税務ニュース2026年07月10日 外注費等の給与認定後の源泉求償権(2026年7月13日号・№1130) 回収計画未提出はグロスアップ計算の根拠とならず
外注費等として支払った金額が、税務調査で「給与」と認定されることがある。この場合、会社は本来天引きすべきだった源泉所得税を後から納付する必要が生じる。納付後は当該税額相当額を源泉徴収されるべき者に求償することができるが(所法222)、実際には、求償することなく、会社負担のままにしている例が少なくない。所得税基本通達は、源泉徴収漏れがあった場合でも、相手方の手取り額を保証する合意、すなわち税引手取契約がない限り、一旦は支払額面を基準に税額を計算するものの、支払者が所得税法222条に基づく控除又は請求を「しないこととしたとき」は、その時点で納付税額相当額を税引手取額の支払いとみなしてグロスアップ計算する旨を定めている(所基通221−1(2)、181~223共−4)。したがって、グロスアップ計算により源泉所得税の追徴を受けるかどうかは、求償権の不行使が、請求を「しないこととした」に該当するか否かによることになる。
税務調査では、納付税額相当額の具体的な回収計画の提出を求められ、これに応じない場合には請求を「しないこととした」ものと評価され、グロスアップ計算を求められることがあるが、回収計画を直ちに提出できないからといって、会社が求償権の行使を断念したことにはならない。将来請求する可能性が残る限り、請求を「しないこととした」とは言えないからだ。例えば、将来、会社が支払先に対して負う債務が生じた場合に、納付税額相当額をその債務と相殺して回収することが合理的に見込まれるのであれば、現時点で督促をしていないからといって、直ちに所得税法222条が適用されるわけではない。
このような場合を含め、将来、支払先に請求し又は相殺によって回収する予定であることを示す社内の意思決定や時効管理の記録は、会社が請求を放棄していないことを疎明する資料となり得る。回収計画を提出できないことをもって納付税額相当額の回収を断念したとする課税当局に反論するには、求償権を放棄しないという実体を維持した上で、放棄しない旨の社内意思決定、時効管理、将来の請求又は相殺の意思を裏づける記録を残し、「請求をしないこととした」事実が存在しないことを立証する必要がある。逆に、実体として将来にわたって請求の意思がない場合であれば、いかに体裁を整えてもグロスアップ課税は避けられないだろう。
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