民事2025年04月20日 ケアマネ33%カスハラ経験 介護現場、目立つ暴言 提供:共同通信社

 介護現場で働くケアマネジャーの33・7%は、過去1年間にカスタマーハラスメント(カスハラ)を経験していることが19日、日本介護支援専門員協会の実態調査で分かった。2023年度の厚生労働省調査で労働者全体の経験率が10・8%だったのに比べ、約3倍。利用者である高齢者らの暴言を浴びる被害が目立ち、協会は行政による対策が必要だとしている。
 昨年11~12月に協会所属のケアマネ1293人が回答し、33・7%の436人がカスハラ経験が「ある」とした。被害内容は複数回答で「言葉の暴力や精神的な攻撃」が70・6%と最多。「過度な要求や不当な要求」55・7%、「不当なクレームや根拠のないクレーム」43・8%と続いた。
 これらの行為をしたのは複数回答で、利用者の介護を担う家族や身元保証人らが71・8%と最も多く、次は利用者本人の44・3%だった。
 自由記述では「『おまえは役立たずだ』とのメールが来た」「精神的に病んでしまい休職、退職した」との訴えが寄せられた。経験者の22・5%は仕事を「辞めたい」「どちらかといえば辞めたい」と答えており、対策が不十分なら介護現場の人手不足に拍車をかける恐れがある。
 ケアマネは、利用者側の意向を考慮して介護サービスの利用計画「ケアプラン」を作成する。カスハラを招く理由は、主な相談場所が利用者の自宅のため「利用者や家族は立場が上だと感じやすい」との声が多かった。
 協会の山田剛(やまだ・ごう)常任理事は「介護現場でのカスハラは表に出にくい。行政には相談窓口の設置など対策を講じてほしい」と話している。

カスハラ調査のポイント

 ケアマネジャーのカスハラ調査結果のポイントは次の通り。
 一、過去1年間にカスハラ経験があるのは33・7%。
 一、被害内容は「言葉の暴力や精神的な攻撃」が最多。加害側は利用者の家族らがトップ。
 一、経験者の22・5%は仕事を「辞めたい」「どちらかといえば辞めたい」と回答。

ケアマネジャー

 介護が必要な高齢者の心身の状態や生活状況を把握し、訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを受けられるように「ケアプラン」を作成する。正式名は介護支援専門員で、ケアマネと略称される。市町村や介護事業者と連絡・調整し、プランの実施状況の評価や改善を継続的に行う。報酬は介護保険から支払われ、利用者の負担はない。

(2025/04/20)

(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)

ここから先は新日本法規WEB会員の方のみ
ご覧いただけます。

会員登録していただくと、会員限定記事・動画の閲覧のほか、様々なサービスをご利用いただけます。登録は簡単・無料です。是非ご利用ください。

ログイン新規会員登録

関連カテゴリから探す

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索