一般2026年08月27日 法のとりで維持に正念場 日本政府、覚悟問われる 提供:共同通信社

トランプ米政権が制裁対象とした国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が、組織存続への支援を訴えた。米政権がICC解体に向け圧力を強める中、赤根氏は国際法の「最後のとりで」を維持する正念場として危機感を示し、日本政府に米国への働きかけを期待した。世界が強い連帯を示す中、高市早苗首相が「大変残念」とした当初の対応が「弱腰」と批判され、軌道修正に走った。日本の覚悟が問われる。
▽信念
「正義は常に対極にあるものに優越しなければならない」。赤根氏は26日のオンライン記者会見で強い信念を示した。日本や各国で支援の動きが広がっていることに何度も感謝を表明。日本政府に向けて「米国と対話を続け、エスカレートしないようにしてほしい」と要望した。
日本政府は今回、赤根氏を送り出した国としては、ちぐはぐな対応が目立った。東アジアの安全保障環境が悪化する中、唯一の同盟国である米国との摩擦を回避したいとの思惑が透ける。
高市氏が制裁に対して「日本の立場と相いれない」と表現を強めたのは制裁発表から約1週間後の25日。ICCが所在するオランダのベーレンドセン外相が即座に「制裁を容認しない」と強い言葉でX(旧ツイッター)で反応したのとは対照的だった。
その後も欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長が赤根氏を「断固として支持する」とXで表明するなど強い連帯の声が相次いだ。
▽及び腰
日本政府がICCへの米制裁を巡り、及び腰の対応だったのは今回が初めてではない。トランプ大統領がICC職員らに制裁を科すことを可能にする大統領令に署名した2025年2月、約80のICC加盟国・地域が非難声明を出したが、最大の分担金拠出国の日本は加わらなかった。
今回、国内では高市政権への批判が噴出、超党派議員連盟は24日「諸国と比べて段違いに弱い」として政府に制裁への抗議を求める声明をまとめた。政府高官の一人は高市政権の対応について「『法の支配』を重視する日本の立場を国内外に発信する機会を逃してしまった」と嘆く。
▽懸念
今後懸念されるのは、米国が組織への制裁を行い、ICCが機能不全に陥る事態だ。赤根氏は25年3月、EUに対し、域内で米制裁を無効化する「ブロッキング規則」の発動を求めたが、実現には至らなかった。
ブロッキング規則は、域内企業が制裁に従うことを禁じ、外国の法廷が制裁金支払いを命じても効力を認めない内容。だが制裁に背けば米国での事業は難しくなり、企業側のハードルが高い。
高市首相は25日、日本として今後の対応を問われ「手の内を見せる」のは避けたいとして詳細を語らなかったが「必要なタイミングで必要な働きかけをする」と強調した。(ブリュッセル、東京共同=出口朋弘、河内俊英)
(2026/08/27)
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