解説記事2003年01月20日 【税務解説】 税理士必見!!税理士法改正による新書面添付制度への実務対応(2)(2003年1月20日号・№3)
税理士必見!!
税理士法改正による新書面添付制度への実務対応(2)
税理士 平川忠雄(税理士法人平川会計パートナーズ 代表社員)
2. 税理士法第33条の2に規定する添付書面の記載事例
1 税目別添付書面の記載事項の事例(タイトル)
「1」 法人税関係の記載事項の事例
1. 期間損益関連の記載事項の事例
期末販売拡張未払金の計上分が債務未確定であったため、販売拡張引当金として、会計上の費用に計上し税務上の損金計上を繰り延べた事例。
2. 顕著な増減事項となる仕入原価の低減の事例
期中仕入先を中国商社に切り替えた結果、原価の低減が生じた事例。(消費税の計算事項も関連する)。
3. 前事業年度の税務調査の修正又は指導項目に関する記載事項の事例
販促費の内、交際費等に関連する費用計上分について、単純損金性の要件を充たした支出方法を実施した内容のチェックを行った記載事例。
4. 法人税基本通達の適用に関する記載事項の事例
法基通9-4-1~2(子会社支援関連の処理事項)
財務内容が悪化した関連子会社の救済のための費用負担につき、事前に課税当局に照会して、通達適用の確認を受けている旨の記載事例。
5. 時価関連の算定根拠の確認の記載事項の事例
商法改正に伴う自己株式取得の時価算定の方法につき、税理士が指導した内容につき算定根拠を示した記載事項の事例。
6. 同族会社の役員と会社の取引に関する事例
役員所有の土地に設定した定期借地権の地代算定のチェックの記載事項の事例
(注)
1. 法人税関係の添付書面作成に関しては、法人税申告付属書類である業種別事業概況説明書を併用することで、より詳細な説明が補完できる。
2. 法人所得金額の計算の重要な課題は、その事業年度に帰属する損益の額の計算であるため、「期間損益関連項目」のチェック経過は必ず記載する必要がある。
3. 企業は継続事業体であるため、当事業年度と前期以前の決算金額の著しい増減についてはコメントが必要である。
4. 過年度の税務調査指摘項目についての対応対処の内容は記述すべきである。
5. 法令及び法令解釈通達の適用事項についての該当条文番号の記載を行うこと。
6. 特殊関係者(法人、個人、役員等)との取引についての内容事由と取引金額の適正チェックについて検討した場合にその事項を明記する必要がある。
「2」 消費税の記載事項の事例
1. 人件費と外注費の区分
課税期間の途中に使用人に支払う対価を歩合給に変更し、支払科目を「給与・賞与」から『外注費』に変更した場合の仕入税額控除の可否の事例。
2. 立替金(共益費)の回収が課税売上に該当しない処理
資産(賃貸用建物)の貸付けに際し、実費精算されている共益費を立替金の回収として課税売上に含めない処理の適否の事例。
3. 棚卸資産に係る消費税額の調整
当課税期間は課税事業者であり、前課税期間は免税事業者であるため、前課税期間末日に有する棚卸資産に係る消費税額を当課税期間に控除する処理の可否の事例。
4. 前期税務調査により税額控除が否認された信販会社に支払った手数料の処理
前期税務調査では、この手数料は非課税取引に該当すると認定されたため、契約内容を改訂し課税取引に該当するように対応する検討の事例。
(注)
1. 添付書面の記載方法
現行の消費税がアカウント方式により税額計算を行うため、消費税の税務計算・整理は法人税と同様の手順で実施されるが「添付書面の記入は、消費税確定申告書に係る添付書面」として別添書類にするほうが記入事項が明確になる。
2. 税務代理権限証書
法人税と消費税の代理権限が併記されている場合でも「消費税確定申告書に係る添付書面」として別添書類にも代理権限が及ぶものといえるが、法人税と消費税ともに添付書面の作成を行うケースでは、税務代理権限証書を2通作成する方法もある。
3. 作成記入した帳簿書類等
法人税の書面添付において、検討したものと複合するものは、共通事項としての注記など入れておき、チェックの手順の共通性をしめす方法もある。
4. 法人税と異なる消費税固有の税務計算・処理
検討事項として、その項目は明示する必要がある。
「3」 所得税の記載事項の事例
1. 事業所得 青色専従者給与の支給関連
改訂届出書の記入根拠の補足的説明と定期保険の保険料の必要経費算入の法的要件の記載事項の事例
2. 不動産所得 修繕費支出の判定関連
申告年分に支出された修繕関連費の資本的支出分と修繕費の区分方法についての通達適用の記載事項の事例
3. 譲渡所得 特例適用の要件の記載事項の事例
措置法35
37の5 譲渡所得課税の特例適用関係
所法58
4. 自己株式の譲渡とみなし配当の計算
資本等の金額を超える部分の算定根拠の記載事項の事例
(注)
1. 業種及び所得の種類など所得税固有の計算・処理事項
特殊な資料・帳簿など適確に検討した項目を明記しておく。
2. 決算書・申告書記入事項
「誤りやすい事例等」の検討した記入項目を明記しておく。また、医療費控除など明細書や付属資料を提出する場合は有効に添付書面の補完機能を活用する。
3. 申告年分の税制改正事項
その年分から適用される改正事項の計算等にコメントを入れておく。
4. 資産税の内訳書・チェックシートなどの併用
資産税固有の付属書類の記入と検討は、添付書面と共通性があるので有効に併用する。
「4」 相続税の記載事項の事例
1. 小規模宅地等の計算特例関連
2. 土地評価の貸家建付地の算定
3. 株式評価の評価時期の判定
4. 借地権の設定関連の課税財産の帰属
(注)
1. 相続税申告の付属書類
相続税の申告は、遺産分割協議書や財産等の内訳書などの必須添付書面が存在するので、共通事項の有効活用と補完コメントなど相続税固有の添付書面作成方法を開発する必要がある。
2. 特例適用の要件
適用要件の検討した事項など明記しておく。
3. 評価計算
法令・通達による評価計算のプロセスの明示と個別事情のある評価計算などの申告内容の定性的要因の記載に税理士法33の2の機能を活用する。
4. 確認事項
特別に調査し、検討した財産・負債項目など明示しておく。
「5」 贈与税の記載事項の事例
1. 贈与税の配偶者控除の特例の要件チェック
2. 住宅取得資金の贈与の特例の要件チェック
(注)
1. 適用要件チェック表の活用
添付書面との共用性を有効活用する。
2. 受贈者の納税資金の内容など派生的検討事項についても説明を加えておくこと。
「6」 不動産取得税の記載事項の事例
1. 住宅用家屋・土地の判定
2. 取得時期の判定
(注)
1. 地方税の添付書面
納税者の関心が高い税目については、本制度の有効活用が信頼感を高める。
2. 税理士事務所。税理士法人のデータ化
地方税額計算の検討・チェック表の作成による添付書面の作成は、そのデータ化により標準記載例として活用できる。また税制改正項目チェック表として利用できる。
2税理士法第33条の2に規定する添付書面の記載事例
「1」 モデル記載事例『法人税関係の記載事項の事例』
♯1、期間損益関連の記載事項の事例
期末販売拡張未払金の計上分が債務未確定であったため、販売拡張引当金として、会計上の費用に計上し税務上の損金計上を繰り延べた事例。
税理士法改正による新書面添付制度への実務対応(2)
税理士 平川忠雄(税理士法人平川会計パートナーズ 代表社員)
2. 税理士法第33条の2に規定する添付書面の記載事例
1 税目別添付書面の記載事項の事例(タイトル)
「1」 法人税関係の記載事項の事例
1. 期間損益関連の記載事項の事例
期末販売拡張未払金の計上分が債務未確定であったため、販売拡張引当金として、会計上の費用に計上し税務上の損金計上を繰り延べた事例。
2. 顕著な増減事項となる仕入原価の低減の事例
期中仕入先を中国商社に切り替えた結果、原価の低減が生じた事例。(消費税の計算事項も関連する)。
3. 前事業年度の税務調査の修正又は指導項目に関する記載事項の事例
販促費の内、交際費等に関連する費用計上分について、単純損金性の要件を充たした支出方法を実施した内容のチェックを行った記載事例。
4. 法人税基本通達の適用に関する記載事項の事例
法基通9-4-1~2(子会社支援関連の処理事項)
財務内容が悪化した関連子会社の救済のための費用負担につき、事前に課税当局に照会して、通達適用の確認を受けている旨の記載事例。
5. 時価関連の算定根拠の確認の記載事項の事例
商法改正に伴う自己株式取得の時価算定の方法につき、税理士が指導した内容につき算定根拠を示した記載事項の事例。
6. 同族会社の役員と会社の取引に関する事例
役員所有の土地に設定した定期借地権の地代算定のチェックの記載事項の事例
(注)
1. 法人税関係の添付書面作成に関しては、法人税申告付属書類である業種別事業概況説明書を併用することで、より詳細な説明が補完できる。
2. 法人所得金額の計算の重要な課題は、その事業年度に帰属する損益の額の計算であるため、「期間損益関連項目」のチェック経過は必ず記載する必要がある。
3. 企業は継続事業体であるため、当事業年度と前期以前の決算金額の著しい増減についてはコメントが必要である。
4. 過年度の税務調査指摘項目についての対応対処の内容は記述すべきである。
5. 法令及び法令解釈通達の適用事項についての該当条文番号の記載を行うこと。
6. 特殊関係者(法人、個人、役員等)との取引についての内容事由と取引金額の適正チェックについて検討した場合にその事項を明記する必要がある。
「2」 消費税の記載事項の事例
1. 人件費と外注費の区分
課税期間の途中に使用人に支払う対価を歩合給に変更し、支払科目を「給与・賞与」から『外注費』に変更した場合の仕入税額控除の可否の事例。
2. 立替金(共益費)の回収が課税売上に該当しない処理
資産(賃貸用建物)の貸付けに際し、実費精算されている共益費を立替金の回収として課税売上に含めない処理の適否の事例。
3. 棚卸資産に係る消費税額の調整
当課税期間は課税事業者であり、前課税期間は免税事業者であるため、前課税期間末日に有する棚卸資産に係る消費税額を当課税期間に控除する処理の可否の事例。
4. 前期税務調査により税額控除が否認された信販会社に支払った手数料の処理
前期税務調査では、この手数料は非課税取引に該当すると認定されたため、契約内容を改訂し課税取引に該当するように対応する検討の事例。
(注)
1. 添付書面の記載方法
現行の消費税がアカウント方式により税額計算を行うため、消費税の税務計算・整理は法人税と同様の手順で実施されるが「添付書面の記入は、消費税確定申告書に係る添付書面」として別添書類にするほうが記入事項が明確になる。
2. 税務代理権限証書
法人税と消費税の代理権限が併記されている場合でも「消費税確定申告書に係る添付書面」として別添書類にも代理権限が及ぶものといえるが、法人税と消費税ともに添付書面の作成を行うケースでは、税務代理権限証書を2通作成する方法もある。
3. 作成記入した帳簿書類等
法人税の書面添付において、検討したものと複合するものは、共通事項としての注記など入れておき、チェックの手順の共通性をしめす方法もある。
4. 法人税と異なる消費税固有の税務計算・処理
検討事項として、その項目は明示する必要がある。
「3」 所得税の記載事項の事例
1. 事業所得 青色専従者給与の支給関連
改訂届出書の記入根拠の補足的説明と定期保険の保険料の必要経費算入の法的要件の記載事項の事例
2. 不動産所得 修繕費支出の判定関連
申告年分に支出された修繕関連費の資本的支出分と修繕費の区分方法についての通達適用の記載事項の事例
3. 譲渡所得 特例適用の要件の記載事項の事例
措置法35
37の5 譲渡所得課税の特例適用関係
所法58
4. 自己株式の譲渡とみなし配当の計算
資本等の金額を超える部分の算定根拠の記載事項の事例
(注)
1. 業種及び所得の種類など所得税固有の計算・処理事項
特殊な資料・帳簿など適確に検討した項目を明記しておく。
2. 決算書・申告書記入事項
「誤りやすい事例等」の検討した記入項目を明記しておく。また、医療費控除など明細書や付属資料を提出する場合は有効に添付書面の補完機能を活用する。
3. 申告年分の税制改正事項
その年分から適用される改正事項の計算等にコメントを入れておく。
4. 資産税の内訳書・チェックシートなどの併用
資産税固有の付属書類の記入と検討は、添付書面と共通性があるので有効に併用する。
「4」 相続税の記載事項の事例
1. 小規模宅地等の計算特例関連
2. 土地評価の貸家建付地の算定
3. 株式評価の評価時期の判定
4. 借地権の設定関連の課税財産の帰属
(注)
1. 相続税申告の付属書類
相続税の申告は、遺産分割協議書や財産等の内訳書などの必須添付書面が存在するので、共通事項の有効活用と補完コメントなど相続税固有の添付書面作成方法を開発する必要がある。
2. 特例適用の要件
適用要件の検討した事項など明記しておく。
3. 評価計算
法令・通達による評価計算のプロセスの明示と個別事情のある評価計算などの申告内容の定性的要因の記載に税理士法33の2の機能を活用する。
4. 確認事項
特別に調査し、検討した財産・負債項目など明示しておく。
「5」 贈与税の記載事項の事例
1. 贈与税の配偶者控除の特例の要件チェック
2. 住宅取得資金の贈与の特例の要件チェック
(注)
1. 適用要件チェック表の活用
添付書面との共用性を有効活用する。
2. 受贈者の納税資金の内容など派生的検討事項についても説明を加えておくこと。
「6」 不動産取得税の記載事項の事例
1. 住宅用家屋・土地の判定
2. 取得時期の判定
(注)
1. 地方税の添付書面
納税者の関心が高い税目については、本制度の有効活用が信頼感を高める。
2. 税理士事務所。税理士法人のデータ化
地方税額計算の検討・チェック表の作成による添付書面の作成は、そのデータ化により標準記載例として活用できる。また税制改正項目チェック表として利用できる。
2税理士法第33条の2に規定する添付書面の記載事例
「1」 モデル記載事例『法人税関係の記載事項の事例』
♯1、期間損益関連の記載事項の事例
期末販売拡張未払金の計上分が債務未確定であったため、販売拡張引当金として、会計上の費用に計上し税務上の損金計上を繰り延べた事例。
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