えられる。また、法定実効税率の定義(税効果適用指針第4項(11))並びに繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率に関する定め(税効果適用指針第46項)については、適用対象となる税金に関して具体的な税金を挙げて定めている。これらを踏まえ、防衛特別法人税の取扱いについて、次のとおり定めることとした(本実務対応報告BC8項)。
(1)防衛特別法人税が地方法人税と共通の性質を有していることを考慮し、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率に関する定めにおいて、地方法人税と同様に取り扱うものとして、税効果適用指針第46項の定めに従う(本実務対応報告第8項)。
(2)防衛特別法人税は法人税に対する付加税であるため、法定実効税率については、地方法人税率と同様に防衛特別法人税率を考慮して算定する(本実務対応報告第9項)。

 なお、2025年2月に公表した防衛特別法人税補足文書に記載されている防衛特別法人税率を考慮した法定実効税率の算式は、上記のとおりである。

3 グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示
(1)防衛特別法人税に関する会計処理

 防衛特別法人税はグループ通算制度の対象となり、地方法人税と共通の性質を有していることを考慮し、グループ通算制度を適用する場合の会計処理については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(以下「実務対応報告第42号」という。)の定めに従うこととした(本実務対応報告第10項及びBC9項)。
 グループ通算制度における通算税効果額については、法人税に相当する金額であることから益金不算入及び損金不算入とされているため、実務対応報告第42号において、「当事業年度の所得に対する法人税及び地方法人税に準ずるものとして取り扱う」こととしている(実務対応報告第42号第7項)。この考え方と同様に、防衛特別法人税に係る通算税効果額については、防衛特別法人税の額に相当する金額として、益金の額又は損金の額に算入されない金額である(本実務対応報告第6項(2))ため、個別財務諸表において、防衛特別法人税に係る通算税効果額は、当事業年度の所得に対する防衛特別法人税に準ずるものとして取り扱うこととした(本実務対応報告第11項及びBC10項)。
(2)税効果会計に関する会計処理
 グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に係る税効果会計に関する会計処理については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第12項及びBC11項)。
 また、防衛特別法人税は地方法人税と共通の性質を有しており、防衛特別法人税に係る通算税効果額が損益通算や欠損金の通算等により生じるもの(本実務対応報告第6項(2))であることは、通算税効果額のうち地方法人税に係るものと同様であるため、防衛特別法人税に係る通算税効果額の取扱いについては、通算税効果額のうち地方法人税に係るものの取扱いと同様に実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第12項また書き及びBC11項)。
(3)表示及び注記事項
 グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に関する表示及び注記については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第14項及びBC13項)。
 個別財務諸表において、防衛特別法人税に係る通算税効果額に関する表示については、通算税効果額のうち地方法人税に係るものと同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第15項及びBC14項)。
 グループ通算制度を適用する場合の連結財務諸表において、防衛特別法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関する表示については、地方法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第16項及びBC15項)。
 グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に係る税効果会計に関する注記については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第17項及びBC16項)。

4 適用時期
 防衛特別法人税は2026年4月1日以後に開始する事業年度から課されることから、本実務対応報告についても、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとした(本実務対応報告第18項及びBC17項)。

Ⅳ おわりに

 ASBJは、法人税等会計基準の見直しについて、2025年5月より検討を行い、2026年1月9日に、企業会計基準公開草案第94号「法人税等に関する会計基準(案)」等の公開草案(以下「法人税等会計基準案等」という。)を公表した(脚注3)。法人税等会計基準案等は、その適用対象となる税金について原則的な定義を置くとともに、表現及び文言の見直しを行うことを提案している。法人税等会計基準案等に対するコメントの募集は、2026年3月9日に締め切られており、ASBJは、今後、寄せられたコメントについて検討することを予定している。
 今後、法人税等会計基準案等が最終化され、会計基準等として適用された場合、これらの提案内容に照らすと、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関しては、当該会計基準等に準拠することとなる。このため、当該会計基準等の適用により、本実務対応報告の適用を終了することを想定しているが、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する取扱いが変更となることは想定していない。
 本稿が本実務対応報告の概要をご理解いただくための一助となれば幸いである。


脚注
1 本実務対応報告の全文については、ASBJのウェブサイト(https://www.asb-j.jp/jp/practical_solution/y2026/2026-0227.html)を参照のこと。
2 2025年2月に公表された防衛特別法人税補足文書の全文については、ASBJのウェブサイト(https://www.asb-j.jp/jp/wp-content/uploads/sites/4/20250220_02.pdf)を参照のこと。
 補足文書は、企業会計基準、企業会計基準適用指針、実務対応報告及び移管指針(以下「企業会計基準等」という。)を追加又は変更するものではなく、企業会計基準等の適用にあたって参考となる文書である。
3 法人税等会計基準案等の全文については、ASBJのウェブサイト(https://www.asb-j.jp/jp/project/exposure_draft/y2026/2026-0109.html)を参照のこと。

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