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解説記事2006年12月11日 【会計基準解説】 「四半期財務諸表に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第16号)及び「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針(案)」(企業会計基準適用指針公開草案第20号)について(2006年12月11日号・№190)

実務解説
「四半期財務諸表に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第16号)及び「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針(案)」(企業会計基準適用指針公開草案第20号)について
 企業会計基準委員会 研究員 波多野直子

Ⅰ.はじめに


 企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)は平成18年11月1日、企業会計基準公開草案第16号「四半期財務諸表に関する会計基準(案)」及び企業会計基準適用指針公開草案第20号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針(案)」(以下「本公開草案」という。)を公表し、平成18年12月25日(月)までコメントを募集している(脚注1)。
 本稿では、本公開草案の概要を紹介するが、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、また、本公開草案は最終的なものではなく、本公開草案に寄せられたコメントを踏まえた検討により変更される可能性があることを予めお断りしておく。

Ⅱ.四半期会計基準の検討の前提

 四半期会計基準は、平成17年6月に公表された金融審議会金融分科会第一部会ディスクロージャー・ワーキング・グループ報告「今後の開示制度のあり方について」(以下「金融審議会報告書」という。)の中で「四半期開示のあり方」が示され、四半期財務諸表に係る作成基準の一層の整備に関しては、「(財)財務会計基準機構・企業会計基準委員会においてすみやかに策定作業が進められるよう要請したい。」という内容が盛り込まれたことを受けて検討を行ってきたものである。
 金融審議会報告書で示された四半期報告制度の概要は、次のとおりである。
① 四半期開示の対象会社は、上場会社を基本とする。
② 開示時期は、四半期終了後、最低限45日以内とした上で、できる限りその短縮化を図る。
③ 開示内容は、四半期貸借対照表、四半期損益計算書、四半期キャッシュ・フロー計算書及び四半期セグメント情報並びに非財務情報とし、原則として連結ベースで記載する。
④ 四半期財務諸表に係る作成基準の一層の整備を図る。
⑤ 四半期財務諸表の保証手続としてレビューの導入を図ることとし、レビュー手続に係る保証基準の整備を図る。
⑥ 四半期開示を証券取引法上の制度として位置付けていくにあたって、次の要件が満たされることを前提に、半期報告制度を廃止し、四半期報告制度に統一することを検討する。
・財務情報が投資判断を行うために必要な詳しさのものとなること
・必要な非財務情報が開示されること
・必要に応じて単体情報についても開示されること(特に、第2四半期)
・開示企業の内部統制が適正に確保されていることを前提に、公認会計士等によるレビュー手続が投資者の信頼を十分に確保した形で実施されること
 ASBJでは、この金融審議会報告書の内容を四半期会計基準の検討の前提とし、また、現行の「中間連結財務諸表作成基準」及び「中間財務諸表作成基準」(以下あわせて「中間作成基準」という。)だけでなく、米国基準、国際会計基準、予測主義に基づく米国基準に内在する問題点等を踏まえて平成12年に改訂されたカナダ基準などの海外の会計基準と、わが国上場会社における証券取引所の要請に基づく四半期財務情報の開示や米国証券取引委員会での規則(以下「米国SEC規則」という。)に基づく四半期開示の状況も参考にして検討を行った。

Ⅲ.本公開草案の概要

1 目 的

 「四半期財務諸表に関する会計基準」の目的は、「四半期財務諸表に適用される会計処理及び開示を定めること」とし、準拠性の規定のみを置くこととした(会計基準案第1項参照)。これは、ASBJがこれまでに公表した会計基準が基本的には準拠性のみであることや、会計情報は財務諸表利用者に有用な情報を提供するものであり、年度財務諸表の「真実な報告」や中間財務諸表の「有用な情報」とは異なる表現を用いることにより会計情報を階層的に捉えるような表現は避けるべきであるということを踏まえ、準拠性のみを規定することとしたものである。

2 四半期会計基準の体系
 四半期連結財務諸表は、中間作成基準と同様、企業集団に属する親会社及び子会社が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成した四半期個別財務諸表を基礎として作成するものとしている(会計基準案第8項参照)。また、上場会社の中には連結対象となる子会社が存在しないために個別財務諸表のみを開示している会社もあるため、四半期連結財務諸表の作成基準に加え、四半期個別財務諸表の作成基準もあわせて定めることとした(会計基準案第34項参照)。

3 適用範囲
 上場会社等が四半期報告制度に基づいて又は同制度に準じて開示する四半期財務諸表に適用することとした(会計基準案第3項参照)。

4 四半期財務諸表の範囲
 本公開草案では、四半期財務諸表の範囲は四半期貸借対照表、四半期損益計算書、四半期キャッシュ・フロー計算書とするものとしている(会計基準案第5項、第6項)。
 株主資本等変動計算書を四半期財務諸表に含めるべきという考え方もあったが、検討の結果、四半期開示制度が定着している米国においても、四半期財務諸表として「株主持分変動計算書」は求めていないことや、四半期開示における迅速性の要請などを踏まえて、四半期株主資本等変動計算書の開示を求めないこととし、株主資本の金額に著しい変動があった場合に主な変動事由を注記事項として開示することとした(会計基準案第19項(13)、第25項(11)及び第35項参照)。なお、注記の記載方法については、株主資本の著しい変動の内訳が一覧できるよう、表形式で開示することを妨げるものではないとした(会計基準案第35項参照)。
 また、金融商品取引法では、金融審議会報告書に基づいて、特定の事業を行う会社以外は、四半期連結財務諸表を開示する場合、四半期個別財務諸表の開示を要しないこととしているため、四半期連結財務諸表を開示する場合には、四半期個別財務諸表の開示を要しないこととした(会計基準案第6項参照)。

5 四半期財務諸表の開示対象期間
 四半期財務諸表の開示対象期間は、次のとおりである(会計基準案第7項参照)。
▼四半期会計期間の末日の四半期貸借対照表及び前年度の末日の要約貸借対照表
▼四半期会計期間(3か月情報)及び期首からの累計期間の四半期損益計算書、並びに前年度におけるそれぞれ対応する期間の四半期損益計算書
▼期首からの累計期間の四半期キャッシュ・フロー計算書及び前年度における対応する期間の四半期キャッシュ・フロー計算書
 四半期損益計算書の開示方法については、次の3つの考え方がある。
① 期首からの累計期間の情報のみを開示(年間の進捗度を示す情報)
② 四半期会計期間の情報のみを開示(収益動向の変化点を示す情報)
③ 期首からの累計期間及び四半期会計期間の情報の両方を開示(年間の進捗度及び収益動向の変化点を示す情報)
 検討の結果、四半期会計期間の情報の開示を求めることは財務諸表作成者の負担の増加につながるという意見がある一方、四半期会計期間の損益計算書の3か月情報については、米国基準等の国際的な会計基準では開示が求められており、わが国の証券市場がグローバル化している状況や証券アナリスト等の開示ニーズを踏まえ、国際的な会計基準と同様、期首からの累計期間及び四半期会計期間の情報をともに開示する③の考えによることとした(会計基準案第36項参照)。
 なお、四半期会計期間の情報開示については、財務諸表作成者を中心に、円滑な四半期報告制度の導入のためには一定の準備期間が必要であるという意見が多くあった旨を会計基準案第70項に記載している。
 また、四半期キャッシュ・フロー計算書についても、四半期損益計算書の開示方法との整合性を図る観点から検討を行った結果、開示ニーズと四半期開示の適時性とを比較考量して、米国基準や国際会計基準と同様、四半期キャッシュ・フロー計算書については、期首からの累計期間の情報のみを開示することとした(会計基準案第37項参照)。

6 会計処理
(1)四半期財務諸表の基本的な性格

 四半期財務諸表の基本的な性格については、中間財務諸表と同様、「実績主義」と「予測主義」という2つの異なる考え方がある。「実績主義」は、四半期会計期間を年度と並ぶ一会計期間とみた上で、四半期財務諸表を、原則として年度の財務諸表と同じ会計処理の原則及び手続を適用して作成することにより、当該四半期会計期間の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する情報を提供するという考え方であり、我が国の中間作成基準や国際会計基準で採用されている考え方である。「予測主義」は、四半期会計期間を年度の一構成部分と位置付け、四半期財務諸表を、年度の財務諸表と部分的に異なる会計処理の原則及び手続を適用して作成することにより、当該四半期会計期間を含む年度の業績予測に資する情報を提供するという考え方である。1973年に制定された米国基準や我が国の平成10年改訂前の「中間財務諸表作成基準」は、この考え方に基づいている。
 検討の結果、本公開草案では、「実績主義」を基本とすることとした。これは、国際的な会計基準の動向を踏まえ、また、我が国において、中間会計期間の実績を明らかにすることにより、将来の業績予測に資する情報を提供するものと位置付けることがむしろ適当と考えられることや、恣意的な判断の介入の余地や実行面での計算手続の明確化などを理由として、中間財務諸表等の性格付けが「予測主義」から「実績主義」に変更されたことや、季節変動性については、「実績主義」による場合でも、十分な定性的情報や前年同期比較を開示することにより、財務諸表利用者を誤った判断に導く可能性を回避できると考えられること、我が国の市場関係者の意見では、実績主義における実務処理の容易さ、予測主義による会社の恣意性の可能性と会社ごとに会計方針が大きく異なることによる企業間比較の困難性など指摘が多かったことなどによる(会計基準案第38項参照)。
(2)四半期決算手続
 現行の証券取引所の要請に基づく四半期開示の実務では、四半期決算手続には次の3通りの方式が存在すると考えられる。
① 四半期会計期間を1会計期間として3か月情報を作成し、各四半期会計期間の3か月情報を積み上げていく「四半期単位積上げ方式」
② 年度の財務諸表との整合性を重視して、四半期ごとに過去の四半期財務諸表を洗い替えて再計算することにより累計情報を作成し、3か月情報は当該四半期の累計情報から直前の四半期の累計情報を差し引いて計算する「累計差額方式」
③ 第3四半期の決算手続においては、中間財務諸表制度や中間納税制度との関係から、第2四半期までは「累計差額方式」で作成し、それに、「四半期単位積上げ方式」で作成した第3四半期の3か月情報を合算するという「折衷方式」
 「実績主義」との関係で「四半期単位積上げ方式」を基本とすることが合理的であるとする意見や会計基準の中で特定の方式にまで言及する必要はないという意見等を踏まえ、検討の結果、在外子会社等を通じた海外事業に係る為替換算の影響の重要性が高くない場合など、経済的実態を見誤らせるおそれがないと考えられる場合には、四半期決算手続として、「四半期単位積上げ方式」、「累計差額方式」、「折衷方式」のすべての方式を容認することとし、その選択は財務諸表作成者に委ねることとした(会計基準案第40項参照)。
(3)簡便的な会計処理
 四半期財務諸表の作成のために採用する会計処理の原則及び手続は、「実績主義」に基づき作成するものとしているため、四半期特有の会計処理を除き、原則として年度の財務諸表の作成にあたって採用する会計処理の原則及び手続に準拠しなければならないものとした(会計基準案第9項及び第41項参照)。
 ただし、四半期決算は、年度決算や中間決算よりも迅速な対応が求められていることから、財務諸表利用者の判断を誤らせない限り、簡便的な会計処理によることができることとした(会計基準案第9項及び第20項参照)。中間作成基準において簡便的な会計処理が認められている項目(棚卸資産の実地棚卸の省略、減価償却方法に定率法を採用している場合の減価償却費の期間按分計算、退職給付費用の期間按分計算、連結会社相互間の債権債務の相殺における差異調整の省略と未実現損益の消去における見積り計算等)に加え、さらに簡便的な会計処理を示している(会計基準案第46項、適用指針案第3項、第7項から第10項、第12項から第14項、第16項から第18項、第21項から第22項及び第27項から第30項参照)。
 税金費用の計算や繰延税金資産・負債の算定方法については、開示の適時性の要請から中間作成基準よりも簡便的な会計処理を検討した結果、経営環境等に著しい変化が生じていない場合における繰延税金資産の回収可能性の判断や、連結財務諸表における重要性が乏しい連結会社の税金費用の計算などについて、より簡便的な方法を定めることとした。
 本公開草案においては、次の簡便的な会計処理を掲示している。
① 一般債権の貸倒見積高の算定方法
② 棚卸資産の収益性の低下による簿価切下げの方法
③ 原価差異の配賦方法
④ 固定資産の減価償却費の算定方法(定率法を採用している場合、合理的な予算制度の利用)
⑤ 経過勘定項目の処理方法
⑥ 税金費用の計算及び繰延税金資産の回収可能性の判断
⑦ 持分プーリング法を適用した企業結合
⑧ 四半期連結財務諸表上の会計処理(連結会社相互間の債権債務及び取引の相殺消去、未実現損益の消去)
(4)四半期特有の会計処理
 四半期特有の会計処理には、原価差異の繰延処理、後入先出法における売上原価修正及び税金費用の計算を挙げている(会計基準案第11項から第14項及び第22項、適用指針案第11項、第19項及び第20項参照)。
 原価差異の繰延処理と後入先出法における売上原価修正は、「中間財務諸表作成基準」の改訂時に「予測主義」から「実績主義」に基本的な考え方を変更する際に、恣意的な判断の介入の余地が大きく、望ましくないという理由で削除された処理である。しかし、四半期財務諸表では、中間財務諸表よりも売上原価が操業度等により大きく変動し、売上高と売上原価の対応関係が適切に表示されない可能性があるため、売上原価に関連するこの2項目については例外的に四半期特有の会計処理を認めた方が経済的実態をより適切に表し、財務諸表利用者に対して将来の業績予測に資する情報を提供することができるという見方があり、四半期財務諸表では、事業年度の財務諸表や中間財務諸表よりも短い会計期間の中で当該年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に資する情報を適切に提供しなければならないという点を踏まえ、一定の条件を満たした場合には、継続適用を条件に四半期特有の会計処理として容認することとした(会計基準案第48項参照)。

7 開 示
(1)科目表示

 四半期財務諸表の表示科目については、開示の適時性の要請を踏まえ、中間作成基準だけでなく、35日以内での開示を義務付けている米国SEC規則での取扱いを参考にして、財務諸表利用者の判断を誤らせない限り、主要な科目について独立掲記した上で、その他の科目は集約して記載できることとした(会計基準案第17項及び第23項参照)。
 主要科目を決定する際の重要性は、単に金額の多寡により判断するのではなく、財務諸表利用者が意思決定を行う上で重要であるか否かにより判断することに留意する必要があるとした(会計基準適用指針案第103項参照)。
 事業年度の財務諸表の表示区分との関係により、四半期財務諸表の表示区分については、四半期財務諸表と年度の財務諸表との整合性は考慮せず、四半期財務諸表単位で判断するという考え方と四半期財務諸表においても、年度の財務諸表における表示区分を考慮して判断するという考え方の2つの考え方がある。検討の結果、本公開草案では、「実績主義」を基本としつつも、年度の業績予測により資する情報を提供するという観点から、当該年度の財務諸表における表示区分との整合性を勘案しなければならないこととした。なお、実務上の対応を考慮し、金額的重要性により表示区分を判断するものについては、期中での表示区分の変更を容認することが適当であると考えられるとした(会計基準案第18項及び第24項、第52項参照)。
(2)注記事項
 四半期財務諸表が年度の財務諸表や中間財務諸表と比較して開示の適時性が求められていることや、過去に公表された財務諸表の入手が容易になったことを踏まえ、注記事項の基本的な考え方は、中間財務諸表よりも注記項目及び注記内容の簡略化を図ることとし、前年度と比較して著しい変動がある項目など、財務諸表利用者が四半期財務諸表を理解する上で重要な事項の開示を求めることとした(会計基準案第53項参照)。
 具体的な注記事項は、以下の通りである(会計基準案第19項及び第25項、適用指針案第34項から第81項参照)。
・連結の方針に重要な変更があった場合(四半期連結財務諸表を作成する場合に限る)
・重要な会計処理の原則及び手続を変更した場合
・上記に加えて、第2四半期以降に自発的に重要な会計処理の原則及び手続を変更した場合の開示
・前事業年度に自発的に重要な会計処理の原則及び手続を変更した場合における翌事業年度の四半期における開示
・四半期財務諸表に表示方法を変更した場合
・簡便的な会計処理及び四半期特有の会計処理を採用している場合
・セグメント情報(四半期連結財務諸表を作成する場合に限る)
・関連会社に持分法を適用した場合(四半期連結財務諸表を作成していない場合に限る)
・1株当たり四半期純利益等
・1株当たり純資産
・四半期会計期間末日における発行済株式総数、自己株式数等
・ストック・オプションを新たに付与した場合及び重要な事項に変更がある場合
・配当
・株主資本の金額に著しい変動があった場合
・四半期会計期間の末日に継続企業の前提に重要な疑義が存在する場合
・事業の性質上営業収益又は営業費用に著しい季節的変動がある場合
・重要な保証債務その他の重要な偶発債務
・重要な企業結合
・重要な事業分離
・重要な後発事象
・キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物の四半期末残高と四半期貸借対照表に掲載されている科目の金額との関係
・企業集団又は企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適切に判断するにために重要なその他の事項
 このうち、セグメント情報、1株当たり四半期純損益等、1株当たり純資産、四半期会計期間末日における発行済株式総数及び自己株式数等、キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物の四半期末残高と四半期貸借対照表に掲載されている科目の金額との関係は、すべての上場会社において注記が必要となる事項である。
 第2四半期以降に自発的に重要な会計処理の原則及び手続を変更した場合の開示については、年度と中間における会計処理の首尾一貫性を欠く場合と同様に、その旨、その理由及び変更後の会計処理の原則及び手続を適用した場合の既に開示した四半期会計期間への影響額の注記を行うこととした。また、翌年度においても、比較可能性を確保する観点から、同様の注記を求めることとした。
 また、セグメント情報については、中間財務諸表では開示されていないが、事業の種類別セグメント情報に係るセグメント別資産金額に著しい変動があった場合には、その概要を記載することとした。
 なお、本公開草案で定めた項目は最小限の項目を掲げており、個々の企業集団又は企業が事業内容や事業形態を踏まえ、これを上回る開示を行うことを妨げないこととした(会計基準案第53項参照)。

Ⅳ.事業年度における四半期財務情報にかかる開示

1 事業年度における要約四半期別財務情報の開示

 財務諸表利用者からは、四半期データの連続性確保などの観点から、第4四半期の財務情報に対する強い開示ニーズが存在している。また、米国では四半期報告書ではなく年次報告書の中で、第4四半期を含む四半期ごとの売上高や純損益などの限定的な情報(監査対象外)を掲載している。
 本公開草案では、これらを踏まえ、米国と同様に、四半期会計期間ごとの売上高や純損益などの限定的な情報を事業年度の監査対象外の財務情報として開示することが適当であると考えられるとした(会計基準案第67項参照)。

2 事業年度末に自発的に重要な会計処理の原則及び手続の変更を行った場合における影響額の開示
 年度末において自発的に重要な会計処理の原則及び手続の変更が行われた場合には、各四半期財務諸表での開示と同様、四半期と事業年度の会計処理の首尾一貫性を確保する観点から、当年度の既に開示されている第3四半期会計期間の末日までの期首からの累計期間への影響額についての開示は有用な情報と考えられるため、第3四半期までのレビューと事業年度の監査との関係も考慮し、事業年度の財務情報として、どのような形で扱っていくべきか検討することが適当であると考えられる旨を記載した(会計基準案第67項参照)。

Ⅴ.適用時期等

 四半期報告制度の導入時期にあわせて、平成20年4月1日以後開始する事業年度及び連結会計年度から適用することとしている(会計基準案第26項参照)。
 また、適用初年度においては、前年度の対応する四半期会計期間及び期首からの累計期間に関する四半期損益計算書又は四半期キャッシュ・フロー計算書は本会計基準に基づき作成されていないことから、当該財務諸表の記載を要しないこととした(会計基準案第27項参照)。
(はたの・なおこ)

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