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経営・総務2020年08月20日 特別企画:全国「女性社長」分析調査(2020年) 出典:帝国データバンク

女性社長比率全国で8.0%、20年ぶりに前年から変動せず
~日本大学、3年ぶりに出身大学別でトップ~

はじめに
 近年、2015年に施行された「女性活躍推進法」や、政府が提唱する「1億総活躍社会」の実現に向け、「女性の活躍推進」が重要政策の柱として掲げられるなど、女性の社会進出が急速に求められてきた。こうしたなか、中小企業における後継者難対策として、また新型コロナウイルス後のビジネスを見据え、新たな目線や発想で新規事業や改革を実践する女性社長がクローズアップされるなど、女性の活躍に引き続き注目が集まっている。
 帝国データバンクは、自社データベースをもとに、個人事業主・非営利・公益法人などを除く全国約116万社の事業会社を対象に、女性が社長を務める企業について分析を行った。同様の調査は2019年6月に続き7回目。
※ 本調査より「合同会社」「合名会社」「合資会社」を新たに集計対象とした
1.全国女性社長比率~女性社長比率は8.0%、20年ぶりに前年比横ばい~
 2020年(4月末)における女性社長の比率は、全国で8.0%となった。30年前の1990年は4.5%、20年前の2000年は5.6%、10年前の2010年は6.8%と、女性社長比率は緩やかな上昇傾向で推移してきた。しかし、2020年は20年ぶりに前年比横ばいとなったほか、依然として女性社長の占める割合は1割を下回る低水準で推移している。
 直近1年間で新たに就任した主な女性社長には、インターネット証券大手のマネックス証券(東京都港区)のほか、ツナ缶「シーチキン」や「シャキッとコーン」ブランドなどで知られる大手食品加工メーカーのはごろもフーズ(静岡県、東証2部)、大手化粧品販売のポーラ(東京都品川区)、日本プロサッカーリーグJ2に所属するV・ファーレン長崎(長崎県)、西武グループで農業分野に参入した西武アグリ(埼玉県)などがある。
 マネックス証券は大手ネット証券業として初の、はごろもフーズは同社で初めての女性社長となった。ポーラは、年売上高が1000億円を超える国内大手化粧品としては初めて女性が社長に就任。V・ファーレン長崎は、ジャパネットHD(東京都港区)でも代表を務めた髙田明氏に代わり、同社で取締役を務めた髙田明菜氏が社長に就任。現在のJリーグに所属するサッカークラブの運営会社の中で唯一の女性社長となった1。関東私鉄大手の西武鉄道などを傘下に有する西武グループの1社である西武アグリは、同グループで初の女性社長就任となった。

1 2020年6月時点。なお、過去に女性社長が就任したクラブ運営会社もあり、史上初ではない(公益社団法人日本プロサッカーリーグ調べ)
2.女性社長概要
(a)年代分布・就任経緯~就任経緯、「同族承継」が高水準も割合は僅かに低下~
 2020年の女性社長の年代分布をみると、最も割合が高いのは「70-74歳」(15.7%)だった。以下、「65-69歳」(13.7%)、「60-64歳」(13.0%)と続いた。なお、2020年における女性社長の平均年齢は63.0歳(男性社長は60.5歳)。男性社長と比較すると、70代以降は総じて女性社長の年齢層が高くなった。特に、「80歳以上」(9.3%)は19年から0.6ポイント増加し、22年連続で前年を上回ったほか、同世代の男性社長(4.6%)に比べ2倍超の差が開いた。
 就任経緯をみると、女性社長は「同族承継」(50.6%)による就任が最も高かった。しかし、2019年(50.8%)と比較すると割合は僅かに減少した。他方、前年から割合が増加した項目は「創業者」(35.3%)、「外部招聘」(1.5%)の2項目。特に「創業者」は前年から0.2ポイント増加と僅かに増加したほか、就任経緯別では「同族承継」に次いで高い水準となった。
 男性社長と比較すると、女性社長は「同族承継」の割合が引き続き突出して高い半面、「同族承継」以外の就任経緯全てでは男性社長を下回った。
(b)新任女性社長~「創業者」の割合、62.9%で最高~
 女性社長のうち、直近1年間(2019年5月~2020年4月)で新たに就任した新任女性社長の年齢分布をみると、最も割合が高いのは「80歳以上」(12.1%)だった。以下、「70-74歳」(11.8%)、「65-69歳」(11.1%)と続き、総じてシニア層の新規就任が多い。また、男性社長と比較すると40歳未満で女性が占める割合が同世代の男性に比べて高いことが特徴。なお、2020年における新任女性社長の平均年齢は54.7歳(新任男性社長は53.9歳)。
 判明した新任女性社長の就任経緯をみると、最も割合が高いのは「創業者」(62.9%)となり、前年(40.5%)の水準から大幅に上昇した。以下「同族承継」(23.4%)、「内部昇格」(5.1%)の順。依然として「同族承継」の割合が男性社長に比べ高く推移しているものの、両者の差は大幅に縮まった。また、「創業者」の割合は男性社長に比べて大きな差異はなかった。他方、「内部昇格」の割合は男性社長に比べて下回るなど、社内登用による女性社長就任は低水準にある。
3.企業規模別~中小零細ほど女性社長比率は上昇、大規模企業では変化みられず~
 年商規模別では、2020年の女性社長比率は年商「5000万円未満」が11.4%で最高。以下、年商規模が大きくなるにつれて比率は低下し、「100億円以上」では1.4%にとどまった。
 いずれも30年前から女性社長比率は上昇したものの、上昇幅は年商規模により異なった。最も上昇幅が大きい「5000万円未満」では、1990年(7.8%)から3.6ポイント上昇したのに対し、「100億円以上」では1990年(0.9%)から0.5ポイントの上昇にとどまった。中小零細企業では女性社長の就任割合が高まっているのに対し、大規模企業では割合にほとんど変化がみられない。
4.業種別~「不動産」が最高、「サービス」「小売」などBtoC業種も上位~
 業種別では、2020年の女性社長比率は「不動産」(16.8%)が最高となり、30年前(1990年)から7.2ポイント上昇し、上昇幅も全業種中最大。以下、「サービス」(10.8%)、「小売」(10.6%)と続き、BtoC業種で女性社長比率が高い。他方、「建設」(4.8%)の女性社長比率は1997年以降24年連続で全10業種中最低となり、全体(8.0%)からも大きく下回った。
 全10業種とも30年前から女性社長比率は上昇したものの、建設や製造など5業種では前年から横ばい、鉱業は前年から減少した。
 業種細分類別では、「保育所」(42.9%)が唯一4割超となり、全業種で最高。以下、「化粧品販売」(35.1%)、「美容業」(34.1%)、「老人福祉事業」(32.1%)、「各種学校」(30.4%)などが続き、育児や介護など家庭や生活に密着した業種のほか、美容など女性のニーズが高い業種では女性社長の比率が高い。
5.地域・都道府県別~「沖縄県」がトップ、比率1割以上は4県のみ~
 地域別にみると、最も女性社長比率が高いのは「四国」で9.5%となった。四国が全地域中首位となるのは、2017年以降4年連続。次いで「九州・沖縄」(9.4%)、「中国」(8.8%)となった。全国で最も低いのは、「中部」(6.5%)で、2001年以降20年連続で全地域中最低となった。また、「北海道」(7.3%)は2016年(7.4%)をピークに、2017年以降は4年連続で前年比横ばいが続いた。「北陸」(6.9%)も、2019年以降2年連続で前年から変動がなかった。
 都道府県別にみると、最も高いのは「沖縄県」(11.3%)となり、2013年以降8年連続で全国首位となった。沖縄県では企業の新設が全国に比べて多く、女性が起業するケースも多い。以下、「徳島県」(11.0%)、「青森県」(10.9%)、「佐賀県」(10.4%)、「奈良県」(10.1%)と続き、上位5県では女性社長の比率が10%を超えた。また、上位には中国や四国、九州・沖縄の県が目立ち、近畿以西の西日本地域で女性社長の比率が高く推移している。
 他方、最も低かったのは「岐阜県」(5.3%)で、全国と比べ2.7ポイント低い水準となった。岐阜県が全国最低となるのは2010年以降11年連続。以下、「愛知県」(6.1%)、「滋賀県」「長野県」(6.2%)と続いている。
6.出身大学別~日本大学が3年ぶり女性社長数首位~
 出身大学別にみると、首位は「日本大学」(236人)だった。前年から8人増加し、2017年以来3年ぶりに全国首位となった。以下、「慶應義塾大学」(234人、1人減)、「早稲田大学」(220人、1人増)、「青山学院大学」(177人、5人増)と続き、首都圏の私立大学が上位を占めた。女子大学では「日本女子大学」(164人、6人減)がトップとなり、以下「共立女子大学」(120人、1人増)、「聖心女子大学」(94人、2人減)、「甲南女子大学」(88人、6人増)などが上位。
 2019年から最も増加した女性社長の出身大学は「ノートルダム清心女子大学」(83.3%増、22人)。以下、「大東文化大学」(34.8%増、31人)、「富山大学」(33.3%増、20人)、「名古屋大学」(23.8%増、26人)などとなった。前年は国立大学が上位を占めたが、20年は私立大学と国立大学が上位に混在している。また、女子大学ではノートルダム清心女子大学のほか、「奈良女子大学」(22.2%増、22人)、「津田塾大学」(19.5%増、49人)などが上位。
7.今後の見通し~「女性社長の成り手」増やすための土壌醸成が必要~
 2020年の調査では、企業に占める女性社長の比率は全国で8.0%に上り、引き続き過去最高値をキープしている。近年は女性の社長就任にも変化が出ており、女性社長の年齢は男性社長に比べ、シニア世代の他に40歳以下の若年層の割合が多い。また、男性社長に比べて新たに起業する「創業者」の割合増加がみられ、2020年はその傾向が特に顕著に表れるなど、女性社長の在り方は年々多様化・多年代化しつつある。
 とはいえ、女性社長比率は昨年と比べると20年ぶりに前年から変動が無かった。また、先代社長の高齢化や後継者難などの経営事情につき、配偶者や親から事業を引き継ぐなど受動的なケースが少なくない「同族承継」による就任事例が多く、社内人事である「内部昇格」、ヘッドハンティングなど「外部招聘」による就任など、キャリアに基づいた就任事例は男性社長に比べると著しく低い点に変わりない。業種別に見ても、女性社長比率が高いのは不動産のほかに、小売やサービスなど起業が容易なBtoC業種、中小・零細規模の企業に限られており、製造などの業種や大規模企業では女性社長の就任ケースもまだまだ少ない。
 今後も、少子高齢化に伴う労働人口の減少により、労働力確保のみならず企業における新たな視点導入という観点からも、社長の成り手となる女性の活躍推進は一層不可欠になる。こうしたなか、企業トップとしての女性輩出をより強化するには、これまで官民で取り組んできた環境整備の継続に加え、企業内でキャリアを蓄積した「30代」「40代」のミドル世代女性を、将来的な経営幹部や社長候補となり得る管理職として輩出可能な土壌醸成が不可欠だ。ただ、国際労働機関(ILO)の調査では、2018年における世界の女性管理職は全体の約3割となったのに対し、日本は12%となるなど、米国など他先進国に比べ女性登用は道半ばの段階にある。出産・育児や介護といった家庭の負担軽減など、現実的な課題と女性のキャリアとの両立が可能な支援策の導入はもとより、環境整備などソフト面の充実が中長期的な女性社長の輩出に求められる施策となろう。
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