コラム2014年01月13日 【税実務Q&A】 産業廃棄物が埋まった土地の評価(2014年1月13日号・№530)

税実務Q&A
No.198 資産税>財産評価>土地の評価
産業廃棄物が埋まった土地の評価
 青空税理士法人青山事務所 税理士 大瀬戸久美子

 平成25年2月に父が死亡し、父所有の土地を相続しました。相続税の納税資金を捻出するためにこの相続により取得した土地(以下「本件土地」という)を売却することにしました。本件土地について不動産業者へ売却依頼をしたところ、本件土地中に大量の産業廃棄物が埋設していることが判明し、この産業廃棄物除去費用(2,000万円)を不動産業者からの要求により負担することになりました。
 産業廃棄物がないものとした場合の本件土地の相続税評価額は6,000万円と算出されていますが、相続税の申告上、この負担した除去費用は本件土地の評価額から減額することができるのでしょうか?


1.産業廃棄物の埋設した土地
 産業廃棄物とまでは行かなくとも、建築用資材などが地中に廃棄されている場合がよくあるようで、住宅地で地中の廃棄物撤去作業を目にすることがあります。
 産業廃棄物が埋設されている土地は、地中の廃棄物の埋設により利用制限が生じており、この利用制限をなくすには、埋設物の除去措置が必要とされます。
 土地の評価については、土壌汚染地の評価(平成16年7月5日付「土壌汚染地の評価等の考え方について(情報)」)に準じて計算するのが相当です。
 具体的には、産業廃棄物の埋設されている土地の評価額は、産業廃棄物がないものとした場合の評価額から産業廃棄物の除去費用に相当する金額を控除して算出することになります。ただし、宅地等の相続税評価額は公示価格水準の8割とされていることから、その除去費用に相当する金額についても、実際の支出額の8割として計算します。
 なお、「産業廃棄物が埋設されている土地」とは課税時期において産業廃棄物が埋設されていることが判明している土地であることが必要となります。埋もれている可能性がある、というような潜在的な状況では、個別に斟酌するということはできません。
 また、産業廃棄物の除去費用に相当する金額については、実際に除去措置を行い、その実費費用に基づいて算定して差し支えありませんが、見積り書等によっている場合には、近隣産廃業者等の確認をとる等により見積内容の合理性を担保しておく必要があります。
2.ご質問への回答  本件土地については、課税時期において、産業廃棄物が地中に埋設されていることが明らかであることから、本件土地の評価額は、産業廃棄物が埋設されていないものとした場合の評価額6,000万円から産業廃棄物除去費用に相当する金額1,600万円(実費2,000万円の8割)を控除した金額4,400万円として評価するのが相当です。

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