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厚生・労働2013年04月22日 労務管理をめぐる昨今の状況と雇用形態別の労務管理 執筆者:佐藤純

 人事労務担当者にとって関心の高い労務管理のテーマとして、高齢者雇用やメンタルヘルスがある。また雇用の多様化により、契約社員やパートタイマー等の非正規社員が30%を超えたといわれており、人事労務担当者は、労務管理の面で正社員とどのような区別をしたらよいか分からないという話をよく聞く。

 高齢者雇用の問題は、年金制度と労働法の仕組みが相互に絡んでいる。日本の社会の高齢化の進行度は増しつつあるが、その現れとして老齢厚生年金(報酬比例相当部分)の支給開始年齢が引き上げられていく。従来は満60歳から老齢厚生年金(報酬比例相当部分)が支給されたが、平成25年度に満60歳を迎える人の支給開始年齢は61歳からとなり、60歳から61歳になるまでは完全な無年金状態となってしまう。そしてこれからの年金世代の支給開始年齢は段階的に引き上げられ、将来は満65歳にならないと年金はまったく支給されなくなる。
 このように老齢厚生年金の支給開始年齢が引き上げられると、従業員の収入を確保する対策が必要となる。その手段として民間側の定年の引上げが労働政策として実施されることになり、企業側が対応しなければならない。この度、高年齢者雇用安定法の改正により、高齢者雇用確保に向けた就業規則の改定や新たな労使協定の締結が必要になった。また、これらの対応の進捗状況の調査が、公共職業安定所を中心に行われている。したがって各企業では、高齢者雇用に関する就業規則の改定や労使協定の締結が差し迫った課題となっている。

 もう一方の関心事であるメンタルヘルスであるが、メンタルヘルスセミナー会場は、いつも満員である。その理由は、うつ病患者の増加にあるが、この病気の特徴に注目しなければならない。
 うつ病の特徴は、職務遂行能力の低下、遅刻・欠勤の増加、言動の異常、職場環境への影響等があるが、特に治療の長期化や休職の繰り返しは、人事労務担当者としては悩みの尽きないものである。この問題に対して人事労務担当者ができる対策の一つとして、ストレスチェックがある。うつ病になるとストレスが強くなるといわれているが、簡単なチェック表で測定ができる。それを定期的に行うことで、うつ病の早期発見は可能となる。
 従業員が不幸にしてうつ病となった場合、休職をして治療に専念することになる。そして病気が治って会社に復帰する場合、段階的に仕事の負荷を増加させていく職場復帰プログラムの実施が効果的といわれている。したがって、ストレスチェック表や職場復帰プログラムの事例は、人事担当者には大変参考になるもので、必要なものでもある。

 上述した高齢者雇用やメンタルヘルスの問題は、関心度の高い労務管理のテーマであるが、重要なテーマはこれだけではなく多岐に渡っている。その中に正社員と契約社員などの非正規社員との扱いを、どのように区別したらよいのかということがある。具体的にいえば、労働基準監督署や年金事務所への手続書類は、正社員と非正規社員とで同じものでよいのか、専用の書式があるのかということである。また社内諸規程に関しても、正社員のものを非正規社員に適用してよいのか、別規程としなければならないのかということである。

 この度、出版した「雇用形態別 人事労務の手続と書式・文例」は、上述した問題等に対応可能なものであり、規程や書式・文例が数多く示されている。高齢者雇用に関しては、それに対応した就業規則、労使協定書、メンタルヘルスに関してはストレスチェック表、職場復帰プログラム等の事例がまとめられている。
 さらに、あらゆる労務管理に対応できるように、採用から退職に至るまで必要とされる規程や労使協定、そして個々の雇用管理で重要な文例、法的に定められた書式の事例が数多くまとめられている。具体的には、募集・採用、労働契約、賃金・手当、退職金、労働時間、休日・休暇・休業・休職、人事管理、福利厚生、病気・ケガ・安全衛生、退職・解雇、高齢者雇用・再雇用、就業規則、労働・社会保険に関する諸規程、書式、手続の事例である。
 各テーマの説明は、それに関する「必要書式、手続書類の名称」を冒頭で示したうえで、「解説」、「手続」、「書式の事例」、「作成のポイント」を述べるともに、正社員、パートタイマー、契約社員、嘱託社員によって、どのような点が共通しているのか、または異なっているのかを示した。テーマの数は100を超え、日々の人事労務管理で発生するほとんどの実務、つまり規程や書式の整備、行政への手続、文書による社内通達に対応できるようになっている。
 人事労務担当者であれば、いつも身近なところに置いておきたい本である。
 なお、この書籍は慶應義塾大学の卒業生で構成する社会保険労務士三田会の21名で執筆した。
 日々の業務において、参考になれば幸いである。

(2013年2月執筆)

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