一般2026年07月16日 精神障害労災7年連続最多 厚労省、目立つパワハラ 請求4千件超、認定率3割 提供:共同通信社

厚生労働省は15日、仕事によるストレスが原因で精神障害を発症し、2025年度に認定された労災は1082件(前年度比26件増)だったと発表した。原因としては「パワハラ」が目立つ。7年連続で過去最多となった。精神障害の労災請求も4958件(同1178件増)で最多を更新。一方、25年度内に支給・不支給が決定した件数に占める支給の割合(認定率)は約3割にとどまった。
厚労省によると、労災認定された1082件のうち、自殺や自殺未遂に至ったケースは76件。原因別では最も多かったのが「パワハラ」の222件で、「カスタマーハラスメント」「セクハラ」がいずれも127件で続いた。
精神障害の労災認定が増加する背景について、厚労省の担当者は「報道やハラスメント防止施策の推進で、業務上のストレスによる精神障害について社会的な認識が広く浸透した」と分析した。
年齢別で見ると、40代が最多の294件で、50代244件、30代243件と続く。若年層も多く、20代は236件、19歳以下も11人いた。
業種別では「医療、福祉」が292件、「製造業」158件、「卸売業、小売業」116件だった。
25年度内に支給・不支給が決定したのは3839件で、認定率は28・2%だった。前年度の30・2%を下回った。1件当たりの審査期間の平均は8・2カ月だった。
1082件以外で、複数企業で働き、精神障害を発症した労働者が、それぞれの業務負荷を合算するなどして認定に至った労災も4件あった。
厚労省は、過重労働による脳・心臓疾患での労災認定件数も発表し、25年度は217件(同24件減)となった。亡くなったのは前年度と同じ67件だった。「運輸、郵便」が64件で最も多かった。
労働問題に詳しい蟹江鬼太郎弁護士の話 ハラスメントに起因する精神疾患の増加や労災制度の認知度向上を受けて請求件数が増える一方、認定までには一定のハードルがあり、認定率は近年30%台で推移している。労働基準監督署の審査が長期化するケースも目立っており、国が示す標準処理期間は8カ月とされているが決定まで約2年を要した事例もあった。経済的に苦しい当事者の場合、長期化で補償給付を受けられず、精神疾患を患いながら働くことを余儀なくされる場合もある。「迅速救済」が制度の目的であり、その観点がなおざりにされているのが現状だ。国は審査に当たる職員の増員なども視野に入れた体制強化が求められる。
労働災害(労災) 労働者が仕事中に負傷したり、業務が原因で病気になったりする災害。死亡も含む。被災した労働者や遺族が労働基準監督署に申請し、業務との因果関係が認められた場合、労災保険法に基づき治療費や休業、遺族補償などの給付を受けられる。保険料は全額、事業主負担。今年7月には、農林水産業の小規模事業主に従業員の労災保険加入を義務付けることなどを盛り込んだ改正法が成立した。
(2026/07/16)
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