コラム2013年01月14日 【SCOPE】 平成25年3月末で期限切れとなる租税特別措置は?(2013年1月14日号・№482)

自民党税調が始動、大綱は1月24日頃に決定
平成25年3月末で期限切れとなる租税特別措置は?

 自民党税制調査会(会長:野田毅衆議院議員)は1月7日、総会を開催し、平成25年度税制改正の議論をスタートさせた。小委員長には額賀福志郎衆議院議員が就任した。公明党と協議をしながら税制改正大綱を取りまとめる。1月24日頃の決定を目指す。平成25年度税制改正の主な検討項目は、3党合意を行った所得税の最高税率の見直しや相続税・贈与税の見直しなど。平成25年3月31日で期限切れとなる租税特別措置の取扱いもポイントとなる。

民主党政権下での政府税調は廃止に  自民党税制調査会が本格始動した。民主党政権下での政府税制調査会は廃止され、平成25年度税制改正大綱は党税調主導で取りまとめが行われることになる。来年度予算案は1月末までに取りまとめられる予定であるため、その1週間前の1月24日頃が平成25年度税制改正大綱の決定のタイムリミットとなる。
 主な検討項目としては、3党合意を行った所得税の最高税率の見直しや相続税・贈与税の見直し、事業承継税制、金融証券税制(損益通算の拡大など)が挙げられる。そのほか、消費税率引上げを踏まえた住宅取得に係る措置や自動車取得税・自動車重量税の見直しなどがある。
 大綱決定に向けては、公明党と協議していくことになるが、たとえば、消費税率の軽減税率の導入については、8%への引上げ時から導入すべきとの公明党の主張との間で隔たりがある。最後まで議論が難航しそうだ。
期限切れ租特の動向には注視  また、住宅用家屋の保存・移転登記の登録免許税の軽減、土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減、不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例など、平成25年3月31日で期限切れとなる租税特別措置(次頁参照)の取扱いもポイントとなる。仮に2月中に税制改正法案が提出されたとしても、3月中に成立しなければ納税者に大きな影響が出る。“つなぎ法案”といった措置なども考えられるが、企業や実務家などは法案の行方に注視すべきといえよう。


平成25年3月31日までに適用期限が到来する租税特別措置
○所得税関係
・振替社債等の利子等の課税の特例
・認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の場合の譲渡所得の課税の特例
・既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除
・電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の特別控除
○法人税関係
・エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(太陽光発電設備及び風力発電設備に係る措置)
・船舶の特別償却
・関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却
・共同利用施設の特別償却
・特定農産加工品生産設備等の特別償却(新用途米穀加工品等製造設備に係る措置)
・特定高度通信設備の特別償却
・特定地域における工業用機械等の特別償却
・医療用機器等の特別償却
・支援事業所取引金額が増加した場合の3年以内取得資産の割増償却
・サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却
・特定再開発建築物等の割増償却
・倉庫用建物等の割増償却
・保険会社等の異常危険準備金
・探鉱準備金又は海外探鉱準備金
・農業経営基盤強化準備金
・技術研究組合の所得計算の特例
・農林中央金庫等の合併に係る課税の特例
○登録免許税関係
・土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減
・住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減
・住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減
・住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減
・利用権設定等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記の税率の軽減
・信用保証協会等が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減
・特定外貿埠頭管理運営会社が指定法人からの出資に伴い土地等を取得した場合の所有権の移転登記の税率の軽減
・認定民間都市再生事業計画に基づき建築物を建築した場合の所有権の保存登記の税率の軽減
・特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記の税率の軽減
・電子情報処理組織による登記の申請の場合の登録免許税額の特別控除
○消費税等間接税関係
・入国者が輸入するウイスキー等又は紙たばこの非課税
・清酒等に係る酒税の税率の特例
・入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例
・ビールに係る酒税の税率の特例
・入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例
・バイオエタノール等揮発油に係る課税標準の特例
・不動産の譲渡に関する契約者等に係る印紙税の税率の特例

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