一般2026年05月25日 相次ぐ暴言、映像再生も 世論形成に警戒心強く 提供:共同通信社

相手を侮辱するような暴言、抗弁を許さない威圧的な態度…。検察の取り調べに問題があったとして、元被告らが国に損害賠償を求め訴訟を起こす事例が相次いでいる。重要証拠である録音・録画データが法廷で再生されたケースも。ただ、検察に不利な世論の形成につながりかねないことから、証拠が裁判所の外に出ることへの警戒心は強い。再審制度見直しに向けた議論でも、外部への流出を過度に懸念する法務・検察の姿勢に批判が上がっている。
▽迎合
「検察なめんなよ」。2024年12月、業務上横領罪に問われ無罪となった不動産会社元社長が大阪地裁に起こした国家賠償請求訴訟で、大阪地検特捜部検事(当時)の取り調べ映像が再生された。約25分の録音・録画データには、捜査対象者を罵倒したり、机を強くたたいて怒鳴ったりする様子が収められていた。
判決は、逮捕や起訴の違法性こそ認めなかったが、取り調べは「容疑者を畏怖させ、検察官に迎合する供述を誘発する危険性があり、著しく不適切だ」と指弾した。
違法性が認定された例も。横浜地検に犯人隠避教唆容疑で逮捕、起訴され、有罪となった元弁護士による国賠訴訟で一審・東京地裁は24年7月、検事の「お子ちゃま発想」発言を、人格権侵害に当たると認めた。
▽知る権利
刑事裁判をやり直す再審制度の見直しを巡る議論でも、証拠の扱いが課題に挙がった。
26日に衆院で審議入りする政府の刑事訴訟法改正案は、開示証拠の「目的外使用」を罰則付きで禁止とした。証拠に記録された関係者のプライバシーに配慮するためだ。
しかし証拠の共有が再審開始につながった事例を念頭に、議員らから批判が出ている。静岡県一家4人殺害事件で再審無罪が確定した袴田巌さん(90)の第2次請求審で、犯行着衣とされた「5点の衣類」のカラー写真が証拠開示された。血痕の「赤み」が争点となり、弁護団や支援者らが実験を重ねるなどして再審開始が実現した。
超党派国会議員連盟会長の柴山昌彦元文部科学相は「国民の知る権利の観点から、しっかりと世に出すべきだ」と強調。有識者からも「証拠は国民共有の持ち物だ」との意見が出ている。
▽印象
裁判手続きでは、録音・録画データなどの「生」の証拠をそのまま提出せず、陳述書などを作成する対応も一般的だが、声量や立ち居振る舞いは映像や音声でなければ正確には伝わらないとの声は根強い。
ある法務・検察幹部は「文字起こしの情報と、実際の映像で見るのとでは、印象が大きく変わることがある」と認める。別の幹部は映像の効能を認めつつ、閲覧制限などの申し立てをしても裁判所が認めない可能性があると指摘。その上で、自らに言い聞かせるようにこう語った。「結局は、誰に見られても問題のない取り調べを徹底する以外に道はない」
(2026/05/25)
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