税務ニュース2020年06月26日 株式取得費、名義書換日終値での算定可(2020年6月29日号・№840) 審判所、名義書換日判明株式は概算取得費によらず総平均法で算定
本事案は、相続により取得した上場株式等を売却した請求人が、所得税の修正申告において源泉徴収選択口座で生じた譲渡損失の金額等を新たに計上したところ、原処分庁が当該損失の金額等は修正申告に計上することはできず、また、一般口座内株式が申告漏れであることから概算取得費を用いて譲渡所得の金額を計算し、所得税の更正処分等をしたもの。請求人は、各株式の取得費については取得価額を示す直接的な証拠資料はないが、このような場合には各株式の名義書換日を調査して取得時期を把握し、総平均法に準ずる方法により取得価額を算定すべきであると主張していた。
審判所は、株式等を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算上、取得費に算入する金額は、金銭の払込みにより取得した株式等や購入した株式等についてはその払込みをした金銭の額となるが(所令109条)、2回以上にわたって同一銘柄の株式等を取得している場合には総平均法に準ずる方法によって算出した1単位当たりの金額に、譲渡した株数を乗じて計算した金額となると指摘(所令118条)。これを踏まえて審判所は、取得費の算定に当たっては取引証券会社から交付される取引報告書や顧客勘定元帳などにより確認することが可能であり、これらによっても取得価額が明らかでない場合には、株式等の名義書換日を調べて取得時期とし、その時期の相場(終値)で取得価額を算定することも明確かつ簡便な推定方法として合理的であるとの見解を示した。その上で、審判所の各株式の取得費の調査により名義書換日が判明した株式の取得費については、概算取得費によらず、総平均法に準ずる方法により算定することが相当であると判断。原処分の一部を取消すと結論付けた。
なお、審判所は、譲渡損失の金額等を修正申告に計上できるかは措置法37条の11の5第1項において譲渡損失の金額等を含めて確定申告するかの選択が納税者に委ねられており、含めずに確定申告した場合にはその後の修正申告でも算入できないとした。請求人は当初の所得税等の申告において、相続により取得した上場株式等に係る譲渡所得の金額(本件損失金額等)についていずれも確定申告しておらず、本件損失金額等を除外して確定申告することを選択したものであるとして、修正申告において損失金額等を算入できないと判断した。
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