会社法ニュース2026年07月24日 事業譲受け時の追加費用を巡り訴訟(2026年7月27日号・№1132) 東京地裁、上場会社の元取締役の善管注意義務違反を認めず
本件は、東証スタンダード市場に上場するアドバネクス(原告)の取締役であった被告が、取締役在任中に、原告の海外子会社A社の板ばね事業譲受けに係る取締役承認決議に当たり、その具体的な内容について説明義務があるにもかかわらず、これを説明せず、善管注意義務に違反したなどとして会社法423条1項に基づき40万ドル余りの損害賠償が求められた事案である。
原告は、関係会社管理規程上、関係会社による事業譲受けは原告の取締役会における事前承認事項であることから、担当取締役が関係会社に関係書類の提出を求める等情報収集を行い、正確かつ最終的な情報に基づいて審議議決ができるよう必要な情報を開示した上で説明をし、承認を受けなければならないと主張。A社が事業譲受けのために支出できる金額は限られていたことから、経費負担等による追加支出の可能性や最終的な支払額について被告から説明がされていれば、原告の取締役会としては、事業譲受承認決議はしなかったとした。
裁判所(泉地賢治裁判官)は、A社が相手先企業に追加送金した内容の内訳が明らかではなく、購入価格を超えて支払った費用(およそ13万ドル)がいかなるものか明らかではないが、事業譲受契約において定められたクロージング日以降に行われたA社の利益のために行われたものとみなされた事業に関する費用である可能性があり、相手先企業の板ばね事業をA社の板ばね事業として行うためのリノベーション費用、安全対策や職場環境の整備に関する費用の可能性が高いと指摘。これらの費用は、事業譲受承認決議の際には確定金額として定まっておらず、被告が説明することができたものであるとは認められないとした。加えて、原告の関係会社管理規程においては、重要な設備の取得、処分、重要な不動産の取得、処分、その他重要な固定資産の取得、処分については、取締役会の事前承認が必要とされているが、当該費用は関係会社管理規程において事前承認を要すると定められた額を超えているとはいえないとし、被告に、事業譲受けに関する取締役決議時に善管注意義務違反があったとは認められないとした。
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