一般2025年10月08日 悪質カスハラ、罰則で防止 三重県が条例制定方針 全国初、26年度議会提出へ 提供:共同通信社

客が従業員らに理不尽な要求をするカスタマーハラスメント(カスハラ)をなくそうと、三重県が罰則付きの防止条例を制定する方針を固めたことが7日、県への取材で分かった。県によると、全国複数の自治体でカスハラ防止条例が成立したが、罰則付きはない。10月中に条例の基本方針を県議会側に示す予定で、来年度議会への条例案提出を目指す。
正当な理由なく、大声で繰り返し謝罪や面会、利益供与などを求める行為を「特定カスハラ」とし、知事の禁止命令に従わない場合、50万円以下の罰金などを科すという流れを想定している。
有識者でつくる県の審査会が、被害者側から提出された録音や録画などの証拠を基に、特定カスハラに当たるか協議し、知事が禁止命令を出すかどうかを判断。禁止命令後も改善されなければ罰金などとする。県内で発生した事案が対象で、民間事業者の他、公私立学校の教員や公務員も被害を訴えることができるという。
現在、検察と罰金額などを協議している。
一見勝之(いちみ・かつゆき)県知事は7日の定例記者会見で、カスハラによる従業員の被害が深刻だと説明。「実効性を確保するため、罰則を付ける」と述べた。
カスハラ防止を巡っては、同県桑名市で4月、悪質な事案で、加害者の氏名などを公表する市条例を施行。6月、市内の配送業者に土下座を要求するなどした行為をカスハラと認定し、警告書を発送した。
4月以降、北海道、群馬県、東京都などでも条例が施行。いずれも罰則はない。他にも条例制定に向け検討している自治体がある。
制定目指す条例のポイント
三重県が制定を目指す罰則付きのカスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例のポイントは次の通り。
一、正当な理由なく、大声で繰り返し謝罪や面会、利益供与などを求める行為を「特定カスハラ」とする。
一、事業者などからの訴えを受け、有識者でつくる審査会で特定カスハラに当たるか協議。
一、特定カスハラと認定した場合、県知事が禁止命令を出す。
一、禁止命令後、改善されない場合、50万円以下の罰金を科す。
カスタマーハラスメント
「Customer」(顧客)と「Harassment」(嫌がらせ)を組み合わせた造語で、略して「カスハラ」と呼ばれる。顧客や取引先が立場を利用して店員や公務員に暴力を振るったり、理不尽な要求をしたりする迷惑行為を指す。交流サイト(SNS)での個人情報拡散などインターネット上の被害もある。従業員が心身の不調によって退職に追い込まれるなど社会問題化している。
(2025/10/08)
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