解説記事2016年03月28日 【ニュース特集】 3月決算法人のための法人税の間違えやすいポイント(2016年3月28日号・№636)
ニュース特集
大法人の子会社が適用できない中小企業特例 etc
3月決算法人のための法人税の間違えやすいポイント
平成28年3月期の決算期末が迫っている。課税当局によれば、課税処理の取扱いが明確に定まっているにも関わらず、申告の際に処理が誤っている項目が少なからずあるようだ。本特集では、課税当局の資料等を元に企業が間違えやすい法人税処理の留意点を解説する。
特定同族会社の株主判定、特殊関係者を除外する誤り
企業が間違えやすい項目としていまだに挙げられるのが、特定同族会社の株主判定。特定同族会社の特別税率の規定の適用を受ける特定同族会社とは、発行済株式の50%超を1株主グループにより支配されている会社で、被支配会社であることについての判定の基礎となった株主等のうちに被支配会社でない法人がある場合には、当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定するものとした場合においても被支配会社となるものをいうこととされている(法法67条)。判定の基礎となる株主等については、株主等と特殊の関係のある個人及び法人を持ち株数に含めることになるが、これを含めず特定同族会社に該当しないとして留保金課税を適用しない事例があるという。
この株主等と特殊の関係のある個人及び法人とは、個人については①株主等の親族、②株主等と事実婚にある者、③株主等の使用人など、法人は(1)株主等の1人が他の会社を支配している場合の他の会社、(2)株主等の1人と(1)の会社が他の会社を支配している場合の他の会社などが該当する(法令139条の7)。
資本金5億円以上であることが明確だが また、別表二「同族会社等の判定に関する明細書」の「判定基準となる株主等の株式数等の明細」の各欄に記載されている内容から判断すると、資本金等の額が5億円以上の法人との間に完全支配関係がある法人(大法人の子会社)に該当することが明らかであっても、「判定結果」欄の記載漏れや誤りにより留保金課税を適用していないケースもあるとのことだ。
そのほか、前期末配当等の額及び当期末配当等の額(平18.5.1以後にその支払に係る基準日がある配当等の額)については、会社法施行後、期末配当は別表四で留保所得とし、別表三(一)の留保金額の計算で留保所得に当期末配当を減算し、前期末配当を加算する調整が必要となっているが、その調整を誤っている事例も散見されるという。
公益法人等の資本金は「基本財産」で判定せず
交際費等の損金不算入制度に関しては、平成26年度税制改正により、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入が認められているが、中小法人の場合には、定額控除限度額(800万円)までの損金算入とのいずれかの選択適用となっている。
この中小法人とは、事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(資本金等の額が5億円以上の法人などの一定の法人による完全支配関係がある子法人等を除く)が該当する。
この点、誤りが多いのが公益法人の「基本財産」だ。公益法人の中には、決算書上の基本財産を資本金として定額控除限度額を適用しているケースがあるが、基本財産は「資本又は出資」に該当しないので留意したい。公益法人の場合は、「(期末総資産簿価-総負債簿価-当期利益(又は+当期欠損金))×60%」(措令37条の4第3号)で1億円以下かどうかを算定することになる。
公社債投資信託に該当するファンドの受取配当等を益金不算入に
法人が配当等の額を受ける場合には、法人が保有する株式等に係る配当等の区分に応じ、益金の額に算入しないこととされている。しかし、その銘柄から受取配当等の益金不算入の対象とならないことが推定できる①公社債投資信託(MMFを含む。)、②特定外貨建等証券投資信託の収益の分配について適用している事例があるので留意したい。例えば、表1に掲げたファンドなどが該当する。
また、転換社債の利子や外国法人からの配当金を受取配当等の額に含めている事例もあるという。
建物の増築等の場合は定額法しか適用できず
減価償却制度については、平成10年4月1日以後に取得した建物であるにも関わらず、旧定率法又は定率法を採用しているケースがあるとのことなので留意したい。特に平成10年4月1日前に取得した建物の場合は旧定率法が適用できるが、増築等の場合は新規取得する建物に該当することになるため、定額法しか適用することができない(表2参照)。
なお、旧定率法を採用している既存建物に改築等の資本的支出を実施した場合で、特例計算を適用したときには、その資本的支出の金額を建物の取得価額に加算して旧定率法により償却することになる(法令55条2項)。
医療機器は中小企業等投資促進税制の対象とならず
中小企業等投資促進税制では、中小企業者(資本金等の額が1億円以下の法人等及び個人事業者)が機械装置等の対象設備を取得等した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除が選択適用できる。ただし、税額控除に関しては資本金等の額が3,000万円以下の法人等が対象となっているが、資本金等の額が3,000万円超にも関わらず税額控除を適用しているケースが見受けられるという。なお、大規模法人の子会社は同特例の対象外となっている。
また、医療機器については中小企業等投資促進税制の対象とはならない点に留意したい。例えば、診療用又は治療用として取得をし、事業の用に供した超音波診断装置、人工腎臓装置、CTスキャナ装置、歯科治療用椅子などの医療機器(下記参照)は、「器具及び備品」に該当し、中小企業等投資促進税制の対象となる「機械及び装置」には該当しないこととされている。
前期繰越額を誤って記載 試験研究費に係る税額控除制度も間違えやすい項目だ。
例えば、①当期の試験研究費の額が基準試験研究費(適用年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額のうち最も多い金額)の額を超えていないのに、試験研究費の額が増加した場合の税額控除を適用していた、②繰越税額控除の対象となるのは前期分のみであるにもかかわらず、前々期分を対象としている、③前期繰越額を誤って記載していた、④試験研究費に充てるため他の者から支払を受けた金額を試験研究費の額から控除していなかった、⑤当期の損金の額に算入されていない役員給与の額を試験研究費の額に含めていた、⑥特許申請費等を試験研究費の額に含めていた点などが挙げられる。
中小企業等投資促進税制の場合はさらに厳しい要件が
大法人の子会社であるにも関わらず中小企業向けの特例措置を適用しているケースも多い。平成22年度及び平成23年度税制改正により、資本金等の額が1億円以下の法人であっても、次の中小企業向け特例措置に関しては、資本金等の額が5億円以上の法人又は相互会社等の100%子法人等には適用されないので留意したい。具体的には、①貸倒引当金の繰入れ、②欠損金等の控除限度額の縮減の不適用、③法人税の軽減税率、④特定同族会社の特別税率(留保金課税)の不適用、⑤貸倒引当金の法定繰入率の選択、⑥交際費等の損金不算入制度における定額控除制度、⑦欠損金の繰戻しによる還付制度である。
また、中小企業等投資促進税制に関しては、資本金等の額が1億円以下であっても、(1)大規模法人(資本金若しくは出資金の額が1億円以上の法人)から2分の1以上の出資を受ける子会社、(2)2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける子会社については中小企業者等に該当しないこととされ、同特例措置が適用できなくなっている。
大法人の子会社が適用できない中小企業特例 etc
3月決算法人のための法人税の間違えやすいポイント
平成28年3月期の決算期末が迫っている。課税当局によれば、課税処理の取扱いが明確に定まっているにも関わらず、申告の際に処理が誤っている項目が少なからずあるようだ。本特集では、課税当局の資料等を元に企業が間違えやすい法人税処理の留意点を解説する。
特定同族会社の株主判定、特殊関係者を除外する誤り
企業が間違えやすい項目としていまだに挙げられるのが、特定同族会社の株主判定。特定同族会社の特別税率の規定の適用を受ける特定同族会社とは、発行済株式の50%超を1株主グループにより支配されている会社で、被支配会社であることについての判定の基礎となった株主等のうちに被支配会社でない法人がある場合には、当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定するものとした場合においても被支配会社となるものをいうこととされている(法法67条)。判定の基礎となる株主等については、株主等と特殊の関係のある個人及び法人を持ち株数に含めることになるが、これを含めず特定同族会社に該当しないとして留保金課税を適用しない事例があるという。
この株主等と特殊の関係のある個人及び法人とは、個人については①株主等の親族、②株主等と事実婚にある者、③株主等の使用人など、法人は(1)株主等の1人が他の会社を支配している場合の他の会社、(2)株主等の1人と(1)の会社が他の会社を支配している場合の他の会社などが該当する(法令139条の7)。
資本金5億円以上であることが明確だが また、別表二「同族会社等の判定に関する明細書」の「判定基準となる株主等の株式数等の明細」の各欄に記載されている内容から判断すると、資本金等の額が5億円以上の法人との間に完全支配関係がある法人(大法人の子会社)に該当することが明らかであっても、「判定結果」欄の記載漏れや誤りにより留保金課税を適用していないケースもあるとのことだ。
そのほか、前期末配当等の額及び当期末配当等の額(平18.5.1以後にその支払に係る基準日がある配当等の額)については、会社法施行後、期末配当は別表四で留保所得とし、別表三(一)の留保金額の計算で留保所得に当期末配当を減算し、前期末配当を加算する調整が必要となっているが、その調整を誤っている事例も散見されるという。
公益法人等の資本金は「基本財産」で判定せず
交際費等の損金不算入制度に関しては、平成26年度税制改正により、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入が認められているが、中小法人の場合には、定額控除限度額(800万円)までの損金算入とのいずれかの選択適用となっている。
この中小法人とは、事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(資本金等の額が5億円以上の法人などの一定の法人による完全支配関係がある子法人等を除く)が該当する。
この点、誤りが多いのが公益法人の「基本財産」だ。公益法人の中には、決算書上の基本財産を資本金として定額控除限度額を適用しているケースがあるが、基本財産は「資本又は出資」に該当しないので留意したい。公益法人の場合は、「(期末総資産簿価-総負債簿価-当期利益(又は+当期欠損金))×60%」(措令37条の4第3号)で1億円以下かどうかを算定することになる。
公社債投資信託に該当するファンドの受取配当等を益金不算入に
法人が配当等の額を受ける場合には、法人が保有する株式等に係る配当等の区分に応じ、益金の額に算入しないこととされている。しかし、その銘柄から受取配当等の益金不算入の対象とならないことが推定できる①公社債投資信託(MMFを含む。)、②特定外貨建等証券投資信託の収益の分配について適用している事例があるので留意したい。例えば、表1に掲げたファンドなどが該当する。
また、転換社債の利子や外国法人からの配当金を受取配当等の額に含めている事例もあるという。
建物の増築等の場合は定額法しか適用できず
減価償却制度については、平成10年4月1日以後に取得した建物であるにも関わらず、旧定率法又は定率法を採用しているケースがあるとのことなので留意したい。特に平成10年4月1日前に取得した建物の場合は旧定率法が適用できるが、増築等の場合は新規取得する建物に該当することになるため、定額法しか適用することができない(表2参照)。
なお、旧定率法を採用している既存建物に改築等の資本的支出を実施した場合で、特例計算を適用したときには、その資本的支出の金額を建物の取得価額に加算して旧定率法により償却することになる(法令55条2項)。
医療機器は中小企業等投資促進税制の対象とならず
中小企業等投資促進税制では、中小企業者(資本金等の額が1億円以下の法人等及び個人事業者)が機械装置等の対象設備を取得等した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除が選択適用できる。ただし、税額控除に関しては資本金等の額が3,000万円以下の法人等が対象となっているが、資本金等の額が3,000万円超にも関わらず税額控除を適用しているケースが見受けられるという。なお、大規模法人の子会社は同特例の対象外となっている。
また、医療機器については中小企業等投資促進税制の対象とはならない点に留意したい。例えば、診療用又は治療用として取得をし、事業の用に供した超音波診断装置、人工腎臓装置、CTスキャナ装置、歯科治療用椅子などの医療機器(下記参照)は、「器具及び備品」に該当し、中小企業等投資促進税制の対象となる「機械及び装置」には該当しないこととされている。
| >租税特別措置法第42条の6(中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除)の対象とならない医療機器 |
| 「歯科治療用椅子」、「超音波診断装置」、「デジタル超音波診断装置一式」、「オートレフケラトトノメーター」、「白内障手術装置」、「ジェネレーター」、「従量式人口呼」、「血圧脈脈監視」、「デジタルベット」、「人工腎臓装置」、「生ゴミ処理機」、「全身用PET運動負荷付」、「全身用Ⅹ線CT装置」、「CTスキャナ装置」(マルチスライス装置等)、「画像読影読取診断装置」 |
前期繰越額を誤って記載 試験研究費に係る税額控除制度も間違えやすい項目だ。
例えば、①当期の試験研究費の額が基準試験研究費(適用年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額のうち最も多い金額)の額を超えていないのに、試験研究費の額が増加した場合の税額控除を適用していた、②繰越税額控除の対象となるのは前期分のみであるにもかかわらず、前々期分を対象としている、③前期繰越額を誤って記載していた、④試験研究費に充てるため他の者から支払を受けた金額を試験研究費の額から控除していなかった、⑤当期の損金の額に算入されていない役員給与の額を試験研究費の額に含めていた、⑥特許申請費等を試験研究費の額に含めていた点などが挙げられる。
中小企業等投資促進税制の場合はさらに厳しい要件が
大法人の子会社であるにも関わらず中小企業向けの特例措置を適用しているケースも多い。平成22年度及び平成23年度税制改正により、資本金等の額が1億円以下の法人であっても、次の中小企業向け特例措置に関しては、資本金等の額が5億円以上の法人又は相互会社等の100%子法人等には適用されないので留意したい。具体的には、①貸倒引当金の繰入れ、②欠損金等の控除限度額の縮減の不適用、③法人税の軽減税率、④特定同族会社の特別税率(留保金課税)の不適用、⑤貸倒引当金の法定繰入率の選択、⑥交際費等の損金不算入制度における定額控除制度、⑦欠損金の繰戻しによる還付制度である。
また、中小企業等投資促進税制に関しては、資本金等の額が1億円以下であっても、(1)大規模法人(資本金若しくは出資金の額が1億円以上の法人)から2分の1以上の出資を受ける子会社、(2)2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける子会社については中小企業者等に該当しないこととされ、同特例措置が適用できなくなっている。
| その他法人税関係の間違えやすいポイント |
| (1)使用人兼務役員とされない監査役に対して、使用人の職務に対する給与を支給し、損金の額に算入していた。 (2)譲渡経費に該当する建物の取壊費用、備品廃棄損の額を譲渡原価に加算せずに圧縮限度額を計算している。 (3)収用換地等を行った場合の所得の特別控除について、譲渡益の額の計算上控除される譲渡経費に含まれるべき費用を計上せず、特別控除額が過大となっている。 (4)特別償却と法人税額の特別控除を重複適用していた。 (5)所得税額控除の額を所得金額に加算していない。 (6)配当等に係る所得税額について、所有期間に対応する所得税額の計算を行わなければならないにもかかわらず、行っていない。 (7)法人税等の還付金の益金不算入処理を行う際、事業税分も含めて減算している。 (8)土地の取得価額とすべき費用(仲介手数料等)を取得価額に算入していない。 |
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-

-

団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -















