税務ニュース2026年06月19日 審判所、「結論のみ」の更正理由は適法(2026年6月22日号・№1127) 仕入税額控除否認事案で行政手続法上の不備認めず
行政手続法14条1項は、行政庁が不利益処分をする場合、その理由を名宛人に示さなければならない旨を定めている。これは、不利益処分が名宛人に直接義務を課し、又はその権利を制限するものであることを踏まえ、行政庁に慎重かつ合理的な判断を求め、恣意を抑制するとともに、名宛人に処分理由を知らせることによって、不服申立ての便宜を図ることを目的とするもの。そして、提示された理由が、これらの目的を達成し得る程度に具体的に明示されている場合には、同項が求める理由の提示として不備はないものと解されている。
こうした中、消費税の仕入税額控除を否認する更正処分について、その理由書の記載が行政手続法14条1項の要求を満たすかが争われ、直近に裁決が下されていたことが本誌取材により判明した。
本件で原処分庁は、更正処分の理由として、「株式会社A社が実際に請求人に対して課税資産の譲渡等を行った者の名称であるとは認められない」とだけ記載した。納税者(以下、請求人)は、この更正処分を不服として審査請求を行った。請求人は、当該記載は原処分庁の判断の結論を示したものにすぎず、その判断の基礎となった事実関係や証拠、適用法令が具体的に明らかにされていないとして、行政手続法14条1項が求める理由の提示としては不十分であると主張した。一方、原処分庁は、上記記載によって更正処分の理由は明らかにされており、同項が求める理由の提示に不備はないと反論。審判所は、請求人の主張を採用せず、原処分における理由の提示に不備はないとして請求を棄却した。
本件は、更正処分の理由として、処分の結論に直結する事実がどの程度示されていれば、行政手続法14条1項の要請を満たすことになるのかを考える上で、実務上注目される事例と言える。とりわけ、処分理由の記載において、判断の基礎となった具体的事実や証拠評価まで示す必要があるのか、それとも処分の原因となった事実が一定程度特定されていれば足りるのかという点は、今後の更正実務にも影響を及ぼし得る。審判所がどのような判断枠組みに基づき、当該理由の提示を適法と評価したのかについては続報したい。
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