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企業法務2020年09月10日 全国企業倒産集計 2020年8月報 出典:帝国データバンク

□ 倒産件数は655件、3カ月ぶりの前年同月比減少

□ 負債総額は694億1700万円、2000年以降で2番目の低水準

主要ポイント
1.倒産件数は655件(前年同月比2.1%減)と、3カ月ぶりの前年同月比減少
2.負債総額は694億1700万円(前年同月比17.1%減)と、3カ月ぶりの前年同月比減少
3.負債額最大の倒産はFEP㈱(大阪府、破産)の約40億円
4.業種別にみると、7業種中4業種で前年同月を下回った。なかでも卸売業(88件)は、繊維・衣料品卸や機械器具卸が減少し、前年同月比12.9%減となった。製造業(68件)では家具製造業などが減少に寄与し、前年同月比19.0%減
5.主因別にみると、「不況型倒産」の合計は519件(前年同月比2.1%減)、構成比は79.2%を占める
6.負債規模別にみると、負債5000万円未満の倒産は435件(前年同月比1.9%増)、構成比は66.4%を占める
7.地域別にみると、9地域中5地域で前年同月を下回った。なかでも北海道(11件)は、小売業などが減少し前年同月比45.0%減。関東(237件、前年同月比4.4%減)は茨城県、埼玉県で2ケタ減となり、業種別でも建設と不動産を除く5業種で減少
8.人手不足倒産は19件(前年同月比5.6%増)発生、5カ月ぶりの前年同月比増加
9.後継者難倒産は23件(前年同月比28.1%減)発生、2カ月連続の前年同月比減少
10.返済猶予後倒産は47件(前年同月比51.6%増)発生、2カ月ぶりの前年同月比増加
件数・負債総額
倒産件数は655件、負債総額は694億1700万円
 倒産件数は655件(前年同月比2.1%減)と、3カ月ぶりの前年同月比減少。
 負債総額は694億1700万円(前年同月比17.1%減)と、3カ月ぶりの前年同月比減少。負債5億円未満の倒産が大半を占め、比較可能な2000年以降で2番目の低水準となった。
業種別
製造、卸売など4業種で前年同月比減少
 業種別にみると、7業種中4業種で前年同月を下回った。なかでも卸売業(88件)は、繊維・衣料品卸や機械器具卸が減少し、前年同月比12.9%減となった。また、2019年頃から増加傾向にあった小売業(157件、前年同月比2.5%減)は2カ月連続の減少。製造業(68件)では家具製造業などが減少に寄与し、前年同月比19.0%減となった。
 一方、3業種は前年同月を上回り、なかでもサービス業(151件、前年同月比10.2%増)は経営コンサルタントや美容業などが件数を押し上げ、3カ月連続の増加となった。
主因別
「不況型倒産」は519件、構成比79.2%
 主因別にみると、「不況型倒産」の合計は519件(前年同月比2.1%減)と、3カ月ぶりに前年同月を下回った。構成比は79.2%を占めた。
 ※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計
規模別
負債5000万円未満の構成比66.4%
 負債規模別にみると、負債5000万円未満の倒産は435件(前年同月比1.9%増)、構成比は66.4%を占めた。負債5000万円未満の倒産では、サービス業(119件)が構成比27.4%(同5.6ポイント増)を占め最多、小売業(117件)が同26.9%(同0.3ポイント減)で続く。
 資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産が443件(前年同月比4.9%減)、構成比は67.6%を占めた。
地域別
北海道、関東など5地域で前年同月比減少
 地域別にみると、9地域中5地域で前年同月を下回った。なかでも北海道(11件)は、小売業などが減少し前年同月比45.0%減。関東(237件、前年同月比4.4%減)は茨城県、埼玉県で2ケタ減となり、業種別でも建設と不動産を除く5業種で減少となった。
 一方、中部(95件、前年同月比4.4%増)近畿(183件、同2.2%増)中国(30件、同50.0%増)四国(8件、同33.3%増)の4地域は前年同月を上回った。
態様別
「破産」は610件、構成比93.1%
 態様別にみると、破産は610件(構成比93.1%)、特別清算は28件(同4.3%)となった。民事再生法は17件で、うち15件を個人事業主が占めた。
特殊要因倒産
人手不足倒産
 ・19件(前年同月比5.6%増)発生、5カ月ぶりの前年同月比増加
後継者難倒産
 ・23件(前年同月比28.1%減)発生、2カ月連続の前年同月比減少
返済猶予後倒産
 ・47件(前年同月比51.6%増)発生、2カ月ぶりの前年同月比増加
主な当月倒産企業
主な2020年倒産企業
今後の見通し
倒産件数は3カ月ぶりに減少、負債総額は過去2番目の低水準
 2020年8月の倒産件数(655件、前年同月比2.1%減)は、3カ月ぶりに前年同月比で減少した。業種別では、製造業(68件、同19.0%減)、卸売業(88件、同12.9%減)、小売業(157件、同2.5%減)など7業種中4業種が前年同月比で減少。他方、美容業をはじめとしたサービス業(151件、同10.2%増)が3カ月連続で前年同月を上回ったほか、建設業(107件、同7.0%増)が4カ月ぶりに前年同月比で増加した。
 負債総額は、694億1700万円と前年同月を17.1%下回り、3カ月ぶりに前年同月比で減少した。負債50億円以上の倒産は2カ月連続で発生せず、負債総額は比較可能な2000年以降で2番目の低水準となった。
コロナ禍の資金繰り対策が加速、借入金は増加傾向に
 新型コロナウイルス感染症の収束に見通しが立たないなか、資金繰り対策としてコミットメントライン(融資枠)を取引金融機関と契約する動きが加速している。2020年1~7月に同契約を発表した上場企業は前年同期の5倍を超えた(「上場企業のコミットメントライン契約動向調査(2020年1~7月)」帝国データバンク、2020年8月発表)。中小企業などは、各種給付金の利用に加えて、新型コロナの影響による業績悪化へ対応する実質無利子・無担保の制度融資を取引金融機関から受けることで資金繰りの円滑化を模索。銀行の貸出金残高(2020年8月末、全国銀行協会)は前年同月末比6.7%増と大幅な伸びを示した。8月の「新型コロナ関連倒産」(法的整理準備含む)は前月から3割程度減少するなど各種支援策の効果もうかがえる。
 金融庁は2020事務年度の金融行政方針(8月31日発表)で、コロナ禍の企業支援において、金融機関が金融仲介機能を発揮できるよう行政としても万全を期すとしており、引き続き新規融資や返済条件変更などの場面で金融機関の柔軟な対応が予想される。
個人消費の持ち直しに期待、「新しい生活様式」の浸透で企業業績はまだら模様も
 9月1日、マイナンバーカード所有者へキャッシュレス決済などで最大5000円相当のポイントを還元する政府の「マイナポイント」事業が始まった。今年7月、観光振興などを目的としてスタートした「GoToキャンペーン」とともに、個人消費の促進効果が期待されている。
 他方、個人消費の持ち直しには懸念材料がある。同日、厚生労働省が発表した今年7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.08倍で7カ月連続の減少。7月の完全失業率(総務省)については2.9%と2カ月ぶりに悪化し、前年比でも厳しい水準にある。新型コロナが企業業績に与えた影響などが背景にあるとみられ、新政権の対応が注目される。
 コロナ禍において、消費行動、就業、コミュニケーションや余暇の過ごし方など幅広い分野で「新しい生活様式」への変化が起こりつつある。巣ごもり消費や在宅勤務が追い風となってスーパーマーケットやインターネット接続関連などは好業績を見込む一方、ホテルやイベント関連など大幅なブレーキがかかる業種も多い(「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年7月)」帝国データバンク、2020年8月発表)。「新しい生活様式」がもたらす産業構造の変化で、企業業績はまだら模様となり、明暗がさらに色濃くなると経営の持続可能性に影響が出る企業の増加が見込まれる。当面の資金繰りに備え新型コロナ対応の制度融資などを利用するも、売り上げ回復や膨らんだ借入金の返済見込みが立たない場合、自力での事業継続を断念するケースも出てくるであろう。実際、「新型コロナ融資利用後倒産」が6月以降、小規模企業を中心に散見されることも考慮すると、企業倒産は予断を許さない状況が続くと見込まれる。
業種中分類
都道府県別
業種別推移
地域別推移
件数推移
負債総額推移
件数・負債総額推移(年・年度別)
*倒産について
倒産とは以下のいずれかに該当する場合をいう。
◆ 銀行取引停止処分を受ける ※1
◆ 内整理入りする(代表が倒産を認めた時)
◆ 裁判所に会社更生手続開始を申請する ※2
◆ 裁判所に民事再生手続開始を申請する ※2
◆ 裁判所に破産手続開始を申請する ※2
◆ 裁判所に特別清算開始を申請する ※2
※1 手形交換所または電子債権記録機関の取引停止処分を受けた場合
※2 第三者(債権者)による申し立ての場合、手続き開始決定を受けた時点で倒産となる
●倒産態様の区分
●倒産集計について
 倒産集計では、法的整理(会社更生、民事再生、破産、特別清算)手続きによる倒産のみを集計対象としている。
 一般的に、「事業停止=倒産」とのイメージが強いものの、倒産以外にも、資産超過状態による廃業、株主総会決議を経た解散、所在確認困難な移転先不明、相手先企業に事業統合される被合併など、さまざまなケースで事業停止(消滅)する企業が存在する。

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