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経営・総務2025年08月18日 チームビルディングの鍵は「SSR理論」-人が育ち、組織が変わる成長のループ 執筆者:岩田健一

経営者の皆さまにとって、「社員が辞めずに定着・活躍させるにはどうすればいいか」「社員の能力をどう活かすか」「チームとしてどう一体感をつくるか」は、日々頭を悩ませるテーマではないでしょうか。
そんなときに、組織づくりの視点として知っておきたいのが「SSR理論」です。
SSRとは、Strength(人材力)・Structure(組織力)・Relation(関係力)の頭文字を取ったもので、「チームはこの3つの力が循環することで成長していく」という考え方です。


SSR理論とは何か?

1. Strength(人材力)

まずチームづくりの出発点は「人材力」です。これは、個々の強みや弱みをお互いに知り、強みを活かす関わりができているかを指します。
経営者やマネージャーが「この人はこういう特性がある」「ここを任せたら活きる」と理解するだけでなく、チーム内でもその認識が共有されていることが大切です。

2. Structure(組織力)

次に必要なのが「組織力」。会社として定めるべきこと(目的目標・方針・役割・ルールなど)を明確にし、社内で共有されているかです。
人の多様性を力に変えるには、「何を目指して」「どんなルールで」「誰が何をするのか」がハッキリしていることが前提です。組織力がなければ、いくら優れた人材がいても方向性がバラバラになります。

3. Relation(関係力)

最後に、「関係力」。共通の目的に向けて、お互いにどう関わり、どう支え合うかという「コミュニケーションの質」です。
単なる仲の良さや雑談の多さではなく、「目的を達成するための建設的な対話ができているか」がカギになります。


SSRはどう回るのか? ~チームが育つ成長のループ~

社員同士がバラバラな状態(人材力)でも、共通の目標(組織力)が明確になれば、グループからチームに変化します。
その目標に向けてコミュニケーションを重ねる(関係力)ことで、「誰が何に強いか」が見えてきます(人材力)。すると、役割を分担しやすくなり(組織力)、そこからさらに連携が進みます(関係力)。
このように、人材力→組織力→関係力→人材力→…と循環していくのがSSR理論の特徴であり、チームが育つ自然なプロセスです。


SSRの5階層-強いチームがたどる成長ステップ

SSRは、成長のステップを5段階のレベルで整理することもできます。
1. 自分に関心がある段階

   ・多様な人がいることを実感
   ・会社の目的や価値観に沿って働こうとしている
   ・上司が部下(の強み)を信頼している

2. 所属部署に関心を持つ段階

   ・任された仕事で自分の知識・経験が役に立ったと実感する
   ・部署や会社のビジョンを理解
   ・上司や同僚との信頼が深まる

3. チームとして力を発揮する段階

   ・強みを活かし合える実感がある
   ・個人目標が組織目標とつながっている
   ・部署の一体感が生まれている

4. 組織を超えた協働の段階

   ・学びの機会があり能力が伸びる
   ・目的達成の仕組みが機能している
   ・部署を超えて協力し合っている

5. 自己実現と共感の段階

   ・この会社で自分を活かせると感じる
   ・会社の存在意義に心から共感している
   ・経営者への感謝が生まれている

このように、「自分」からスタートして、「会社」や「経営者」へと関心と信頼が広がっていくプロセスが、SSRの5階層です。関心が強いところから手を打つことが、チーム強化の近道です。


経営者にできること-SSRを回す起点は「対話」

SSR理論は、目新しいフレームワークというよりも、「チームが自然に育つプロセスを言語化したもの」です。
だからこそ、経営者として意識すべきは「多様性を受け入れ、対話の質を高めること」です。
相手の強みを知ろうとする会話、方向性をすり合わせる時間、率直に意見を言い合える雰囲気。
これらがSSRの循環を生み出す起点になります。

また、これらを本気で行おうとすると、対話の時間が必要になります。
コミュニケーションには時間がかかり、時間には人件費などのコストがかかります。つまり、コミュニケーションはコストです。
SSRに本気で取り組むには、時間、コミュニケーションコストに投資するという感覚が必要になります。


まとめ

強いチームは、最初から揃っているわけではありません。
バラバラな人が、共通の目的を持ち、対話を重ねながら、だんだんとチームになっていく-このプロセスが、SSR理論が教えてくれる大切な視点です。
組織づくりにお悩みの経営者の方は、ぜひこの理論を頭に置いて、チームと向き合ってみてはいかがでしょうか。

執筆者の毎日ブログはこちら
https://iwata-office.jp/blog/

(2025年7月執筆)

(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)

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執筆者

岩田 健一

組織開発コンサルタント・キャッシュフローコーチ・社会保険労務士(お金と人事のコンサルティング岩田事務所 代表)

略歴・経歴

心理学科卒・信用金庫職員・調剤薬局経理職を経て2014年8月開業。
答えを教えず答えを引き出すコーチングをベースとした社長相談で、納得の経営判断をサポートする。
クライアントの悩みに合わせて相談に応じるため、相談で取り扱うテーマは、経営理念の見直し、目的目標の明確化、事業戦略の整理、責任分担(組織図)の明確化、従業員のキャリアパスの明確化、理想人材像の明確化、サクセッションプラン、人事制度の明確化、部下との関わり方など、多岐にわたる。
必要に応じて組織診断、人材診断、社員研修、ミーティングの進行役なども行う。

「面倒見の良さ」「相手の話を心から聴く力」「難しいことを分かりやすく説明する力」「あれもこれも相談できる知識の広さ」に定評がある。

人生理念
「誠実・他社貢献・自然体」
ミッション
「会社の成長と社員の幸せの両立を実現し、笑顔あふれるつながり作りに貢献する。」
バリュー
「真の悩みに寄り添い、安心を与えるコンサルティング」

保有資格は特定社会保険労務士・CFP・1級FP技能士など多数。

経営に役立つ365日毎日ブログを3500日(9年7か月)以上継続している。
「岩田事務所 毎日ブログ」
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