解説記事2026年09月07日 SCOPE 青色申告承認受けるも雑所得、4年連続の損失等で営利性なし(2026年9月7日号・№1137)
トレーナー業務で開業も、事業所得に該当せず
青色申告承認受けるも雑所得、4年連続の損失等で営利性なし
令和4年10月の所得税基本通達の改正では、帳簿書類を保存等していた場合には概ね事業所得に区分される場合が多いとされたが、青色申告の承認を受けていたにもかかわらず、雑所得に該当すると判断された裁決事例が明らかとなった。本件は、野球部のトレーナー業務から生じた所得の所得区分が争われたもの。国税不服審判所は、有償性、一応の反復継続性及び企画遂行性を有していたと認められるとしたが、4年連続して相当多額の損失が生じていたにもかかわらず、請求人が本件業務に係る収支を改善するための手段を講じていなかったことからすると営利性が乏しいなどとし、本件業務から生じた所得は事業所得ではなく、雑所得に該当すると判断。請求人の請求を棄却している(関裁(所)令7第12号)。
帳簿保存等があれば収入金額300万円以下でも概ね事業所得だが
本件は、給与所得等を有する請求人が野球部のトレーナー業務に係る事業所得の金額の計算上生じた損失の金額があるとして、当該損失の金額を給与所得の金額と損益通算して確定申告をしたが、原処分庁が当該業務に係る所得は雑所得に該当するとして所得税等の更正処分等を行ったため、原処分の全部の取り消しを求めたものである。
請求人は、もともと勤務先の野球部においてコーチ及びトレーニングに係る指導等の業務を行っており、退職後、トレーニングに係る指導及びリハビリ等の業務を開始し、その一環として学校の野球部に対して同業務を行っていた(本件業務)。加えて、退職から2年後には元の勤務先に再度勤務し、再び野球部におけるコーチ及びトレーニング業務も併せて行っていた。なお、請求人は、本件業務を開始する際には、職業をトレーナーとする個人事業の開業届出書を原処分庁に提出するとともに、青色申告の承認を受けていた。
この点、令和4年10月の所得税基本通達の改正では、事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定することとされ、目安として収入金額が300万円以下であっても、帳簿書類を保存等している場合には事業所得に区分される場合が多いとされている。ただし、帳簿書類を保存等している場合であっても、①その所得の収入金額が僅少と認められる場合、②その所得を得る活動に営利性が認められない場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することになるとしている。
審判所は、事業所得とは自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得と解されるところ、ある所得が事業所得に該当するか否かは、営利性及び有償性の有無、その者が費やした精神的及び肉体的労力の程度、人的及び物的設備の有無、資金の調達状況、その者の職業、経歴、社会的地位及び生活状況、相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性の有無等を総合的に検討し、社会通念によって判断するのが相当であるとした。その上で本件業務については、有償性、一応の反復継続性及び企画遂行性を有していたと認められるものの、4年連続して相当多額の損失が生じていたにもかかわらず、請求人が本件業務に係る収支を改善するための手段を講じていなかったことからすると営利性が乏しいなどとし、本件業務から生じた所得は事業所得ではなく、雑所得に該当すると判断している(表参照)。

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