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解説記事2017年02月06日 【新会計基準解説】 実務対応報告第33号「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い」等について(2017年2月6日号・№677)

新会計基準解説
実務対応報告第33号「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い」等について
 企業会計基準委員会 専門研究員 蔦永竜一

Ⅰ はじめに

 企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成28年12月16日に、実務対応報告第33号「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)を公表した(脚注1)。本稿では、本実務対応報告の概要を紹介する(脚注2)。なお、文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。

Ⅱ 公表の経緯
 平成27年6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」において、「企業が企業年金を実施しやすい環境を整備するため、確定給付企業年金制度について、運用リスクを事業主と加入者で柔軟に分け合うことができるようなハイブリッド型の企業年金制度の導入」を検討することとされたことを受けて、運用リスクを事業主と加入者で柔軟に分け合う仕組みとして「リスク分担型企業年金」が導入された(脚注3)。
 これに対応するため、厚生労働省より、平成27年11月に開催された第25回基準諮問会議において、リスク分担型企業年金に関する会計上の取扱いの明確化をASBJの新規テーマとすることが提案された。基準諮問会議における審議の結果、平成27年11月に開催された第324回企業会計基準委員会において、リスク分担型企業年金に関して、企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」(以下「退職給付会計基準」という。)における「確定拠出制度」と「確定給付制度」のいずれに該当するかについての検討を行うことが提言された。この提言を受けて、平成27年12月に開催された第325回企業会計基準委員会において、ASBJの新規テーマとすることが了承された。
 その後、平成27年12月より審議を開始し、平成28年6月2日に実務対応報告公開草案第47号「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」等が公表された。本実務対応報告等は、これに対して寄せられた意見を踏まえて検討を行い、公開草案の内容を一部修正した上で公表するに至ったものである。

Ⅲ リスク分担型企業年金の概要

1 リスク分担型企業年金の法令上の位置付け
 リスク分担型企業年金は、確定給付企業年金法に基づいて実施される企業年金のうち、確定給付企業年金法施行規則で定められた企業年金であり、制度導入時にリスク対応掛金(後述2参照)を含めた事業主の掛金負担を労使合意に基づきあらかじめ定めた上で、年金の給付額の算定に関して、毎事業年度における財政状況に応じて定まる調整率による調整を通じて給付額を自動的に増減する仕組みである。

2 リスク対応掛金の拠出  リスク分担型企業年金における掛金は、標準掛金相当額、特別掛金相当額及びリスク対応掛金相当額で構成されている(脚注4・5)。
 このうち、リスク対応掛金は、制度導入時にあらかじめ財政悪化リスク相当額を測定し、その水準を踏まえて、事業主が追加で拠出する掛金である。
 財政悪化リスク相当額は、通常の予測を超えて財政の安定が損なわれる危険に対応する額で、20年程度に1度の損失にも耐え得る基準として定められ、具体的な算定方法としては、所定の方法により算定する方式(標準方式)と、厚生労働大臣の承認を得て、実情に合った方法で算定する方式(特別方式)が設けられている。なお、リスク分担型企業年金においては、制度導入時に事業主が拠出する掛金を固定する仕組みであり、発生するリスクの大きさを導入時から適切に見込む必要性があるため、標準方式では、将来の積立金の価格変動により積立金が減少するリスク(価格変動リスク)と、今後の金融経済環境等の変化に伴い予定利率が低下するリスク(予定利率低下リスク)を合算してリスクを測定することが求められる。
 リスク対応掛金の拠出方法としては、図表1の方法が定められている。

【図表1】リスク対応掛金の拠出方法
方法 拠出の具体的な方法
①均等拠出 5年以上20年以内の範囲内においてあらかじめ規約で定めた期間(以下「予定拠出期間」という。)で均等に拠出する。
②弾力拠出 毎事業年度の拠出額を下限リスク対応掛金額(上記①の方法で拠出する金額)以上、上限リスク対応掛金額(予定拠出期間ごとに定められた最短期間で拠出する場合の金額)以下の範囲内で拠出する。
③定率拠出 予定拠出期間において、リスク対応掛金額の未拠出額に15%以上50%以下の範囲内で規約で定めた一定の割合を乗じた金額を拠出する。
 なお、図表1に掲げたいずれの方法においても、リスク対応掛金額の各期における拠出額又は拠出額の算定に用いる一定の割合はあらかじめ規約に定められる。

3 リスク分担型企業年金の基本的な仕組み  リスク分担型企業年金は、上記2のリスク対応掛金の拠出を行う仕組みを活用して、財政悪化リスク相当額のうち、事業主が負担するリスクの部分をあらかじめ定める仕組みであり、この制度では、財政悪化リスク相当額を労使間でどのように分担するかを制度導入時にあらかじめ定めることが可能である。
 具体的なイメージは、図表2のとおりである。

 リスク分担型企業年金では、新たな労使合意がない限りは、制度の導入時の規約に定められた掛金は見直されず、給付に対する財源のバランスが毎年度変化するため、毎年度の決算において給付額を増減することによって財政の均衡を図るように制度設計されており、具体的には、従来の確定給付企業年金における給付算定式に財政状況に応じて定まる「調整率」を乗じて給付額を増減する。調整率は、財政計算時及び毎事業年度の財政決算時において、財政状況に応じて図表3のとおり定められる。なお、単年度の給付の変動を抑制するために、調整率を複数年度で平滑化することも可能とされている。

【図表3】調整率の算定方法
調整率の算定方法
①積立超過が生じている場合 (積立金+掛金収入現価-財政悪化リスク相当額)/調整を行わない場合
の給付現価
②財政均衡の場合 1.0(給付額の調整を行わない)
③積立不足が生じている場合 (積立金+掛金収入現価)/調整を行わない場合の給付現価

 調整率を乗じた給付額の調整のイメージは、図表4のとおりである。


Ⅳ 本実務対応報告の概要

1 会計上の退職給付制度の分類
(1)本実務対応報告における取扱い
 本実務対応報告における会計上の退職給付制度の分類方法は、以下のとおりである。
① リスク分担型企業年金のうち、企業の拠出義務が、給付に充当する各期の掛金として、規約に定められた標準掛金相当額、特別掛金相当額及びリスク対応掛金相当額の拠出に限定され、企業が当該掛金相当額の他に拠出義務を実質的に負っていないものは、退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類する(本実務対応報告第3項)。
② 上記①以外のリスク分担型企業年金は、退職給付会計基準第5項に定める確定給付制度に分類する(本実務対応報告第4項)。
③ 退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金については、直近の分類に影響を及ぼす事象が新たに生じた場合、上記①及び②に従い、会計上の退職給付制度の分類を再判定する(本実務対応報告第5項)。
(2)本実務対応報告における考え方  退職給付会計基準では、確定拠出制度を「一定の掛金を外部に積み立て、事業主である企業が、当該掛金以外に退職給付に係る追加的な拠出義務を負わない退職給付制度」と定義し(退職給付会計基準第4項)、確定給付制度を「確定拠出制度以外の退職給付制度」と定義している(退職給付会計基準第5項)。このため、会計上の退職給付制度の分類にあたっては、(a)事業主である企業が一定の掛金以外に退職給付に係る追加的な拠出義務を負うか否か、及び(b)一定の掛金を外部に積み立てているか否か、が判断基準になる。
 この点について、上記の判断基準とリスク分担型企業年金の特徴との関係は、基本的に図表5のとおりと考えられる。

【図表5】判断基準とリスク分担型企業年金の特徴との関係
判断基準 リスク分担型企業年金の特徴との関係
(a)事業主である企業が一定の掛金以外に退職給付に係る追加的な拠出義務を負うか否か 毎事業年度における財政状況に応じて、自動的に給付額が増減して財政の均衡が図られることによって、企業に追加の掛金拠出が要求されないことが想定されているため、基本的に、企業は追加的な拠出義務を負っていない。
(b)一定の掛金を外部に積み立てているか否か 一定の拠出方法(図表1 参照)に基づく各期のリスク対応掛金相当額等が制度の導入時にあらかじめ規約に定められるため、一定の掛金を外部に積み立てている。

 これらの点から、本実務対応報告ではリスク分担型企業年金の会計上の分類については、上記(1)の①及び②によることとしている。
 また、直近の分類に影響を及ぼす事象が新たに生じた場合(例えば、新たな労使合意に基づく規約の改訂が行われた場合)、本実務対応報告第3項の要件を満たさなくなる可能性があるため、会計上の退職給付制度の分類を再判定することとしている(上記(1)③参照)。なお、当該分類の再判定においては、個々の企業における事実関係に即して、直近の分類に影響を及ぼす事象が新たに生じたか否かを判断することが求められる(本実務対応報告第22項)。

2 退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金の会計処理
(1)本実務対応報告における取扱い
 本実務対応報告では、退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金については、規約に基づきあらかじめ定められた各期の掛金の金額(脚注6)を、各期において費用処理することとしている(本実務対応報告第7項)。
(2)本実務対応報告における考え方  退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類される場合、当該制度に基づく要拠出額をもって費用処理することとなるが(退職給付会計基準第31項)、リスク対応掛金相当額の拠出方法については、一定の幅の範囲内で拠出する方法(図表1②参照)が認められているため、費用配分の観点から、各期の費用処理額が論点となった。
 この点、リスク対応掛金相当額は、拠出の総額は決まっているものの、各期における労働サービスの提供との対応関係は必ずしも明らかではなく、また、労働サービスの価値は信頼性をもって測定することが不可能なため、一般に、支払額をもって報酬費用とみなされている点を踏まえて、規約に基づきあらかじめ定められた各期の掛金の金額を、各期において費用処理することとした(本実務対応報告第24項)。
 なお、当該会計処理において、制度の導入時にリスク対応掛金相当額の総額が算定され、基金の解散又は規約の終了がない限りは、企業はリスク対応掛金相当額の拠出の義務を負っている点に着目して、制度導入時にリスク対応掛金相当額の総額を負債として全額計上すべきかどうかが論点となったが、次の理由により、負債として計上しないこととした(本実務対応報告第25項)。
・特別掛金相当額は、制度の導入時に既に生じた積立不足に対応するものであり、制度の導入時に総額の費用計上が必要とされ、対応する負債が計上される。一方、リスク対応掛金相当額は、制度の導入時に算定される財政悪化リスク相当額の水準を踏まえ、標準掛金相当額に追加して拠出するものであり、制度の導入時に費用計上する必要はなく、費用計上に対応した負債を計上する必要はない。
・仮に総額の債務性に着目しリスク対応掛金相当額の総額を負債として計上するとともに、本実務対応報告第24項に記載した費用配分を勘案し、見合いの資産を計上したとしても、当該負債及び資産より得られる情報は、必ずしも有用ではない。

3 退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金への移行に関する取扱い
(1)本実務対応報告における取扱い
 退職給付会計基準第5項に定める確定給付制度に分類される退職給付制度から、退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金への移行は、退職給付制度の終了に該当するとされている(本実務対応報告第9項)。
 具体的には、以下の会計処理を行うこととしている(本実務対応報告第10項)。
① リスク分担型企業年金への移行の時点で、移行した部分に係る退職給付債務と、その減少分相当額に係るリスク分担型企業年金に移行した資産の額との差額を、損益として認識する。移行した部分に係る退職給付債務は、移行前の計算基礎に基づいて数理計算した退職給付債務と、移行後の計算基礎に基づいて数理計算した退職給付債務との差額として算定する。
② 移行した部分に係る未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異は、損益として認識する。移行した部分に係る金額は、移行した時点における退職給付債務の比率その他合理的な方法により算定する。
③ 上記①及び②で認識される損益の算定において、リスク分担型企業年金への移行の時点で規約に定める各期の掛金に特別掛金相当額が含まれる場合、当該特別掛金相当額の総額を未払金等として計上する。
④ 上記①から③で認識される損益は、原則として、特別損益に純額で表示する。
(2)本実務対応報告における考え方  企業会計基準適用指針第1号「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」(以下「制度移行適用指針」という。)の公表時(平成14年)には、法令上、確定給付企業年金法に基づいて実施される一方で、会計上は退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類される制度は想定されていなかった。このため、退職給付会計基準第5項に定める確定給付制度に分類される退職給付制度から、退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金への移行の会計処理の取扱いが論点となった。
 この点については、退職給付会計基準第5項に定める確定給付制度に分類される退職給付制度から、退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金への移行については、退職給付制度間の移行又は制度の改訂により退職給付債務がその減少分相当額の支払等を伴って減少するため(制度移行適用指針第4項)、制度移行適用指針における「退職給付制度の終了」に該当することとなる。
 なお、審議の過程において、上記(1)③の会計処理については、会計上の確定給付制度から会計上の確定拠出制度への移行という点が、実務対応報告第2号「退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い」(以下「制度移行実務対応報告」という。)のQ11に示された事項と共通しているため、当該特別掛金相当額のうち移行前の退職給付に係る負債を上限に負債を計上する必要があるとの意見が聞かれた。
 しかしながら、制度移行実務対応報告のQ11は確定給付制度間の移行における例外的な取扱いを定めているものであり、退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金への移行は退職給付制度の終了に該当し、特別掛金相当額は既に生じた積立不足に対応し、制度の導入時に算定された総額は導入後に見直されない。したがって、特別掛金相当額は、移行前の確定給付制度に関する事業主からの支払又は現金拠出額の確定額に該当し、退職給付制度の終了に伴って当該特別掛金相当額の総額を負債として計上することが適切であると考えられるため、当該特別掛金相当額の総額を未払金等として計上することとした(本実務対応報告第28項)。

4 開  示
(1)本実務対応報告における取扱い
 退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金については、退職給付会計基準第32-2項に定められている注記事項として、下記の内容を記載することとしている(本実務対応報告第12項)。
① 企業の採用するリスク分担型企業年金の概要
② 退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金に係る退職給付費用の額
③ 翌期以降に拠出することが要求されるリスク対応掛金相当額及び当該リスク対応掛金相当額の拠出に関する残存年数
(2)本実務対応報告における考え方  リスク分担型企業年金が導入され、複数の制度が退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されることを受けて、退職給付会計基準を改正し、財務諸表利用者が確定拠出制度に分類される制度の内容を理解できるようにするために、退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度について、「企業の採用する確定拠出制度の概要」及び「その他の事項」を注記事項として追加している(退職給付会計基準第32-2項)。
 これを受けて、リスク分担型企業年金は、確定拠出年金とは異なる特徴を有するため、本実務対応報告では、退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金に関する「企業の採用する確定拠出制度の概要」として、標準掛金相当額の他に、リスク対応掛金相当額があらかじめ規約に定められることや、毎事業年度におけるリスク分担型企業年金の財政状況に応じて給付額が増減し、年金に関する財政の均衡が図られること等を例示して注記を求めることとした。本実務対応報告の結論の背景には、リスク分担型企業年金は新たな企業年金であるため、現時点においては、当該制度の特徴について注記する一定の意義があると考えられるが、将来的に内容が周知された場合は、企業が簡略な記載に見直すことも考えられる旨が記載されている。
 定額又は給与に一定の率を乗じる方法等により算定される確定拠出年金における掛金は将来の拠出の総額が確定していない一方で、リスク対応掛金相当額は、制度の導入時に総額が算定され拠出の義務を負っており、確定拠出年金とは異なる特徴を有している。このため、将来キャッシュ・フローの金額及び将来の各期の損益への影響を財務諸表利用者が理解することができる情報を提供することを目的として、翌期以降に拠出することが要求されるリスク対応掛金相当額及び当該リスク対応掛金相当額の拠出に関する残存年数の注記を求めることとした。
 また、リスク対応掛金相当額は、あらかじめ定めた期間にわたって標準掛金相当額と併せて拠出され、当該リスク対応掛金相当額の拠出が完了すれば、それ以降は標準掛金相当額のみが拠出されるため、財務諸表利用者は、当該注記によって、将来キャッシュ・フローの変化を予測することもできると考えられる。

5 適用時期  リスク分担型企業年金は新たな企業年金であり、実際の運用が今後開始されること、また、本実務対応報告は、リスク分担型企業年金における退職給付会計に係る実務上の取扱いをより明確にするものであり、特段の周知期間は必要ないと考えられることから、本実務対応報告は、確定給付企業年金法施行令の一部を改正する政令(平成28年政令第375号)及び確定給付企業年金法施行規則等の一部を改正する省令(平成28年厚生労働省令第175号)の施行日である平成29年1月1日以後適用することとしている(本実務対応報告第13項)。

Ⅴ リスク分担型企業年金のIFRSにおける取扱い
 本実務対応報告の公開草案に対して、リスク分担型企業年金のIFRSにおける取扱いの明確化を求めるコメントが寄せられたことを踏まえ、ASBJのIFRS適用課題対応専門委員会(脚注7)において検討が行われた。IFRS適用課題対応専門委員会では、本件に関する要望書をIFRS解釈指針委員会に提出することの是非について検討が行われ、IFRS上の会計処理に関する事務局による論点の整理を踏まえ、本件に関する要望書をIFRS解釈指針委員会に提出しない結果となった。
 なお、平成28年12月に開催された第350回企業会計基準委員会において、IFRS上の会計処理に関する事務局による論点の整理も含め、IFRS適用課題対応専門委員会における検討状況が報告されている(脚注8)。

脚注
1 本実務対応報告の全文については、ASBJのウェブサイト(https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/taikyu2016/)を参照のこと。
2 本実務対応報告において、リスク分担型企業年金の会計処理及び開示を明らかにしたことに伴い、企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第1号「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」を併せて改正している。
3 リスク分担型企業年金の導入に関して、平成28年12月14日に「確定給付企業年金法施行令の一部を改正する政令」(平成28年政令第375号)等が公布され、平成29年1月1日に施行されている。
4 リスク分担型企業年金では、標準掛金額に相当する額、特別掛金額に相当する額及びリスク対応掛金額に相当する額を合算した額が掛金として規約に定められるため、本実務対応報告では、規約に定められる掛金の内訳として「標準掛金相当額」、「特別掛金相当額」及び「リスク対応掛金相当額」という用語を用いている。
5 標準掛金は、給付に要する費用に充てるため、事業主が将来にわたって平準的に拠出する掛金で、その算定基礎となる率(予定利率、予定死亡率、予定脱退率等)に基づき計算される。また、特別掛金は、年金財政計算における過去勤務債務の額に基づき計算される掛金である。
6 退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金への移行の会計処理で、未払金等として計上した特別掛金相当額は除く(後述3参照)。
7 IFRS適用課題対応専門委員会は、IFRS解釈指針委員会で議論されている内容について関係者の意見を聴取したうえで、国際的な意見発信に関する検討を行うことを目的としている。また、我が国におけるIFRS適用上の課題に関する議論を必要に応じて行うことを目的としている。
8 IFRS適用課題対応専門委員会における検討状況については、ASBJのウェブサイト(https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/technical_committees/ifrs_implementation/issues.shtml)を参照のこと。

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