一般2025年08月18日 「被害者手帳」全国導入へ 警察庁が実施モデル提示 負担軽減、支援調整員も 提供:共同通信社

犯罪被害者が自身の被害内容や、行政などとのやりとりの状況を記録することができる「被害者手帳」を全国で導入するため、警察庁が各地の警察に実施モデルを示す方針を固めたことが17日、政府関係者への取材で分かった。具体的な内容や時期は検討中。支援を担う行政など、各種機関との調整役が期待される「支援コーディネーター」の導入に向けても都道府県を支援する。
被害者は犯罪被害者給付金や見舞金などの支援制度を活用する際、自身の被害について逐一説明する必要があったが、被害者手帳があれば口頭での説明が簡略化されるなど、精神的な負担が減る。支援コーディネーターも被害者の負担軽減が狙いで、支援制度が十分に活用されるよう調整役を担う。
いずれも一部の自治体や民間団体で類似の制度を設けているところがあるが、地域差があった。警察庁は手帳に記載する内容のモデルや運用方法を都道府県警に提示する。被害者が活用できる支援制度の一覧なども掲載する方向で、具体的な内容や時期は今後詰める。
政府は毎年11月25日~12月1日に実施している「犯罪被害者週間」について、本年度から広報啓発を強化し、来年度からは「月間」化する方針。
自民党の司法制度調査会が6月、坂井学国家公安委員長に手帳とコーディネーターの導入、犯罪被害者週間の月間化を提言していた。提言ではインターネット上での被害者や遺族らへの誹謗(ひぼう)中傷対策や「犯罪被害者等支援弁護士制度」の周知・拡大なども求めている。
被害者らの支援を巡っては、損害賠償金が支払われない事例が後を絶たない。政府は損害回復や支援の在り方を検討するため北欧など海外の事例を調査する方針で、日本での実現可能性を探る。来年4月からの次期犯罪被害者等基本計画策定に向けた議論も続く。
犯罪被害者給付金
殺人など故意の犯罪行為で死亡した被害者の遺族や、重傷や障害を負った被害者の経済的・精神的負担を緩和するため、国が支給する一時金。都道府県公安委員会が支給の可否を裁定する。被害者の年齢や勤労収入の額などに基づいて支給額を算定する。1974年の三菱重工ビル爆破事件を契機に制度創設の声が高まり、81年に給付が始まった。休職中や収入のない子ども、主婦が死亡した場合の給付額が低すぎるとの遺族らの声を受け、2024年6月に増額された。
(2025/08/18)
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