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訴訟・登記2011年10月17日 刑事手続における被害者の役割 執筆者:三木祥史

 ある日突然、あなたが犯罪の被害にあったら、あなたはどうしますか。
 事件が公衆の面前で起きれば、すぐに警察が駆けつけ、犯人の逮捕、事件の捜査が始まるでしょう。しかし、捜査機関にはすぐに明らかとならない犯罪も多々あります。そのような場合に、被害者であるあなたから捜査機関に対し犯罪の被害にあったことを申し出る必要があります。それは「被害届」という形をとる場合もありますが、被害者が被害を申告し、さらに犯人の処罰を求める手続が「告訴」です。
 被害者による告訴がなくても、通常の犯罪は捜査が進められ、犯人処罰の手続が進みますが、性犯罪等の一定の犯罪では、被害者による告訴がなければ処罰ができないという種類の犯罪もあります。これを「親告罪」といいます。また、被害届を出してもなかなか捜査をしてくれないという場合、告訴という正式の手続をしたほうがよい場合もあります。このように、被害者による告訴は、犯罪捜査の端緒として重要な意味を持ちます。
 捜査機関による犯罪の捜査が始まった場合には、被害者であるあなたは刑事事件の重要な証人として事情聴取を受けることになります。その結果、警察署や検察庁であなたの供述調書が作成されます。そして、犯人の供述、その他の証拠等も踏まえて、検察官が犯人の起訴・不起訴を決めます。検察官の起訴・不起訴の処分結果は、告訴をしたあなたに連絡されます。あなたが望めば、不起訴の理由等も教えてもらえます。
 あなたとしては、犯人が起訴されれば文句はないでしょうが、不起訴となった場合には納得がいかないでしょう。その場合には、検察審査会への審査申立てという手段があります。検察審査会は、国民から無作為に選ばれた人たちによって、検察官の不起訴処分が適正か否かを判断する機関です。ただ、検察審査会で不起訴処分が不当という判断がなされても、従前は検察官はそれに拘束されず、その後捜査の上、検察官が更に不起訴とすることもできました。しかし、明石花火大会歩道橋事故や小沢一郎議員の事件でご承知のとおり、近年、「強制起訴」という制度が創設されました。これは、検察審査会で「起訴相当」と判断された事件につき、再度検察官が不起訴とした場合、あるいは、一定期間内に起訴・不起訴の処分をしなかった場合において、検察審査会が再び「起訴相当」の判断をしたときには、検察官に代わって裁判所から指定された弁護士が起訴及び公判の維持を行うという制度です。
 起訴がなされると、裁判所での刑事裁判が始まります。そのなかで、被害者は検察側証人として裁判所に出頭し、被害を受けた状況について法廷で証言をしなければならないこともあります。また、被害者として口頭または書面で被害感情を陳述することもできます。さらに、近時は、一定の重大事件につき、被害者が裁判に参加することも認められるようになりました。参加が認められた被害者は、進行に関して検察官に意見を述べることができる上、法廷で検察官側の席につき、自らあるいは委託した弁護士を通じて、情状証人や被告人に質問をしたり、最後に量刑を含めた意見を述べることもできます。
 このように、被害者は、単なる被害者に留まらず、刑事手続において犯人の処罰のために重要な役割を果たします。そして、近時は、その役割が「被害者の権利」として認められるようになってきています。

(2011年10月執筆)

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