会社法ニュース2026年07月17日 有報の虚偽記載で東芝に損害賠償責任(2026年7月20日号・№1131) 東京地裁、自己名義の原告の請求は認めるも非名義株主の請求は棄却
本件は、東芝(被告)の株式を取得したと主張する原告らが、同社が提出した有価証券報告書等に重要な事項について虚偽の記載があり、これにより損害を被ったとして、民法709条又は金融商品取引法21条の2第1項に基づく損害賠償を求めた事件である。原告らは、日本国外に本店又は主たる事務所を有する14の外国法人で、原告Aのみ自己名義の口座で東芝株を取得、残りの13の原告はカストディアンを通じて取得した非名義株主であった。原告らは、有価証券報告書等の当期純損益などに係る訂正前の記載は、いずれも重要な虚偽記載に該当すると主張した。
裁判所(和久一彦裁判長)は、有価証券報告書等における財務諸表等に関する記載が金商法21条の2第1項にいう「重要な事項」に係る「虚偽の記載」に該当するといえるためには、当該記載が投資者の投資判断及び市場における有価証券の価格の形成に重要な影響を与える事項に関するものであって、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に違反した会計処理によるものである必要があると解すべきであるとした。
本件では、東芝は特別調査委員会及び第三者委員会の調査に基づき、不適切な会計処理があった旨を認めるとともに、各期の有価証券報告書における当期純損益につき重要な事項に係る虚偽の記載があることを理由に、金融庁長官から課徴金納付命令を受けたことが認められる事実からすれば、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に違反した会計処理によりされたものと推認され、各期における当期純損益が多額であって虚偽とされる部分の占める割合が大きいことに照らすと、当期純損益の記載部分は投資者の投資判断及び市場における有価証券の価格形成に重要な影響を与える事項に関する虚偽の記載に当たると認めるのが相当であるとした。よって、自己名義により東芝株を取得した原告Aに対し、1,785万円余りの損害賠償を認めた。
ただし、非名義株主である他の13の原告に関しては、金商法21条の2第1項の「取得した者」に該当しないと判断。東芝は、非名義株主である原告に対しては不法行為責任を負わないとしている。
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