コラム2012年04月30日 【税実務Q&A】 国内に居住していない受贈者の相続時精算課税(2012年4月30日号・№449)
税実務Q&A
No.117 資産税>贈与税>相続時精算課税
国内に居住していない受贈者の相続時精算課税
青空税理士法人青山事務所 税理士 川村 徹
問 私の息子(38歳)は平成23年12月まで日本に居住しておりましたが、平成24年1月からアメリカに住居を移しております(国籍は日本のまま)。今後、私(68歳)が所有している財産を生前に息子に贈与していくことを検討しているのですが、息子に財産を贈与した場合の贈与税の取扱いはどのようになるのでしょうか。また、相続時精算課税という制度があるようですが、この制度は国内に居住していない息子に贈与した場合にも適用できるのでしょうか。なお、私は日本に居住し続ける予定です。
答
1.贈与税の納税義務者 贈与税の納税義務者は、原則として贈与により財産を取得した個人となっており、納税義務者の区分として以下の3つに区分されます(相法1の4)。
① 居住無制限納税義務者……財産取得時に日本国内に住所を有する個人をいい、財産を取得した個人の国籍に関わらず、国内財産及び国外財産の全てが課税対象財産となります。
② 非居住無制限納税義務者……財産取得時に日本国内に住所を有しない個人のうち、日本国籍があり、かつ、贈与をした個人又は贈与を受けた個人が贈与前5年以内のいずれかの時において日本国内に住所を有していたことがある場合をいいます。この場合には、①の居住無制限納税義務者と同様、国内財産及び国外財産の全てが課税対象財産となります。
③ 制限納税義務者……財産取得時に日本国内に住所を有しない個人のうち、上記②非居住無制限納税義務者に該当しない者、すなわち贈与を受けた個人に日本国籍がない場合又は贈与をした個人及び贈与を受けた個人がいずれも贈与前5年以内に一度も日本国内に住所を有していたことがない場合をいいます。この場合には、国内財産のみ課税対象財産となります。
現状では、息子様は②非居住無制限納税義務者に該当することとなり、あなたが贈与する財産の所在に関わらず贈与税の課税対象となります。
2.相続時精算課税の適用について 相続時精算課税制度は、贈与者が贈与した年の1月1日において65歳以上であり、受贈者が贈与者の推定相続人である直系卑属のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者が適用できる制度であり、暦年課税制度との選択適用となっております(相法21の9①)。この点、ご質問の懸念事項ですが、相続時精算課税制度は上記1.でご説明した受贈者の納税義務者の区分に関わらず上記の年齢要件等を満たす限り適用が可能となっておりますので、あなたから息子様への贈与に際して相続時精算課税制度を選択することは可能です。
No.117 資産税>贈与税>相続時精算課税
国内に居住していない受贈者の相続時精算課税
青空税理士法人青山事務所 税理士 川村 徹
問 私の息子(38歳)は平成23年12月まで日本に居住しておりましたが、平成24年1月からアメリカに住居を移しております(国籍は日本のまま)。今後、私(68歳)が所有している財産を生前に息子に贈与していくことを検討しているのですが、息子に財産を贈与した場合の贈与税の取扱いはどのようになるのでしょうか。また、相続時精算課税という制度があるようですが、この制度は国内に居住していない息子に贈与した場合にも適用できるのでしょうか。なお、私は日本に居住し続ける予定です。
答
1.贈与税の納税義務者 贈与税の納税義務者は、原則として贈与により財産を取得した個人となっており、納税義務者の区分として以下の3つに区分されます(相法1の4)。
① 居住無制限納税義務者……財産取得時に日本国内に住所を有する個人をいい、財産を取得した個人の国籍に関わらず、国内財産及び国外財産の全てが課税対象財産となります。
② 非居住無制限納税義務者……財産取得時に日本国内に住所を有しない個人のうち、日本国籍があり、かつ、贈与をした個人又は贈与を受けた個人が贈与前5年以内のいずれかの時において日本国内に住所を有していたことがある場合をいいます。この場合には、①の居住無制限納税義務者と同様、国内財産及び国外財産の全てが課税対象財産となります。
③ 制限納税義務者……財産取得時に日本国内に住所を有しない個人のうち、上記②非居住無制限納税義務者に該当しない者、すなわち贈与を受けた個人に日本国籍がない場合又は贈与をした個人及び贈与を受けた個人がいずれも贈与前5年以内に一度も日本国内に住所を有していたことがない場合をいいます。この場合には、国内財産のみ課税対象財産となります。
現状では、息子様は②非居住無制限納税義務者に該当することとなり、あなたが贈与する財産の所在に関わらず贈与税の課税対象となります。
2.相続時精算課税の適用について 相続時精算課税制度は、贈与者が贈与した年の1月1日において65歳以上であり、受贈者が贈与者の推定相続人である直系卑属のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者が適用できる制度であり、暦年課税制度との選択適用となっております(相法21の9①)。この点、ご質問の懸念事項ですが、相続時精算課税制度は上記1.でご説明した受贈者の納税義務者の区分に関わらず上記の年齢要件等を満たす限り適用が可能となっておりますので、あなたから息子様への贈与に際して相続時精算課税制度を選択することは可能です。
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