コラム2010年05月17日 【税実務Q&A】 広告宣伝用資産の受贈益(2010年5月17日号・№354)
税実務Q&A
No.022 法人税>繰延資産
広告宣伝用資産の受贈益
公認会計士緑川事務所 税理士 小出 潮
問 内国法人A社は、A社社名入りの陳列だな(税抜価額@240,000円)を2つ購入し、広告宣伝のため、内国法人B社に対し、1つあたり負担金60,000円(税抜価額)で譲り渡すことにしました。A社及びB社において、どのように取扱うべきでしょうか。
答 (1)《A社の処理》:繰延資産 法人が支出する費用のうち、支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶ一定のものは、繰延資産として資産計上します(法法2条二十四、同施令14条)。
法人が、その特約店等に対し自己の製品等の広告宣伝等のため、広告宣伝用の看板、陳列だな、自動車等の資産を、贈与又は著しく低い対価で譲渡した場合、その資産の取得価額又はその資産の取得価格からその譲渡価額を控除した金額に相当する額は、前述の繰延資産に該当します(法施令14条1項6号二、同基通8-1-8)。
ただし、この繰延資産となる支出額について、1つの資産につき20万円未満であるものを、その支出する日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額となります(法施令134条、同基通8-3-8)。
したがって、設問の場合には、
240,000-60,000=180,000<200,000となり、損金経理を要件に、陳列だな購入金額の全額を、その支出事業年度の損金の額とすることができます。
(2)《B社の処理》 ① 受贈益
販売業者等が、製造業者等から資産(専ら広告宣伝の用に供される看板等を除く)を無償又は低額譲渡により取得した場合、次に該当するときは、受贈益は認識されません(法基通4-2-1)。
・広告宣伝用資産である
・その資産の価額の2/3に相当する金額から、その取得のために支出した金額を控除した金額(同一の者から2以上の資産を取得した時はその金額の合計額)が、30万円以下である
したがって、設問の場合には、
480,000×2/3-120,000=200,000≦300,000となり、受贈益の認識はしません。
② 資産計上の判定
その資産が少額の減価償却資産、又は一括償却資産に該当するかどうかの判定は、通常一単位として取引される単位ごとに行います(法基通7-1-11)。
設問の場合は、経済的利益の認識をしないので、取得のために支出した金額が取得価額となり、少額の減価償却資産に該当します。
〈参考〉 平成22年度税制改正により、完全支配関係法人間における寄附金・受贈益の損金・益金不算入の規定が創設されました。この措置は、寄附をする側で寄附金、受ける側で受贈益となる取引についてのみ適用になります。したがって、仮に、設問の内国法人A社及びB社が完全支配関係にあったとしても、従来どおり、前述の取扱いとなります。
No.022 法人税>繰延資産
広告宣伝用資産の受贈益
公認会計士緑川事務所 税理士 小出 潮
問 内国法人A社は、A社社名入りの陳列だな(税抜価額@240,000円)を2つ購入し、広告宣伝のため、内国法人B社に対し、1つあたり負担金60,000円(税抜価額)で譲り渡すことにしました。A社及びB社において、どのように取扱うべきでしょうか。
答 (1)《A社の処理》:繰延資産 法人が支出する費用のうち、支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶ一定のものは、繰延資産として資産計上します(法法2条二十四、同施令14条)。
法人が、その特約店等に対し自己の製品等の広告宣伝等のため、広告宣伝用の看板、陳列だな、自動車等の資産を、贈与又は著しく低い対価で譲渡した場合、その資産の取得価額又はその資産の取得価格からその譲渡価額を控除した金額に相当する額は、前述の繰延資産に該当します(法施令14条1項6号二、同基通8-1-8)。
ただし、この繰延資産となる支出額について、1つの資産につき20万円未満であるものを、その支出する日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額となります(法施令134条、同基通8-3-8)。
したがって、設問の場合には、
240,000-60,000=180,000<200,000となり、損金経理を要件に、陳列だな購入金額の全額を、その支出事業年度の損金の額とすることができます。
(2)《B社の処理》 ① 受贈益
販売業者等が、製造業者等から資産(専ら広告宣伝の用に供される看板等を除く)を無償又は低額譲渡により取得した場合、次に該当するときは、受贈益は認識されません(法基通4-2-1)。
・広告宣伝用資産である
・その資産の価額の2/3に相当する金額から、その取得のために支出した金額を控除した金額(同一の者から2以上の資産を取得した時はその金額の合計額)が、30万円以下である
したがって、設問の場合には、
480,000×2/3-120,000=200,000≦300,000となり、受贈益の認識はしません。
② 資産計上の判定
その資産が少額の減価償却資産、又は一括償却資産に該当するかどうかの判定は、通常一単位として取引される単位ごとに行います(法基通7-1-11)。
設問の場合は、経済的利益の認識をしないので、取得のために支出した金額が取得価額となり、少額の減価償却資産に該当します。
〈参考〉 平成22年度税制改正により、完全支配関係法人間における寄附金・受贈益の損金・益金不算入の規定が創設されました。この措置は、寄附をする側で寄附金、受ける側で受贈益となる取引についてのみ適用になります。したがって、仮に、設問の内国法人A社及びB社が完全支配関係にあったとしても、従来どおり、前述の取扱いとなります。
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