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コラム2015年12月07日 【未公開裁決事例紹介】 著作権の使用料の該当性、契約名だけで判断せず(2015年12月7日号・№621)

未公開裁決事例紹介
著作権の使用料の該当性、契約名だけで判断せず
審判所、目的や内容から契約意思を合理的に解釈

○国内源泉所得となる著作権の使用料に当たるか否かの判断に当たっては、契約に基づいて支払われる金員が何の対価であるかを当該金員の支払根拠となった契約における名目だけではなく、その目的や内容から契約意思を合理的に解釈し、その本体をなす合意を認知して判断することとされた事例(平成27年3月11日裁決、棄却)

事  実
(1)事案の概要
 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、大韓民国に本店を置く外国法人に対して支払った金員について、原処分庁が、当該金員は所得税法第161条《国内源泉所得》第7号ロに規定する著作権の使用料であり国内源泉所得に該当するとして、振泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が、当該金員は芸能人の広告への出演承諾及び同種商品の広告などへの出演の拘束、制限の対価であり、著作権の使用料には該当しないとして、これらの処分の全部の取消しを求めた事案である。
(2)審査請求に至る経緯(略)
(3)関係法令等(略)
(4)基礎事実
 以下の事実は、請求人と原処分庁との間に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人は、××を本店所在地とする××等を行う内国法人である。
ロ 請求人は、大韓民国(以下「韓国」という。)に本店を置く××(以下「韓国」という。)が製造する商品を、日本国内において「××」(以下「本件商品」とい。)という名称で販売した。
ハ 請求人は、平成23年4月19日付で××、韓国の法人である××及び韓国の芸能人××との間において契約(以下「本件契約」といい、本件契約に係る契約書を「本件契約書」という。)を締結した。
ニ 本件契約書の内容は、別紙2(略)のとおりである。
ホ ××は、本件契約の締結日である平成23年4月19日から本件契約における契約期間の末日である同年12月18日において、××していた。
ヘ 請求人は、平成23年5月19日に、××に対し、本件契約書第5条第2項に定める××を支払った(以下、請求人が支払った××を「本件金員」という。)。
ト 請求人は、本件金員を支払う際、所得税法第212条第1項に規定する源泉所得税を国に納付しなかった。
チ ××は、本件金員の支払を受ける日の前日までに、請求人を経由して、日韓租税条約第12条第2項の規定の適用に基づく軽減を受けるための「租税条約に関する届出書」を原処分庁に提出しなかった。

争  点  本件金員は、源泉所得税の課税対象となる国内源泉所得としての著作権の使用料に該当するか否か。

主  張  当事者の主張は、のとおりである。

【表】本件金員は、源泉所得税の課税対象となる国内源泉所得としての著作権の使用料に該当するか否か。
原処分庁 請 求 人
 本件契約は、××が本件商品を韓国国内で販売するために既に制作していた××に著作権が帰属する広告物等を、請求人が本件商品を日本国内で販売する際の広告に使用するための契約であり、その対価として本件金員を支払うことを基本事項とするものと認められる。
 そして、本件金員が著作権の使用料に該当するか否かは本件契約の本質に即して判断すべきであり、本件契約書第1条《契約の目的》の規定が契約の本質を表したものと認められ、本件契約の本質は、同条に定められたとおり、既に制作された××の広告制作物等を請求人が日本で使用することにあり、本件金員の性格は、著作物の利用を可能とするための支払と認められる。
 また、請求人は、本件契約書第3条《使用と著作権の範囲》第2項が、改編に必要なコマーシャル素材、印刷物のデザインデータ及び広告に用いる××の画像を××は請求人に無償で提供する旨定められていることを理由に、本件金員は著作権の使用料には当たらない旨主張するが、同項ただし書に「コマーシャル改変のための素材提供に作業費用が発生する場合は、甲、乙が別途協議のうえ取り決めるものとする。」と定められていることからすれば、同項本文は、作業費用が生じない場合にはコマーシャル素材等の提供に係る費用負担が不要であることを定めている、すなわち、コマーシャル素材等を無償で提供することを定めたものであり、著作権の使用料が無償であることを定めたものとは認められない。
 そうすると、本件金員は、請求人が××に支払った著作権の使用料であると認められることから、本件納税告知処分及び本件賦課決定処分は、適法である。
 ××は、本件商品を日本に輸出して販売するために、本件契約を締結したものであり、本件契約の基本は、日本での売上げを確保するために、××が保有する著作物を請求人に無償で提供することにある。
 そして、本件契約書第3条第2項は、改編に必要なコマーシャル素材、印刷物のデザインデータ及び広告に用いる××の画像を××は請求人に無償で提供する旨定められていることから、××の保有する著作物の請求人に対する使用料は無償である。
 また、本件契約書第5条《契約金等》第1項は、本件契約に基づく××の出演の承諾と同第6条《遵守事項》の本件商品と同種の商品への広告出演への拘束、制限の対価の総額を定め、同第5条第2項は、この対価に係る請求人と××の負担割合と支払方法を定めたものである。
 このことから、本件契約書第5条第2項に定められている本件金員は、××の出演承諾と本件商品と同種の商品への広告出演への拘束、制限の対価のうち請求人が負担すべき金員であることは明白である。
 本件金員がいかなる対価に当たるのかは、本件契約書の条項の記載内容に基づいて判断すべきであり、本件金員は、上記のとおり、本件契約書第3条第2項の規定により、××の著作権の使用料は無償であることから、著作権の使用料には該当せず、同第5条第1項及び同条第2項の規定から××の出演承諾と本件商品と同種の商品への広告出演への拘束、制限の対価である。
 そうすると、本件金員は、日本国外における人的役務の提供の対価であり、源泉所得税の課税対象となる国内源泉所得に該当しないため、本件納税告知処分及び本件賦課決定処分は、取り消されるべきである。

判  断
(1)争点(本件金員は、源泉所得税の課税対象となる国内源泉所得としての著作権の使用料に該当するか否か。)について
 イ 法令解釈
 所得税法第161条第7号ロに規定する著作権とは、著作権について所得税法等の租税法規において特に定義されていないことからすると、著作権法に規定する著作権をいうものと解される。
 そして、著作権法第63条第1項は、著作権者が他人に対し、著作物の利用を許諾できる旨規定し、同条第2項は、許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる旨規定している。
 そうすると、所得税法第161条第7号ロに規定する著作権の使用料とは、所得税基本通達161-23が定めるとおり、著作権者以外の者が著作物を利用すること及びその許諾を受けることについて、著作権者に支払われる対価の一切をいうものと解される。
 また、その支払われる対価が国内源泉所得となる著作権の使用料に当たるか否かの判断に当たっては、契約に基づいて支払われる金員が何の対価であるかを、当該金員の支払根拠となった契約における名目だけではなく、その目的や内容から契約意思を合理的に解釈し、その本体をなす合意を認定して判断すべきであるものと解される。
 ロ 認定事実  請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ)提供された広告物及び改編内容
 A 請求人が××から提供された広告物は、××が出演した韓国語の音声による複数の本件商品の広告映像が収録されている電子データであった。
 B 請求人は、上記Aの広告映像のうち一つにつき、国内の広告活動に用いるため、××を追加し、日本国内においてテレビCMによる広告活動を行った。
(ロ)請求人は、本件商品のターゲット層を××とし、××が作成した××の出演する本件商品の広告映像を使用して広告活動を行うことによって、××に本件商品に対する好印象を与えることができると考え、本件契約を締結した。
ハ 当てはめ (イ)本件契約の目的及び内容について
 A 本件契約書第2条第2項の定めからすると、××は、××の出演した本件商品の広告物(以下「元広告物」という。)について著作権を有すると解されるところ、上記ロの(ロ)の請求人が××の元広告物を用いて本件商品の広告活動を日本国内で行うためには、著作権者である××から元広告物の利用の許諾を得る必要があったと認められる。
  また、本件契約書第1条に、本件契約の目的として、既に制作された××の広告制作物や広告用の××の画像を請求人が日本国内で使用するに当たって、契約四者間の義務と権利を明確にする旨定められていることからすると、本件契約は、請求人にとって、××から元広告物の利用の許諾を得ることを目的として締結されたものと認められる。
 B 本件契約書第3条第1項では、請求人は××の制作した元広告物を日本で使用するにあたり、一部を改変することができる旨定められており、上記の(イ)のBのとおり、請求人は、××が制作した著作物を改編しテレビCMを行ったことからすれば、同条項は、××が請求人に対し、××が制作した著作物の利用を許諾し、その利用方法を定めたものと認められる。
  また、本件契約書第2条第2項では、請求人は、××に帰属された著作権に限って使用することができその使用範囲を日本に限定しているが、その他の国で使用する場合は追って広告金額を取り決める旨、同第4条第4項では、契約期間を超えて広告物を使用する場合は、契約四者の合意が必要である旨それぞれ定めていることからすれば、本件契約において、請求人が元広告物を利用するためには、××及び××(以下「××ら」という。)に対して対価が支払われることを前提としていたとみるのが相当である。
  一方、本件契約書第5条第2項によれば、本件金員は、請求人から××らではなく、××に対して支払われるものとして定められており、同第8条第1項において、請求人は、××が制作した元広告物を日本向けに改編することができないことなどにより、本件契約が解除された場合、××は請求人に本件金員を返還する義務を負う旨定めていることからすると、本件金員は、飽くまで、本件契約において、請求人及び××の二者間のみに留まるものと認められる。
(ロ)本件金員の性格について
 上記のとおり、著作権の使用料に当たるか否かの判断に当たっては、契約に基づいて支払われる金員が何の対価であるかを、当該金員の支払根拠となった契約における名目だけではなく、その目的や内容から契約意思を合理的に解釈し、その本体をなす合意を認定して判断すべきである。
 そうすると、上記(イ)のとおり、本件契約の目的は、請求人が××から著作物の利用の許諾を得るために締結されたものと認められ、また、請求人が元広告物を改編し日本国内でテレビCMを行うためには、××らに対して対価が支払われることを前提とし、請求人は本件金員を××に支払う旨定めていることから、本件契約の目的及び内容から契約意思を合理的に解釈すれば、請求人にとって、本件契約の本体をなす合意は、××に著作権が帰属する元広告物を請求人が日本国内で利用するために、××の許諾を求めたものと認めるのが相当である。
 したがって、本件契約の本体をなす合意に基づいて支払われた本件金員は、著作権者以外の内国法人である請求人が、著作物を利用すること及びその承諾を受けることについて、著作権者である韓国法人の××に支払われた対価であり、国内源泉所得となる著作権の使用料に該当する。
(ハ)請求人の主張について
 A 請求人は、本件契約書第3条第2項は、改編に必要なコマーシャル素材、印刷物のデザインデータ及び広告に用いる××の画像を××は請求人に無償で提供する旨定められていることから、××の保有する著作権の請求人に対する使用料は無償である旨主張する。
  しかしながら、本件契約書第7条第1項では、××が出演して、完成された広告物の所有権、著作権などの一切の権利は××に帰属し、日本向けに改編された広告物の所有権、著作権などの一切の権利は請求人に帰属する旨定めていることから、本件契約は、著作物の使用のみを定めたものではなく、著作物を利用する権利である著作権などについても定めているものと解されるところ、同第3条第2項は、その文言からすると、請求人が××の保有する著作物を改編するために必要な素材の提供を無償で受けることができることを定めた条項と解されるのであって、請求人が××が有する著作物を改編し、日本国内でテレビCMを行うという著作権の利用まで無償であることを定めた条項とは認められないから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
 B また、請求人は、本件契約書第5条第1項は、本件契約に基づく××の承諾と同第6条の本件商品と同種の商品への広告出演への拘束、制限の対価の総額を定め、同第5条第2項は、この対価に係る請求人と××の負担割合と支払方法を定めたものであるから、本件金員は、日本国外における人的役務の提供の対価であり、源泉所得税の課税対象となる国内源泉所得に該当しない旨主張する。
  しかしながら、本件契約書第5条第2項では、請求人は本件金員を××らではなく××に支払う旨定められており、また、(4)基礎事実のホのとおり、××は、本件契約における契約期間において××しており、新たな人的役務の提供を行えない状況であったことからすれば、本件金員は、人的役務の提供の対価であるとは認められず、この点に関する請求人の主張には理由がない。
(2)本件納税告知処分について  上記(1)のとおり、本件金員は、国内源泉所得となる著作権の使用料に該当するため、その支払に際し、請求人は、所得税法第212条第1項の規定により、源泉所得税を徴収し、これを平成23年8月5日付国税庁告示第23号の定めにより、平成23年9月30日までに国に納付しなければならない。
 この点について、(4)基礎事実のチのとおり、××は、租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令に規定のある租税条約に関する届出書を、本件金員の支払を受ける日の前日までに、請求人を経由して、原処分庁に提出していないことから、本件金員の支払に係る源泉所得税の税率は、所得税法第213条第1項第1号の規定により100分の20となる。
 したがって、本件金員の著作権の使用料に係る源泉所得税の額は、別表(略)の「納税告知処分」欄のとおりとなるから、本件納税告知処分は適法である。
(3)本件賦課決定処分について  上記(2)のとおり、本件納税告知処分は適法であり、本件納税告知処分に係る国税を法定納期限までに納付しなかったことについて、国税通則法第67条《不納付加算税》第1項ただし書に規定する正当な理由があるとは認められないから、同項の規定に基づき行われた本件賦課決定処分は適法である。
(4)その他  原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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