税務ニュース2026年09月11日 相続開始前に入居申込も一時的空室否定(2026年9月14日号・№1138) 空室期間は3か月24日、賃貸されていたのと同視し得る状況とは言えず
貸家や貸家建付地の相続税評価額は、賃貸割合が高いほど評価額が低くなる(空室が多いほど賃貸割合が下がり評価額が高くなる)仕組みだ(評価通達26、93)。そのため納税者と税務署の間で賃貸割合が争われるケースも少なくない。この点に関し評価通達26(2)(注)2では、課税時期(相続開始日)に「一時的に賃貸されていなかった」と認められるもの(一時的空室部分)については、賃貸されている部分に含めてもよい旨が定められている。本件で問題となっていたのは、相続開始日時点のマンションの各空室が一時的空室部分に該当するか否かであった。この点に関し原審の東京地裁は、各空室の空室期間は最も短い場合でも3か月24日に及ぶものであり、課税時期に具体的な特定人と契約締結に向けた交渉をしていたなどの事情を認めることはできないなどと指摘したうえで、各空室が実質的にみて相続開始日に賃貸されていたと評価すべき合理的な理由はないから、各空室は一時的空室部分に該当しないと結論付けていた(本誌1108号20頁参照)。
控訴審で納税者は、空室期間が最も短い106号室(平成29年2月1日から5月24日まで空室)について、相続開始日(平成29年5月4日)より前の同年4月29日付けで同年5月末頃を入居希望日とする入居申込みがあり、同年5月19日に新たな賃貸借契約が締結されたから、106号室は一時的空室部分に該当すると主張していた。これに対し東京高裁は、相続開始日の時点では入居申込みがあったにすぎず、実質的にみて賃貸されていたのと同視し得る状況にあったとは認められないという判断を示した。そして東京高裁は、最も短い106号室でも相続開始日前後の空室期間が3か月24日に及んでいる各空室について、相続開始日前に終了した賃貸借契約の終了後に引き続き賃貸される具体的な見込みが客観的に存在したということはできないし、その賃貸借契約の終了から近接した時期に新たな賃貸借契約が締結されたということもできないと指摘。各空室について実質的にみて相続開始日に賃貸されていたのと同視し得る事情はないから、各空室は一時的空室部分には該当しないと結論付けた。
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