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税務ニュース2026年09月18日 国外資産の所有権移転時に為替差益実現(2026年9月21日号・№1139) 購入代金の各預入れ日の年分で認識すべきとした納税者の主張を斥ける

  • 米国ドルで米国不動産を購入した場合の為替差損益の実現時期(どの年分か)が争われた裁決事例(名裁(所)令7第14号)。
  • 審判所、米国不動産の所有権移転時(クロージング日)の属する年分で為替差損益は実現と判断。購入代金の各年における各預入れは外貨建取引に当たらず。

 課税実務では、米ドルで米国不動産を購入すると為替差損益が生じる取扱いだ。この取扱いは、最高裁令和8年6月16日判決で示された外貨で資産を取得した場合の所得実現に関する判断で実質的に支持されている(本誌1127号8頁参照)。今回の裁決事例で問題となっていたのは、米国ドルで米国不動産を購入した場合の為替差損益の実現時期(どの年分で認識するか)であった。事実関係をみると、購入契約及び追加契約に基づき米国不動産を米国ドル建てで購入した納税者(居住者)は、購入代金を一括ではなく、平成30年12月から令和4年8月までの5回にわたり、売主が指定するエスクロー会社へ米ドルで預け入れていた。なお、契約では残金はクロージング日に支払うこととされており、クロージングでは総購入価格の支払いに加えて譲渡証書に関する手続き完了により米国不動産の所有権が売主から納税者へ移転する仕組みであった。この取引に対し税務署は、総購入価格を支払った令和4年8月23日を米国不動産の取得時とし、為替差益を令和4年分の所得税等の課税対象として課税処分を行った。これを不服とした納税者は、購入契約の締結時点で発生する代金債務の額とその支払に要した米国ドルの円換算額との差額を平成30年から令和4年までの各預入れ日(支払日)の属する年分の課税対象として認識すべきであると主張した。
 審判所はまず、所得税法57条の3(外貨建取引の換算)第1項に規定する「資産の購入」とは、資産の所有権が確定的に移転した場合をいうと解するのが相当であるという法令解釈を示した。そして本件について審判所は、①購入契約では米国不動産の所有権移転の時期がクロージング日とされていること、②平成30年から令和4年までの各預入れにより資産となり得る何らかの権利又は利益を取得することはなく、各預入れが外貨建取引に当たるということもできないことを指摘。以上を踏まえ審判所は、令和4年中であるクロージング日の為替相場による国外資産の円換算取得価額と、購入に充てた米ドルをそれぞれの取得時の為替相場で円換算した金額の合計額との差額が令和4年分の所得税等の課税対象となる為替差損益であると判断した。

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