解説記事2026年07月27日 税制改正解説 令和8年度における国際課税関係の改正について(2026年7月27日号・№1132)
税制改正解説
令和8年度における国際課税関係の改正について
西田 翼/加茂佑介
はじめに
経済のデジタル化・グローバル化や取引の多様化・複雑化が進展する中、国際課税制度の重要性はますます高まっており、近年、我が国では、BEPSプロジェクトの合意事項等を踏まえ、国際的な課税逃れの防止に向けて累次の制度整備が行われてきた。
令和3年(2021年)10月にOECD/G20「BEPS包摂的枠組み」(Inclusive Frsamework on BEPS)において合意された「2本の柱」の解決策については、グローバル・ミニマム課税(「第2の柱」)について、令和5年度税制改正で所得合算ルール(IIR:Income Inclusion Rule)、令和7年度税制改正で軽課税所得ルール(UTPR:Undertaxed Profits Rule)及び国内ミニマム課税(QDMTT:Qualified Domestic Minimum Top-up Tax)が法制化された。
「第2の柱」は、我が国の国際競争力の維持及び向上につながるものであり、今般の税制改正においても、引き続き、国際合意に則った法制化が行われた。具体的には、グローバル・ミニマム課税と、独自のミニマム課税制度を有する米国を含む一定の要件を満たす国の制度との共存等について、令和8年1月5日に合意が成立したことから、当該合意に則り、
(1)共存適格国に最終親会社が所在する多国籍企業グループについて所得合算ルール(IIR)と軽課税所得ルール(UTPR)の適用免除を認める「SbS(Side by Side)セーフ・ハーバー」の創設
(2)共存適格要件のうち国内課税要件のみを満たした国に最終親会社が所在する多国籍企業グループの最終親会社所在国の利益について軽課税所得ルール(UTPR)の適用免除を認める「UPE(Ultimate Parent Entity)セーフ・ハーバー」の創設
(3)投資促進のための一定の税額控除等(設備投資・試験研究等)について調整後対象租税の合計額に一定の上限額まで加算することを許容する国別実効税率計算の特例の創設
(4)移行期間CbCR(Country-by-Country Report)セーフ・ハーバーの適用期間の延長
が行われた。また、令和7年(2025年)1月にOECDから公表されたガイダンスの内容に沿った見直しについても今般の税制改正において行われた。
加えて、「第2の柱」の導入により対象企業に追加的な事務負担が生じること等を踏まえ、令和7年度改正に引き続き、外国子会社合算税制についても見直しが行われた。具体的には、解散した部分対象外国関係会社等に関して、解散後の一定期間(特例清算事業年度)は、引き続き部分対象外国関係会社等に該当するものとみなす特例の創設や、ペーパー・カンパニー特例に係る「資産割合要件」の見直し及びいわゆる累進課税制度である場合の租税負担割合の計算の特例の見直しが行われた。
また、外国組合員に対する課税の特例について、その適用要件のうち投資組合財産に対する持分割合等について見直しが行われた。これらのほか、非居住者のカジノ行為の勝金に係る一時所得の非課税措置の適用時期の見直し、特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子等の非課税措置の適用期限の延長及び非居住者に係る金融口座情報の自動的情報交換のための報告制度における特定取引の範囲の見直し等がそれぞれ行われた。
一 グローバル・ミニマム課税への対応
1 改正の内容
Ⅰ 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税等に係る改正
(1)共存システムへの対応
① 最終親会社等の所在地国に関する適用免除基準
特定多国籍企業グループ等の最終親会社等が各対象会計年度において一定の要件(いわゆる共存適格要件)を満たしていると国際的に認められる国又は地域として財務大臣が指定する国又は地域を所在地国とする場合には、その対象会計年度のその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等又はその特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等のグループ国際最低課税額は、零とすることができることとされた(法法82の3⑦、法規38の43の2)。
また、上記の財務大臣が指定する国又は地域として、アメリカ合衆国が指定された(法法82の3⑯、財務省告示第89号)。
② 国別特別税額控除等相当額がある場合の国別実効税率等の計算の特例
特定多国籍企業グループ等の選択により、国別特別税額控除等相当額(原則として、特定費用の額の合計額又は特定資産に係る減価償却費の額の合計額のいずれか多い金額の5.5%が上限額とされた。)を国別調整後対象租税額に含むものとして、国別実効税率等の計算を行うことができる国別実効税率等の計算の特例が創設された(法令155の42の2①)。
③ 移行期間CbCRセーフ・ハーバー
適用期限を1年間延長(令和9年(2027年)末までに開始する対象会計年度まで)することとされた(令和5年改正法附則14①③)。
(2)移行対象会計年度前の対象会計年度において計上された繰延税金資産等の取扱いに係る執行ガイダンスへの対応
繰延対象租税額の計算について、移行対象会計年度前の対象会計年度において計上された繰延税金資産等のうち次に掲げる繰延税金資産等はないものとすることとされたほか、関連制度の見直しが行われた(法規38の28⑳)。
① 繰延税金資産を計上するためにされた国等との一定の取決めが存在することその他これに準ずる事由により計上された繰延税金資産
② 法人税に相当する税に関する一定の法令の規定により、資産又は負債の金額が時価により評価されることにより計上された繰延税金資産又は繰延税金負債
Ⅱ 各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税に係る改正
特定多国籍企業グループ等の最終親会社等が各対象会計年度において一定の要件(いわゆる共存適格要件のうち国内課税要件)を満たしていると国際的に認められる国又は地域として財務大臣が指定する国又は地域を所在地国とする場合には、その対象会計年度に係るその特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税残余額には、そのグループ国際最低課税残余額のうちその最終親会社等の所在地国に係る部分の金額を含まないことができることとされた(法法82の11④、法規38の50⑥)。
Ⅲ 各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税に係る改正
(1)共存システムへの対応
① 国内特別税額控除等相当額がある場合の国内実効税率等の計算の特例
各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税においても、基本的に上記Ⅰ(1)②と同様の改正が行われた(法令155の68の2)。
② 移行期間CbCRセーフ・ハーバー
適用期限を1年間延長(令和9年(2027年)末までに開始する対象会計年度まで)することとされた(令和7年改正法附則18①③)。
(2)移行対象会計年度前の対象会計年度において計上された繰延税金資産等の取扱いに係る執行ガイダンスへの対応
各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税においても、基本的に上記Ⅰ(2)と同様の改正が行われた(令和7年改正法規附則8)。
2 適用関係
(1)上記Ⅰ(1)①の改正は、内国法人の令和8年1月1日以後に開始する対象会計年度について適用することとされている。すなわち、同月の国際合意に沿って遡及適用を行うことが認められている。また、遡及適用に伴い必要な読替規定が措置されている(改正法附則15、改正法規附則7②)。
(2)上記Ⅰ(1)②の改正は、内国法人の令和8年1月1日以後に開始する対象会計年度について適用することとされている。すなわち、国際合意に沿って遡及適用を行うことが認められている。また、遡及適用に伴い必要な読替規定が措置されている(改正法令附則7、改正法規附則7①)。
(3)上記Ⅰ(1)③の改正は、令和8年4月1日から施行されている(改正法附則1)。
(4)上記Ⅰ(2)の改正は、内国法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税について適用し、内国法人の同日前に開始した対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法規附則6①)。
(5)上記Ⅱの改正は、法人(人格のない社団等を含む。)の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税について適用することとされている(改正法附則14)。
(6)上記Ⅲ(1)①の改正は、法人(人格のない社団等を含む。)の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度について適用することとされている(改正法令附則8)。
(7)上記Ⅲ(1)②の改正は、令和8年4月1日から施行されている(改正法附則1)。
(8)上記Ⅲ(2)の改正は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税について適用することとされている(改正法規附則10)。
二 外国関係会社に係る所得の課税の特例(外国子会社合算税制)等の見直し
1 改正内容
(1)解散した部分対象外国関係会社又は外国金融子会社等に係る特例の創設
① 部分対象外国関係会社及び外国金融子会社等に係る特例清算事業年度におけるみなし規定
内国法人に係る外国関係会社が清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等に該当することとなった場合におけるその清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等の特例清算事業年度については、当該清算部分対象外国関係会社は部分対象外国関係会社と、当該清算外国金融子会社等は外国金融子会社等とそれぞれみなして、本税制を適用することとされた(措法66の6⑬)。
② 異常所得の金額に係る計算
清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等の特例清算事業年度については、異常所得の金額の計算における所得控除の金額の計算の基礎となるイからハまでに掲げる金額は、それぞれ次に定める金額を用いることとされた(措令39の17の3
)。
イ 総資産の額 解散直前事業年度(清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等が最初に部分対象外国関係会社又は外国金融子会社等に該当しないこととなった事業年度の前事業年度をいう。以下同じ。)終了の時における貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額
ロ 人件費の額 解散直前事業年度の人件費の額
ハ 減価償却累計額 解散直前事業年度終了の時における貸借対照表に計上されている減価償却累計額
③ 異常な水準にある資本に係る所得の金額の計算
特例清算事業年度における清算外国金融子会社等については、部分合算課税の対象所得である「異常な水準にある資本」に係る所得の金額の計算は不要とする改正が行われた(措令39の17の4③三)。
④ 用語の定義
イ 清算部分対象外国関係会社
「清算部分対象外国関係会社」とは、解散した外国関係会社のうち、その解散の日を含む事業年度開始の日前2年以内に開始した事業年度のいずれにおいても部分対象外国関係会社に該当していたものをいう(措法66の6②八)。
ロ 清算外国金融子会社等
「清算外国金融子会社等」とは、解散した外国関係会社のうち、その解散の日を含む事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度のいずれにおいても外国金融子会社等に該当していたものをいう(措法66の6②九)。
ハ 特例清算事業年度
「特例清算事業年度」とは、清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等が最初に部分対象外国関係会社又は外国金融子会社等に該当しないこととなった事業年度終了の日から同日以後3年を経過した日(注1・2)までの期間内の日を含む事業年度をいう(措法66の6②十、措令39の17⑩)。
(注1)その清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等の残余財産の確定の日がその3年を経過した日前である場合には、その残余財産の確定の日とされた。また、その本店所在地国の法令又は慣行その他やむを得ない理由によりその残余財産の確定の日がその3年を経過した日後である場合には、清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等の残余財産の確定の日と最初に部分対象外国関係会社又は外国金融子会社等に該当しないこととなった事業年度終了の日以後5年を経過した日とのいずれか早い日とされた。
(注2)なお、特例清算事業年度が開始するかどうかの判定に当たっては、部分対象外国関係会社又は外国金融子会社等が解散により、それぞれ部分対象外国関係会社又は外国金融子会社等に該当しないこととなったことを要する。したがって、単にそれらの外国関係会社が解散したことのみで、特例清算事業年度が開始するわけではない。
⑤ 清算特例に係る担保措置
イ 清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等に係る担保措置
国税庁の当該職員又は内国法人の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の当該職員は、内国法人に係る外国関係会社が清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等のいずれかに該当するかどうかを判定するために必要があるときは、その内国法人に対し、期間を定めて、その外国関係会社が清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等に該当することを明らかにする書類その他の資料の提示又は提出を求めることができることとされた。この場合において、当該書類その他の資料の提示又は提出がないときは、その外国関係会社は清算部分対象外国関係会社又は清算外国金融子会社等に該当しないものと推定されることとされた(措法66の6⑤)。
ロ 特例清算事業年度に係る担保措置
国税庁の当該職員又は内国法人の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の当該職員は、内国法人に係る外国関係会社の各事業年度が特例清算事業年度に該当するかどうかを判定するために必要があるときは、その内国法人に対し、期間を定めて、各事業年度が特例清算事業年度に該当することを明らかにする書類その他の資料の提示又は提出を求めることができることとされた。この場合において、当該書類その他の資料の提示又は提出がないときは、当該各事業年度は特例清算事業年度に該当しないものと推定されることとされた(措法66の6⑥)。
⑥ 改正前の解散した外国金融子会社等に係る特例の廃止
改正前の解散した外国金融子会社等に係る特例については、上記①から⑤までの改正に伴い廃止することとされた。
(2)ペーパー・カンパニー特例に係る資産割合要件の見直し
ペーパー・カンパニーの範囲から除外される外国関係会社に係る資産割合要件の判定方法について、その外国関係会社の事業年度終了の時における貸借対照表に計上されている総資産の額が零である場合には、その資産割合要件の判定を求めないこととされた(措令39の14の3⑥⑧⑨、措規22の11⑩⑭⑳)。
(3)租税負担割合の計算の特例の見直し
外国関係会社の本店所在地国の外国法人税の税率が所得の額に応じて高くなる場合に最高税率を用いて租税負担割合を計算することができる特例について、その最高税率が適用されることが通常見込まれないこと等の事情により本特例を適用することが著しく不適当であると認められる場合には、本特例を適用することができないこととされた(措令39の17の2②四)。
(4)居住者の外国関係会社に係る所得の課税の特例
居住者の外国関係会社に係る所得の課税の特例についても、上記(1)から(3)までと基本的に同様の改正が行われた(措法40の4、措令25の19の3、25の20、25の22~25の24、措規18の20)。
(5)関連制度の見直し
特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例についても、上記(1)から(4)までと基本的に同様の改正が行われた(措法40の7、66の9の2、措令25の25~25の31、39の20の2~39の20の7、39の20の9、措規18の20の2、22の11の3)。
2 適用関係
(1)上記1(1)から(3)までの改正は、外国関係会社の令和8年4月1日以後に開始する事業年度に係る適用対象金額及びその適用対象金額に係る課税対象金額、部分適用対象金額及びその部分適用対象金額に係る部分課税対象金額並びに金融子会社等部分適用対象金額及びその金融子会社等部分適用対象金額に係る金融子会社等部分課税対象金額について適用し、外国関係会社の同日前に開始した事業年度に係る適用対象金額及びその適用対象金額に係る課税対象金額、部分適用対象金額及びその部分適用対象金額に係る部分課税対象金額並びに金融子会社等部分適用対象金額及びその金融子会社等部分適用対象金額に係る金融子会社等部分課税対象金額については従前どおりとされている(改正法附則63①)。
(注)上記1(5)のうち、特殊関係株主等である内国法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例についても同様(改正法附則63④)。
(2)上記1(4)の改正に係る適用関係については、内国法人についての特例に関する適用関係(上記(1))と同様とされている(改正法附則40①)。
(注)上記1(5)のうち、特殊関係株主等である居住者に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例についても同様(改正法附則40②)。
三 その他
1 改正の内容
(1)外国組合員に対する課税の特例の見直し
本特例の適用要件について、次の見直しを行うこととされた。
① 投資組合事業に係る業務の執行を行わないこととの要件における投資組合事業に係る業務の執行の承認等から除外される行為の範囲を、その業務の執行を行う者等とその投資組合事業に係る投資組合の有限責任組合員との利益が相反する取引の承認等(改正前:その業務の執行を行う者の自己取引等の承認等)とすることとされた(措令26の30①三ハ、②~④)。
② 投資組合財産に対する持分割合(以下「投資組合財産持分割合」という。)が25%未満であることとの要件について、投資組合契約において、その投資組合契約によって成立する投資組合にその有限責任組合員等から構成される一定の合議体(組合員等委員会)を設置する旨が定められている場合には、その投資組合の有限責任組合員の投資組合財産持分割合を50%未満に引き上げることとされた(措法41の21①三、措令26の30⑫)。
③ 投資組合契約に基づいて恒久的施設を通じて事業を行っていないとしたならば恒久的施設帰属所得を有しないこととなることとの要件は廃止することとされた(旧措法41の21①五、旧措令26の30⑱⑲、39の33②③)。
(2)非居住者のカジノ行為の勝金に係る一時所得の非課税措置の適用開始時期の見直し
本非課税措置の適用期間を令和12年1月1日から令和16年12月31日まで(改正前:令和9年1月1日から令和13年12月31日まで)の5年間とすることとされた(措法41の9の2)。
(3)特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子等の非課税措置の改正
適用期限が令和11年3月31日まで3年延長された(措法42の2③、67の17⑨)。
(4)租税条約等実施特例法の改正
① 新たな限度税率を定める租税条約に対応するための国内法の整備
租税条約の限度税率が住民税をも含めて規定されている場合における法人税の軽減額の計算に係る限度税率について、限度税率が8%である場合には6.8%の税率とすることとされた(実特令4五)。
② 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の改正
イ 特定取引の範囲の改正
本制度の対象となる特定取引の範囲から、履行保証金弁済信託契約の締結を除外することとされた(実特令6の8柱書、実特規16の8①四ロ)。
ロ 報告対象国の範囲の改正
報告対象国の範囲について、3か国・地域の租税条約等の相手国等が追加されるとともに、3か国・地域の租税条約等の相手国等が除外された(実特規別表五十三、六十六、百五、旧実特規別表九十七、九十八、百)。
③ 特定電子移転財産権の徴収手続の整備等に伴う徴収共助制度の改正
イ 特定電子移転財産権の徴収手続の整備
今般の国税徴収法の改正において、暗号資産等の電子情報処理組織を用いて移転する一定の財産に係る権利(特定電子移転財産権)の徴収手続の整備が行われたことに伴い、租税条約等の相手国等の租税の徴収の共助について、同法の改正において整備された規定を準用するとともに、罰則規定についても同法の改正と同趣旨の整備が行われた(実特法11④、13①⑥)。
ロ 差押えに係る不動産の売却価額等に相当する額の国税の納付による差押解除手続の整備
今般の国税徴収法の改正において、差押えに係る不動産の売却価額等に相当する額の国税の納付による差押解除手続の整備が行われたことに伴い、租税条約等の相手国等の租税の徴収の共助について所要の整備が行われた(実特法11④)。
④ 国税犯則調査手続の見直しに伴う租税条約等の相手国等への情報提供のための調査手続に関する規定の整備
租税条約等の相手国等から犯則事件の調査に必要な情報の提供要請があった場合における租税条約等の相手国等への情報提供のための調査手続について、国税犯則調査手続の見直しを踏まえた所要の整備が行われた(実特法10の3、10の3の2①、10の3の3、10の4、13④⑥)。
2 適用関係
(1)上記1(1)の改正は、所得税の特例に関する適用関係については、外国組合員である非居住者が令和8年4月1日以後に有することとなる国内源泉所得又は外国組合員である外国法人が同日以後に支払を受けるべき国内源泉所得について適用し、外国組合員である非居住者が同日前に有することとなった国内源泉所得又は外国組合員である外国法人が同日前に支払を受けるべき国内源泉所得については従前どおりとされている(改正法附則49)。法人税の特例に関する適用関係については、外国組合員である外国法人が令和8年4月1日以後に有することとなる国内源泉所得について適用し、外国組合員である外国法人が同日前に有することとなった国内源泉所得については従前どおりとされている(改正法附則66、改正措令附則22、改正措規等附則10)。
(2)上記1(2)及び(3)の改正は、令和8年4月1日から施行されている(改正法附則1)。
(3)上記1(4)①の改正は、令和8年4月1日から施行されている(改正実特令附則)。
(4)上記1(4)②イの改正は、改正資金決済法の施行の日(令和8年6月1日)から施行されている(令和8年5月改正実特規附則)。
(5)上記1(4)②ロの改正は、令和7年12月26日から施行されている(令和7年12月改正実特規附則)。
(6)上記1(4)③イ及びロの改正は、令和9年4月1日から施行される(改正法附則1六ロ、改正実特規附則二)。
(7)上記1(4)④の改正は、令和9年10月1日から施行される(改正法附則1七へ)。
なお、記録命令付差押えについては、廃止されることとなるが、刑事訴訟法における記録命令付差押えの廃止の経過措置(刑事訴訟法等改正法附則2)と同様、令和9年10月1日前に記録命令付差押えに係る許可状が発せられた場合におけるその記録命令付差押えについては、従前どおりとされている(改正法附則71)。
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