解説記事2011年07月04日 【第2特集】 最高路線価、1都市が上昇に転じ全国25都市で下落率が縮小(2011年7月4日号・№409)

国税庁、平成23年分の路線価等を公表
最高路線価、1都市が上昇に転じ全国25都市で下落率が縮小

 国税庁は7月1日、平成23年分の路線価等を公表した。都道府県庁所在都市の最高路線価は、上昇した都市は1都市、横ばいの都市は3都市、下落した都市が43都市となっている。10%以上下落した都市が3都市、下落率が縮小した都市が25都市になるなど、全国的に下落率は縮小傾向にある。
 なお、東日本大震災により相当な被害を受けた地域として財務大臣の指定する地域内にある土地等の評価方法については、震災特例法に基づき、震災による地価下落を反映した「調整率」を乗じて計算することとされている。調整率は10月ないし11月に国税庁HPで公開される予定だ。

東京、名古屋、大阪など大都市圏で下落率が大きく改善
福岡1都市のみが上昇に転じる
 平成23年分の都道府県庁所在都市の最高路線価をみると、最高路線価が上昇した都市は福岡の1都市(前年は0都市)、横ばいの都市は名古屋、津、奈良の3都市(前年は2都市)であった(表1参照)。最高路線価が上昇した都市があったのは平成20年以来のこと。


 下落率が前年から縮小した都市は全部で25都市となっている(表2参照)。改善幅でみると、東京(▲25.6→▲5.2)、名古屋(▲20.2→±0)、大阪(▲19.9→▲6.1)、福岡(▲16.2→+1.1)と前年大幅に下落した大都市圏の改善が目立つ。改善の背景には、都市部を中心とした、オフィス賃貸料の調整、企業収益回復により、国内外からの投資があったこと等の影響が考えられる。
 なお、路線価が最も高かったのは、東京都中央区銀座5丁目の鳩居堂前で、1㎡当たり2,200万円。26年連続で最高となっている。
東京局管内、1署が上昇に転じる  東京国税局各税務署管内の最高路線価は、上昇した署が前年のゼロから緑署の1署に、横ばいが前年の2署から17署に、下落が前年の82署から66署となった。唯一上昇した緑署の上昇率は4.3%で、前年に商業施設が完成したことが上昇に繋がった模様だ。

路線価等に乗じる調整率、10月ないし11月に公開
震災直後の時価、調整率を乗じて計算
 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律では、東日本大震災により相当な被害を受けた地域として、財務大臣が指定する地域(青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県の全域、新潟県十日町市、新潟県中魚沼郡津南町、長野県下水内郡栄村)内にある土地等については、原則として、震災による時価の下落を反映した調整率を指定地域内の地域ごとに定め、平成23年分の路線価や評価倍率にその調整率を乗じて計算をすることができるとされている(計算例参照)。
 相続税については、平成22年5月11日から平成23年3月10日までの間に相続または遺贈によって取得した土地等が、贈与税については、平成22年1月1日から平成23年3月10日までの間に贈与によって取得した土地等が対象となる(3月11日所有のものに限る)。
 指定地域内の土地については、震災後、平成23年中に相続等により取得した土地等についても、路線価や評価倍率に調整率を乗じて計算することができる。
阪神淡路大震災では0.75~1.00の範囲で設定  なお、東日本大震災とは被害の規模や質が異なるので単純比較はできないが、阪神淡路大震災の際には0.75~1.00の調整率が設定された。
液状化や原発事故の影響を調整率で反映の方向  国税庁では、液状化や福島第一原発事故の影響をどの程度織り込むかについて、関係省庁との対応を重ねており、具体的な調整率は、10月ないしは11月に公開予定としている。



Column
指定地域内の土地等を相続により取得した場合の相続税の申告期限は?
 相続人のなかに、財務大臣が指定する地域内にある土地等を取得したものがいる場合は、原則として、相続人全員の申告期限が次のとおり延長される(震災特例法36条)。
(1) 被相続人の住所地が青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の場合または個別申請により申告 期限が延長されている場合
  次の①、②のいずれか遅い日
  ① 平成24年1月11日
  ② 国税通則法施行令3条1項の地域指定または同条2項の個別申請による延長後の申告期限
(2) 上記(1)以外の場合
  平成24年1月11日
 たとえば、青森県と茨城県については、平成23年6月3日付国税庁告示第15号により、指定日が7月29日に決まったことから、個別申請により期限が延長されている場合を除き、申告期限は平成24年1月11日となる。また、栃木県、千葉県、新潟県十日町市、中魚沼郡津南町、長野県下水内郡栄村については、平成23年3月15日付国税庁告示第8号の対象外であることから、個別申請により期限が延長されている場合を除き、申告期限は平成24年1月11日となる。

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