税務ニュース2026年09月18日 関連者取引書類保存、運用的配慮の射程(2026年9月21日号・№1139) 書類不備には配慮も、取引内容・対価算定根拠の説明水準は緩和せず
令和8年度税制改正により導入された関連者間取引に係る書類の整理保存の特例(今号42頁)は令和8年4月1日以後に開始する事業年度に行う関連者間取引から適用が開始されているが、これを受け国税庁は令和8年6月30日、「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例の運用に当たっての基本的な考え方及び取扱いについて」と題する事務運営指針を公表したところだ。
同指針では、本特例に基づく特定事項記載書類の保存は、関連者間取引に係る費用の損金算入要件ではなく、書類が保存されていないことのみをもって、直ちに損金算入が否定されるものではないとされている。また、調査時に特定事項記載書類の保存等がない、又は記載の程度が不十分と認められた場合には、不足事項等を明示した上で、合理的な期間を定めて、特定事項記載書類の取得又は作成及び提示を求めるとしている。青色申告承認の取消しについても、保存等の状況及びその是正の可否等を把握し、違反の程度その他の事情を踏まえて判断することとされ、違反の程度が軽微な場合には、取消処分を行わず、改善指導にとどめることができるとされた。
同指針の内容を受け、本特例への対応の負担や税務上の影響は限定的であるとの見方が実務家の間で広がっている。しかし、同指針は、取引の内容及び性質に照らして通常求められる範囲を超える詳細な資料の一律の保存を求めない一方、必要記載事項については、第三者が関連者間取引の内容を客観的に把握できる程度の記載を求めており、対価の額が「一式」とされている場合や、取引内容が抽象的に表示されているだけの場合には、その記載のみをもって必要記載事項の記載があるとは言えないとしている。また、関連者間取引に係る費用の損金算入の可否については、特定事項記載書類の保存の有無のみで判断するのではなく、帳簿書類その他の資料から取引内容及び事実関係を把握し、その結果に基づいて実態に即して判断するとしている。すなわち、調査時に補充の機会が与えられ、青色申告の承認取消しについて個別事情が考慮されるとしても、それは書類不備への対応に配慮したものであって、取引内容や対価の計算根拠について求められる説明の水準まで引き下げるものではない点、留意したい。
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