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コラム2012年06月11日 【SCOPE】 消費増税法案の修正協議で、社保政府提出法案はお蔵入り?(2012年6月11日号・№454)

社会保障制度改革基本法案の丸呑みが条件
消費増税法案の修正協議で、社保政府提出法案はお蔵入り?

 野田佳彦首相は6月4日、野党の要求に応じるかたちで内閣改造を行い、野党第1党である自民党との消費増税法案修正協議に意欲を示した。しかし、自民党は、修正協議入りにいくつかの条件を示している。その1つが、「社会保障制度改革基本法案」の丸呑みだ。同法案は、民主党マニフェスト事項である最低保障年金の創設を否定。高齢者医療制度は現行制度を基本に見直すとし、少子化対策では、「子ども・子育て新システム」を不採用としている。民主党がこの法案を丸呑みした場合、一部の社会保障に係る政府提出法案を不成立とすることを意味することとなり、その調整は簡単ではなさそうだ。

社会保障基本法で合意→税法修正協議  社会保障・税一体改革関連法案の審議が、会期末に向けて緊迫してきた。野田佳彦首相は、消費増税法案の修正協議を進めるべく、参議院で問責決議案が可決された2閣僚の交代を含む内閣改造を行い、野党第1党の自民党との法案修正協議の環境整備を行った。しかし、法案の修正協議入りには、高いハードルが設けられている。その1つが、社会保障制度改革に係る自民党の方針の丸呑みだ。
 自民党は5月末、「社会保障制度改革基本法案」の骨子を決定し、執行部に法案化作業を一任した。この法案のベースとなった社会保障に対する自民党の基本的な考え方では、①最低保障年金の創設、被用者年金と国民年金の一元化は非現実的な選択肢、②高齢者医療制度は現行制度を基本としつつ必要な見直しを実施、③「子ども・子育て新システム」は、待機児童解消が期待できず、制度が複雑になり、保育の質の低下や保護者の負担増加を引き起こす恐れのある保育の産業化の方向は不採用としている。
 民主党は2009年マニフェストで、最低保障年金の創設、後期高齢者医療制度の廃止を明記している。自民党の「社会保障制度改革基本法案」を丸呑みすることは、このマニフェスト事項を撤回することとなる。また、少子化対策についても、政府案と自民党案では異なるものとなっている。
 すなわち、自民党が修正協議の条件とする「社会保障制度改革基本法案」の丸呑みは、民主党のマニフェスト事項の撤回に加えて、一部の社会保障に係る政府提出法案の成立を阻むものとなる。

改正法案の施行期日、別法律での定めも想定  社会保障で合意が得られた場合には、消費増税法案の修正協議が実現することとなろう。修正協議で焦点になると考えられるのが、消費税率の引き上げ時期だ。政府案では、2014年4月に8%、2015年10月に10%へ引き上げるとされている。ただし、この引上げ時期は、当初の政府想定よりも半年先送りされたものだ。この点、財政運営戦略・財政健全化目標との関係について、安住淳財務大臣は社会保障・税一体改革特別委員会で「(引上げ時期が)半年後ろにズレたことで、2015年の基礎的財政収支の赤字対GDP比半減目標の達成は、現時点では厳しいものとなっているのが現実だ」と答弁している。こうした経緯から、消費増税法案の修正協議では、財政健全化目標と消費税率引上げ時期との関係が論点になると予想される。
 なお、今回の社会保障・税一体改革の根拠とされている平成21年度税制改正法附則104条2項では、将来の経済状況の好転の見通しが立たないような場合に、施行期日を別の法律で定めることも想定されている。
 その他、税制抜本改革項目である所得税の最高税率引上げ、相続税の基礎控除引下げなどの取扱いも注目されるが、自民党内には、消費税関連以外の改正項目の議論を先送りするとの声もあるようだ。

社会保障・税一体改革特別委員会で審議中の法案と主要項目
○公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案
・年金制度の最低保障機能の強化を図り、併せて、年金給付の重点化・効率化を図る観点から、受給資格期間の短縮、低所得者等への年金額の加算、高所得者の年金額の調整を行う。
・基礎年金国庫負担1/2が恒久化される特定年度を平成26年度と定める。
・平成24年度に発行する交付国債の償還に関する事項を定める。
○被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案
・厚生年金に公務員及び私学教職員も加入することとし、2階部分の年金は厚生年金に統一する。
・共済年金と厚生年金の制度的な差異については、基本的に厚生年金に揃えて解消する。
・共済年金の1・2階部分の保険料を引き上げ、厚生年金の保険料率(上限18.3%)に統一する。
○子ども・子育て支援法案
・子ども・子育て支援給付の創設
○総合こども園法案
・総合こども園の設置等
○子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
・子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う所要の改正
○社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案
・消費税率を4%から6.3%に引上げ(平成26年4月1日施行)
・消費税率を6.3%から7.8%に引上げ(平成27年10月1日施行)
・所得税の最高税率の引上げ(課税所得5,000万円超について45%)
・相続税の基礎控除の引下げ(「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」⇒「3,000万円+600万円×法定相続人数」)
○社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案
・消費税率を1%から1.7%に引上げ(平成26年4月1日施行)
・消費税率を1.7%から2.2%に引上げ(平成27年10月1日施行)

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