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一般2020年08月24日 特別企画:女性登用に対する企業の意識調査(2020年) 出典:帝国データバンク

女性管理職割合は平均7.8%、前年から微増
~「女性管理職30%」目標を達成している企業は7.5%にとどまる~

はじめに
 就業人口の減少や共働き世帯の増加などもあり、職場における女性の存在感が高まっている。2022年には女性活躍推進法の改正を控え、主に中小企業に対して新たに女性活躍の情報公開が義務付けられるなど、女性の労働参加は大きな変革期を迎えている。女性の労働参加は、企業にとって新たな視点の創出や男性の働き方改革としても期待されている一方で、女性の労働参加に向けた課題は、未だ解決されていない現状がある。
 そこで、帝国データバンクは、女性登用に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年7月調査とともに行った。
※調査期間は2020年7月16日~31日、調査対象は全国2万3,680社で、有効回答企業数は1万1,732社(回答率49.5%)。なお、女性登用に関する調査は、2013年以降、毎年7月に実施し、今回で8回目
※本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
調査結果(要旨)
1.女性管理職の割合は平均7.8%と前年比0.1ポイント上昇。政府目標である「女性管理職30%以上」を超えている企業は7.5%(同0.4ポイント上昇)とわずかながら増加したものの、依然として低水準にとどまっている。また、女性従業員の割合は平均25.8%(同0.6ポイント上昇)、女性役員の割合は平均10.8%(同1.0ポイント上昇)となった
2.今後、女性管理職の割合が増えると見込んでいる企業は21.7%となり、前年より1.9ポイント減少した。また、今後女性役員の割合が増えると見込んでいる企業は6.9%(同0.7ポイント減)だった
3.社内外を問わず女性登用を進めている企業は42.6%となり、前年から7.4ポイント減少している。女性登用を進めた効果では、「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」(71.8%)が突出して高く(複数回答、以下同)、「女性の労働観が変化してきた」(29.1%)、「多様な働き方が促進された」(28.4%)が上位で続いた
4.女性の活躍を促進するために重要なことでは、「妊娠・出産・子育て支援の充実」が64.7%でトップとなった(複数回答、以下同)。さらに、「仕事と子育ての両立支援」(56.2%)や「保育サービスの充実」(52.7%)など、上位には女性における家庭負担の軽減に関する項目が並んだ。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で急速に普及が進む「テレワークの導入・拡充」は36.3%となり、3割以上の企業が女性活躍推進にもテレワークが重要であると認識していた
1.「女性管理職30%」目標を達成している企業は7.5%にとどまる
 自社における従業員に占める女性の割合を尋ねたところ、女性従業員割合は平均25.8%となった(前年比0.6ポイント上昇)。「30%以上」と回答した企業1は31.5%となり、比較可能な2014年以降で最も高くなっている。また、女性従業員割合が10%に満たない企業は28.3%(「10%未満」と「0%(全員男性)」の合計)であった。
 自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合は平均7.8%と、過去最高を更新したものの、前年比0.1ポイント増とわずかな上昇にとどまった。政府が目標として定めている「女性管理職30%」を超えている企業は7.5%にとどまり、その目標とは大きく差が開いている。
 自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合は平均10.8%と、同1.0ポイント上昇した。また、女性役員が1人もいない企業(0%(全員男性))は56.6%と半数を超えている。

1 「30%以上」は、「100%(全員女性)」「70%以上100%未満」「50%以上70%未満」「30%以上50%未満」の合計。「10%未満」は、「5%以上10%未満」「5%未満」の合計
 女性管理職の割合を規模別にみると、「小規模企業」が平均10.5%で最も高く、規模が小さい企業ほど女性管理職の割合は高かった。業界別では、『小売』『不動産』『サービス』『金融』が他業界より高い。他方、割合が低水準にとどまった『製造』『運輸・倉庫』『建設』といった企業からは、「職場環境を改善しており採用したいが、力仕事があり汚れる作業もある労働環境のため、募集をしても女性からの応募がない」(銑鉄鋳物製造、群馬県)や「業界内で現場監督として女性を採用している例をみるが、いずれも長続きしないとのことで、難しさを感じている」(土木工事、北海道)など、女性を採用する段階から苦心している声があげられている。
 現在の女性活躍推進法では、女性活躍に関する情報公開が従業員数301人以上の企業に義務付けられている。同法は2022年4月に改正法が施行され、情報公開の対象が従業員数101人以上の企業に拡大される予定となっている。それぞれの区分で女性管理職割合の平均をみると、従業員数が「301人以上」では6.2%(前年比0.2ポイント増)、「101人以上」では5.7%(同0.3ポイント増)だった。いずれの区分も前年度からほぼ横ばいとなっているが、今後は新たに情報公開の対象となる従業員数101人以上の企業における数値の変化が注目となろう。
 また、「女性管理職30%以上」を超えている企業を細かくみると、女性管理職割合の平均と同様の傾向がみられ、規模別では「小規模企業」が最も高く、業界別では『小売』『不動産』『サービス』が上位となった。
2.女性の管理職割合が今後増加すると見込む企業は21.7%、前年比1.9ポイント減
 自社における女性管理職割合は5年前と比較してどのように変わったか尋ねたところ、「増加した」と回答した企業は21.2%となった。一方、「変わらない」とする企業が69.8%と7割近くに達した。また、現在と比較して今後どのように変わると考えているか尋ねたところ、女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる企業は21.7%(前年比1.9ポイント減)となった。2014年以降は緩やかな拡大傾向にあったものの、2018年をピークにやや鈍化している。女性役員については、5年前と比較して「増加した」企業は8.7%、今後「増加する」と考えている企業は6.9%(同0.7ポイント減)となった。いずれにおいても「変わらない」が7割以上を占めている。
3.女性登用を進めている企業は42.6%、前年から7.4ポイント減少
 自社において女性登用を進めているか尋ねたところ、進めている企業2は42.6%となった(複数回答、以下同)。前年度(50.0%)から7.4ポイント減少し、前年までの増加傾向から一転する結果となった。特に小規模企業において、女性登用を進めている割合は低い。女性登用を進めている企業の内訳をみると、「社内人材の登用を進めている」は38.2%、「社外からの登用を進めている」は10.2%となり、それぞれ減少している。他方、「進めていない」は41.0%となり4割を上回る結果となった。
 女性登用を進めている企業にその効果を尋ねたところ、「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」が71.8%で、群を抜いてトップとなっている(複数回答、以下同)。次いで、「女性の労働観が変化してきた」(29.1%)、「多様な働き方が促進された」(28.4%)などが2割台で続いている。  女性登用の効果を業界別にみると、『小売』や『建設』において、全体より高い数値を
 女性登用の効果を業界別にみると、『小売』や『建設』において、全体より高い数値を示している傾向にある。とりわけ、女性登用を進めている割合が3割台にとどまった『建設』では、女性登用を進めた効果の上位10項目中で8項目が全体を上回り、2項目はトップとなるなど、女性登用を進めている割合は低いものの進めた効果の実感は強い傾向が表れている。建設業の企業からは、「建設業は現場仕事なので女性を採用するのは難しい」(はつり・解体工事、埼玉県)といった声がある一方、「まだまだ少数だが、女性技術職の採用で労働環境が改善された。設備面なども女性に配慮していきたい」(木造建築工事、長野県)や「いまだに男性社会のイメージが強い建設業ではあるが、女性作業員用の更衣室やお手洗いなどの改善が進み、以前よりは働きやすくなってきている」(内装工事、大阪府)といった実感もあげられている。

2 「女性登用を進めている」は、「社内人材の登用を進めている」または「社外からの登用を進めている」のいずれかを回答した企業
4.子育て支援の充実など、家庭の負担軽減が女性の活躍促進のカギに
 2020年7月1日、政府は「すべての女性が輝く社会づくり本部」において、今後重点的に取り組むべき事項「女性活躍加速のための重点方針2020」を決定した。
 そこで、今後より一層女性の活躍を促進するためにどのようなことが重要と考えるか尋ねたところ、「妊娠・出産・子育て支援の充実」が64.7%でトップとなった(複数回答、以下同)。2019年に続いて最も高い。 次いで、育休復帰支援などの「仕事と子育ての両立支援」(56.2%)、長時間労働の削減などの「働き方の改革」(55.3%)、待機児童や保育士不足の解消などの「保育サービスの充実」(52.7%)が5割超で続き、女性の家庭における負担軽減に関する項目が上位に並んでいる。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で急速に進んでいる「テレワークの導入・拡充」は36.3%となり、3割超の企業が女性活躍にもテレワークが重要であると認識していることが明らかとなった。
 企業からは、「女性従業員の登用への一番の壁は結婚・出産での離職だと思うので、国がもっと子育てをしながら働ける環境を整備しなければ進まないと感じる」(ソフト受託開発、東京都)や「さらに女性が働きやすい職場へ変化させるために、労働時間削減や業務の見直しなどを進めたい」(一般貨物自動車運送、長野県)といった意見がみられた。また、「女性パート社員を3名採用しており、大変優秀なため時給をアップしているが、扶養の範囲を超えてしまうためもっと働きたいのに働けない状況になっている」(金属加工機械卸売、宮城県)という声もあがっていた。
まとめ
 本調査によると、管理職(課長相当職以上)および役員における女性の割合はわずかながら上昇したものの、2019年から変化があまりみられない結果となった。女性管理職や役員が今後増加すると見込んでいる割合や、女性登用を進めている企業の割合も前年より減少し、総じて女性登用に向けた動きは従来よりも鈍化している。
 女性登用を進めている企業からは「製造現場でも実際の現場に従事する女性が増えた」(印刷・製本・紙工機械製造、埼玉県)といった意見もみられるなど、その効果として前年に引き続き「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」が最も高い。また、「まだまだ女性は家で家事をやるのが当たり前だと思っている男性が多いため、男性側の意識を変えること、子供の存在を負担にさせない施策が必要」(各種機械製造・修理、群馬県)といった声にあるように、今後より一層女性の活躍が促進されるためには、女性の家庭における負担軽減や、職場の働き方の見直しなどが重要とする意見が多い。
 また、テレワークに関しても3割以上の企業が女性活躍推進に重要と考えており、「テレワークの推進など、子供や家庭に近い状況で仕事ができるような会社規定の見直しを進めていく」(接着剤製造、大阪府)といった声があげられている。新型コロナウイルスの影響拡大を契機にテレワークの実施や検討を行っている企業も3割以上あり(帝国データバンク「新型コロナウイルスに対する企業の意識調査(2020年5月)」)、テレワーク普及の流れが女性活躍推進に向けてチャンスとなる可能性がある。
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