カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

民事2025年06月02日 子の一時保護、裁判官判断 親同意ない場合、児相請求 強制措置、適正に 提供:共同通信社

 虐待を受けるなどした子どもを児童相談所が親から引き離す一時保護の際、裁判官が要否を判断する新制度が6月から始まった。親の同意がない場合に児相が裁判所に「一時保護状」を請求する仕組み。強制措置である一時保護は、親との間でトラブルになることも多く、司法審査で措置の適正性、手続きの透明性を確保する目的がある。
 制度導入で、請求の事務作業など児相業務の負荷が増すと見込まれる。こども家庭庁は、児童福祉司や法務担当事務職員など児相の人員体制強化を進めている。
 改正児童福祉法が2022年6月に成立し、制度が盛り込まれた。一時保護の要件は「必要があると認める時」としていたが、新たに同法施行規則で「虐待の恐れがある場合」「児童が自らの保護を求めた場合」などと具体的に定めた。
 制度で児相は、親の同意がない場合や判然としない場合、保護開始前か開始から7日以内に裁判所へ一時保護状を請求。親や子どもの意見も聴取して書類にまとめる。裁判官は、要件に該当しているかを確認するなどし、一時保護状を出すかどうかを判断する。請求が却下された場合に児相は不服を申し立てることができる。
 北海道や福岡県など18自治体の児相では24年3~5月、実際の約240ケースで司法審査が試行運用された。裁判官への提供資料準備や書類提出など、一連の手続きにかかった業務時間は1件当たりの中央値で合計10時間47分だった。
 児相の体制強化に向けこども庁は25年度、司法審査事務に関する職員配置に補助金を出す事業を開始。児童福祉司は26年度までに910人程度増員し、計7390人に増やす目標を掲げている。

効果的支援のきっかけに 識者談話

 国際医療福祉大の橋本和明(はしもと・かずあき)教授(虐待臨床学)の話 新制度では、児童相談所が一時保護の際に親や子どもの意向をしっかり聞くことが大前提だ。経済的困窮や子育ての悩みなど、虐待の背景は各家庭で異なる。親に一時保護に同意するかどうかの二者択一を迫るだけでは、表面的なケースワークにとどまってしまう。支援は一時保護施設で完結するわけではない。学校や地域社会と連携し、行政の福祉施策などニーズに合った支援につなぐ。親や子どもの本音に近づき、こうした効果的な展開をしていくきっかけにすべきだろう。

一時保護

 虐待を受けるなどした子どもの安全を迅速に確保するため、児童相談所長や都道府県知事が必要と判断した場合、一時的に親元から引き離して保護する措置。一時保護施設や児童養護施設、乳児院などが受け入れる。保護の期間は原則2カ月までで、親の意向に反して継続する場合は家庭裁判所の承認を得る必要がある。こども家庭庁によると、2023年度の一時保護の対応件数は5万5422件。

(2025/06/02)

(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)

ここから先は新日本法規WEB会員の方のみ
ご覧いただけます。

会員登録していただくと、会員限定記事・動画の閲覧のほか、様々なサービスをご利用いただけます。登録は簡単・無料です。是非ご利用ください。

ログイン新規会員登録

人気記事

人気商品

関連カテゴリから探す

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索