一般2026年08月13日 日本国旗損壊罪法施行 拘禁刑2年以下か罰金 表現の自由侵害懸念 警察庁「慎重に立件」 提供:共同通信社

日本の国旗を傷つける行為を処罰する日本国旗損壊罪法が13日、施行された。「人に著しく不快、嫌悪の情を催させる方法」で公然と国旗を損壊、除去、汚損した場合に2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を科す。国会審議では、憲法が保障する「表現の自由」の侵害や、拡大解釈による適用への懸念が指摘された。警察庁は、立件の可否を慎重に検討し組織的に判断するよう都道府県警に通達している。
国旗損壊罪の創設は高市早苗首相が首相就任前から提唱し、昨年10月の自民党と日本維新の会との連立政権合意書に盛り込まれた。「国旗を大切にする国民感情の保護」を目的に、自民、維新、国民民主、参政4党が先の特別国会に共同提出し、7月17日に成立した。
処罰対象は、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案すると規定。適用に当たって表現の自由など憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないよう留意するとされた。付則では、施行後3年をめどに状況を勘案し、必要がある場合は所要の措置を講じるとした。
他人の物を損壊する行為を罰する器物損壊罪と異なり、自己所有の国旗を損壊した場合も処罰対象となり得る。実写映画での損壊場面の上映や、アニメ、漫画、ゲーム、生成人工知能(AI)で作成した動画は対象外とした。
野党は「恣意的な立件や拡大解釈の余地を残す」と批判し、処罰対象の明確化を求めたが、提出者側は「個々具体的な事情に基づく」と述べるにとどめた。国会審議に出席した複数の大学教授ら参考人は、表現の自由に抵触する恐れなどから憲法違反の可能性が高いと主張した。
要件曖昧「どう適用」 捜査現場から困惑の声
日本国旗損壊罪法は、日の丸を公然と傷つける行為を取り締まる。ただ、要件が曖昧でどのような行為が罪に当たるのかが判然とせず、現場で対応する警察からは「どう適用するのか」と困惑の声が漏れる。専門家は、憲法が保障する内心、表現の自由を侵害する恐れがあるとして「捜査機関は違法性を丁寧に見極め、慎重な運用が必要だ」と求める。
国旗損壊罪法は「人に著しく不快、嫌悪の情を催させる方法」で日の丸を損壊することを要件と定め、人通りの多い広場で国旗を燃やすなどの行為が対象になる。ただ、政治的、芸術的表現として正当行為だと認められる場合は、処罰対象には当たらないとする。
警察庁は施行に先立ち、違法性について組織的に検討するよう都道府県警に指示。現行犯逮捕は、犯罪であることが明白な場合にしかできないと強調した。
デモ現場などでは、一般市民が取り押さえる「私人逮捕」が想定される。警察は身柄の引き渡しを受ければ、留置の必要性を検討しなければいけない。捜査関係者は「要件が曖昧で判断が難しい。摘発しても、しなくても警察は批判を受けそうだ」とため息をつく。
元裁判官の水野智幸・法政大教授(刑事法)は国旗損壊行為について「何らかのメッセージがあるからこそ行われるもので、同法は内心の自由や表現の自由を侵害、萎縮させる恐れがある。起訴された被告側が憲法違反を主張することも十分あり得る」と指摘。「捜査当局は難しい立場に置かれるが、違法行為に当たるかどうかを慎重に見極め、冷静に対処してほしい」と話した。
国旗損壊罪法ポイント
日本国旗損壊罪法のポイントは次の通り。
一、人に著しく不快、嫌悪の情を催させる方法で、公然と国旗を損壊、除去、汚損した者は2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金。
一、処罰対象は、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して判断。
一、表現の自由など憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意。
一、国会審議で野党や参考人は捜査機関による拡大解釈の懸念や違憲性を指摘。
(2026/08/13)
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