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税務ニュース2026年11月06日 子会社株式簿価減額特例見直しも(2026年11月9日号・№1145) 適用除外要件を利用した株式譲渡損失計上スキームを当局が問題視

  • 子会社株式簿価減額特例の適用除外を受け株式簿価を維持し、配当の益金不算入と株式譲渡損失の損金算入を組み合わせるスキームに税務当局が強い問題意識。適用除外要件の見直しにつながる可能性。

 令和2年度改正で創設された子会社株式簿価減額特例は、配当後の株式売却による譲渡損失を抑えるため、一定の配当等の益金不算入相当額を子会社株式の簿価から差し引く制度だが(法令119の3⑩~⑯、119の4①③)、配当を支払う内国普通法人の発行済株式等の90%以上が、同法人の設立時から特定支配日までの期間を通じて内国普通法人や居住者等によって保有されていた場合などには、簿価の減額を行わないという適用除外要件が設けられている。
 この適用除外要件を利用して株式簿価を維持し、子会社から配当を受けた後に、その配当により価値が下がった株式を譲渡すれば、配当と売却代金で取得代金を回収していても、配当は一定の範囲で益金不算入となる一方、譲渡損失は損金に算入され得る。最近話題となった、人気バンドのメンバーが代表を務める会社の事案では、この仕組みによる譲渡損失の計上が法人税法132条により否認された。しかし、国内の重複課税を調整する譲渡損失の計上には一定の合理性があり(財務省「令和2年度税制改正の解説」482頁)、配当と株式売却によって税負担が減少したというだけで、その減少を「不当」と評価するのは容易ではないだろう。また、132条の適用には、予見可能性が十分ではないという問題もある。
 本事案が、少なくとも令和2年度税制改正による簿価減額特例で対応が図られた類型の取引であることを踏まえると、税務上の損失が生じるのは上記事案に固有の問題ではなく、配当と株式譲渡に係る課税の仕組みに内在する構造的な問題ともいえる。国内の重複課税を調整するために譲渡損失の計上を認めることには合理性があるとしても、現に、その仕組みを利用して税負担を減らすスキームが販売されているという実態があるため、適用除外要件の見直しが行われる可能性は十分にあろう。
 実際、本事案で使われたスキームに対しては国税庁も明確に問題意識を有しており、10月20日に開催された政府税調「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」では、租税回避等への対応として、改めて財務省・国税庁から資料の提示と説明があった。政府税調で取り上げられた以上、今後何らかの制限措置が法的に手当てされる可能性があるだけに、今後開催される与党税制調査会での議論を含め、税制改正に向けた動きが注目される。

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