コラム2010年10月25日 【SCOPE】 生保二重課税、個人住民税の課税の取扱いは?(2010年10月25日号・№375)
平成16年分以前のものは各地方団体の判断で
生保二重課税、個人住民税の課税の取扱いは?
国税庁は10月20日、平成22年7月6日の最高裁判決を受け、保険年金に係る税務上の取扱いを変更。過去5年分(平成17年分~21年分)の所得税について還付手続を開始した(今号10・36頁参照)。ここで気になるのは個人住民税の取扱いだ。
総務省では10月1日付で各都道府県に対して「所得税における相続又は贈与等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更等に伴う個人住民税の課税の取扱いについて」と題する文書を通知している(次頁参照)。これによれば、個人住民税の過去5年を超える納税分の取扱いについては、各地方団体において判断することが適切であるとし、国として所得税と同様の対応は義務付けないとしている。
所得税の計算が変われば、個人住民税も変わる 個人住民税の総所得金額等については、所得税の計算の例によって算定するものとされているため、所得税の計算が変われば、個人住民税についても税額変更の賦課決定や還付が行われることになる。
今回の総務省の通知は、所得税の過去5年以内の納税分に係る更正等が行われることを踏まえ、市町村においても、個人住民税の変更賦課決定等の事務を遅滞なく開始できるための留意事項を取りまとめたものである。
過去5年分の対応とは? 個人住民税の過去5年以内の納税分に係る地方団体の対応について、たとえば、所得税において過去の保険年金に係る雑所得について更正が行われた場合については、更正後の金額を基準に個人住民税を算定し、変更賦課決定を行うことになる。この場合の還付加算金は、原則として、所得税の更正の通知がされた日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日が計算期間の始期とされている。
所得税と同様の対応は義務付けず また、所得税については、過去5年(平成12年分以降平成16年分以前)を超える納税分についても、財務省等が税制改正により特別な還付措置を講じる方向となっている(本誌373号7頁参照)。
しかし、個人住民税に関しては、①所得税の過去5年を超える納税分に関する措置は、国税における特別な対応であること、②地方税に関する権限は、地方自治の本旨の根幹を成すものであり、地方税法に規定されている「還付は5年以内に限る」とする基本ルールを、国の政策判断で変更し、全ての地方団体に一律に適用することは適切ではないことなどを理由として、個人住民税の過去5年を超える納税分の取扱いについては、各地方団体で判断することが適切であるとし、国として法令に基づき地方団体に対して所得税と同様の対応を義務付ける予定はないとしている。
補助金として給付するケースも なお、総務省によれば、一部の地方団体において、冷凍倉庫をめぐる固定資産税の税額を過大に決定した事例で過去5年を超える納税分を補助金として給付等(地方自治法232条の2)している事例があるとしている。
生保二重課税、個人住民税の課税の取扱いは?
国税庁は10月20日、平成22年7月6日の最高裁判決を受け、保険年金に係る税務上の取扱いを変更。過去5年分(平成17年分~21年分)の所得税について還付手続を開始した(今号10・36頁参照)。ここで気になるのは個人住民税の取扱いだ。
総務省では10月1日付で各都道府県に対して「所得税における相続又は贈与等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更等に伴う個人住民税の課税の取扱いについて」と題する文書を通知している(次頁参照)。これによれば、個人住民税の過去5年を超える納税分の取扱いについては、各地方団体において判断することが適切であるとし、国として所得税と同様の対応は義務付けないとしている。
所得税の計算が変われば、個人住民税も変わる 個人住民税の総所得金額等については、所得税の計算の例によって算定するものとされているため、所得税の計算が変われば、個人住民税についても税額変更の賦課決定や還付が行われることになる。
今回の総務省の通知は、所得税の過去5年以内の納税分に係る更正等が行われることを踏まえ、市町村においても、個人住民税の変更賦課決定等の事務を遅滞なく開始できるための留意事項を取りまとめたものである。
過去5年分の対応とは? 個人住民税の過去5年以内の納税分に係る地方団体の対応について、たとえば、所得税において過去の保険年金に係る雑所得について更正が行われた場合については、更正後の金額を基準に個人住民税を算定し、変更賦課決定を行うことになる。この場合の還付加算金は、原則として、所得税の更正の通知がされた日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日が計算期間の始期とされている。
所得税と同様の対応は義務付けず また、所得税については、過去5年(平成12年分以降平成16年分以前)を超える納税分についても、財務省等が税制改正により特別な還付措置を講じる方向となっている(本誌373号7頁参照)。
しかし、個人住民税に関しては、①所得税の過去5年を超える納税分に関する措置は、国税における特別な対応であること、②地方税に関する権限は、地方自治の本旨の根幹を成すものであり、地方税法に規定されている「還付は5年以内に限る」とする基本ルールを、国の政策判断で変更し、全ての地方団体に一律に適用することは適切ではないことなどを理由として、個人住民税の過去5年を超える納税分の取扱いについては、各地方団体で判断することが適切であるとし、国として法令に基づき地方団体に対して所得税と同様の対応を義務付ける予定はないとしている。
補助金として給付するケースも なお、総務省によれば、一部の地方団体において、冷凍倉庫をめぐる固定資産税の税額を過大に決定した事例で過去5年を超える納税分を補助金として給付等(地方自治法232条の2)している事例があるとしている。
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