一般2026年07月28日 「声の法的保護」大筋了承 AI偽動画、権利侵害恐れ 法務省検討会 提供:共同通信社

人工知能(AI)で声優らに似せた声を生成する行為の法的責任について議論する法務省の有識者検討会は27日、人の声が、商業的価値を独占するパブリシティー権や、「みだりに利用されない権利」による保護の対象になると明記した指針案を大筋で了承した。声の特徴や歌い方が酷似した偽動画は、権利侵害の恐れがあると例示。中でも性的な内容を語らせる動画は声優らの名誉を傷つけ、違法と評価される可能性が高いと言及した。
法務省は細部を詰めた上で、8月上旬に指針を公表する。声の権利を明示した法律はなく、声優らが対策の必要性を訴えていた。指針が被害の抑止につながると期待されている。
指針案では、最高裁の判例で権利が認められている肖像と同様、声も人格を象徴しており、パブリシティー権などの保護対象に含まれるとの見解をまとめた。違法行為があれば、損害賠償請求や不正利用の差し止め請求ができるとした。
具体的な事例として、歌手や声優に似た声で歌唱させる音源をAIで作成し、交流サイト(SNS)に投稿して収益を得るケースを検討。声質の類似性や、動画中に本人と関連付ける説明文があるかどうかといった点を総合的に考慮し、違法性を判断するとの基準を示した。
わいせつな内容を読み上げさせる偽動画は「自尊心を傷つける」と指摘。知人の顔や声を加工する「性的ディープフェイク」の被害が深刻化している現状を踏まえ、被害者が著名人でなくても権利侵害は認められ得るとした。
一方、表現の自由に配慮し、公務員や選挙の候補者の声を政治的な批判の目的で使うなど「受忍すべき場合もある」との留保も付けた。
声の法的保護に関し、法務省の有識者検討会が大筋で了承した指針案のポイントは次の通り。
一、声は、商業的価値を独占するパブリシティー権や「みだりに利用されない権利」で法的に保護される。
一、人工知能(AI)で作成した声優らの声に似せた動画は権利侵害に当たる恐れがある。声質の類似性などを総合的に判断する。
一、性的な内容は違法と評価される可能性が高い。
一、表現の自由に配慮し、政治的批判など受忍すべき場合もある。
声の権利に関する検討会 声優らに似た声の人物が歌ったり話したりする動画が交流サイト(SNS)上で氾濫している状況を踏まえ、法務省が4月に設置。学者や弁護士計8人で構成され、東大大学院の田村善之教授が座長を務める。5月の会合では、アニメ「進撃の巨人」の主人公エレン・イェーガー役を務めた梶裕貴さんら人気声優が対策を求めた。
(2026/07/28)
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