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解説記事2017年06月05日 【新会計基準解説】 実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」について(2017年6月5日号・№693)

新会計基準解説
実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」について
 企業会計基準委員会 専門研究員 三宮朋広

Ⅰ はじめに

 企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成29年5月2日に、実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)を公表した(脚注1)。本稿では、本実務対応報告の概要を紹介する。なお、文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。

Ⅱ 公表の経緯
 「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)(以下「民間資金法」という。)が平成11年7月に制定され、PFI(Private Finance Initiative)事業の枠組みが設けられた。その後、平成23年に民間資金法が改正され、公共施設等運営権を民間事業者に設定する制度(以下「公共施設等運営権制度」という。)が新たに導入された(詳細は後述Ⅲ1参照)。
 上記を受けて、平成26年6月24日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2014」において、当該制度を活用する場合における事業環境を整備するために、会計上の処理方法の整理を行うこととされ、平成27年7月に開催された第24回基準諮問会議において、内閣府より、公共施設等運営権に係る会計上の取扱いについての検討が提案された。その後、基準諮問会議における審議の結果、平成27年11月に開催された第324回企業会計基準委員会において、基準諮問会議より、公共施設等運営権に係る会計上の取扱いについての検討を行うことが提言された。
 この提言を受けて、ASBJでは、平成27年12月より、公共施設等運営事業における運営権者の会計処理及び開示に関する検討を開始し、平成29年5月に本実務対応報告の公表に至ったものである。
 なお、本実務対応報告は、平成28年12月22日に公表した実務対応報告公開草案第48号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」に対して寄せられた意見を踏まえて検討を行い、公開草案の内容を一部修正した上で公表するに至ったものである。

Ⅲ 公共施設等運営事業の概要

1 公共施設等運営権制度の概要
 PFIとは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法であり、民間資金法に基づいて実施されている。民間資金法の対象である「公共施設等」としては、道路、空港、水道等の公共施設、庁舎等の公用施設、教育文化施設等の公益的施設等が示されている。
 民間資金法の平成23年改正で新たに導入された公共施設等運営権制度は、利用料金の徴収を行う公共施設等について、当該施設の管理者である各省各庁の長等(以下「管理者等」という。)が所有権を有したままで、当該施設の運営等(運営及び維持管理並びにこれらに関する企画をいい、国民に対するサービスの提供を含む。)を実施する権利を民間事業者に設定する制度である。
 公共施設等運営権制度のイメージは、図表1のとおりである。 


2 公共施設等運営権の法令上の取扱い  民間資金法では、公共施設等運営権が物権とみなされており(民間資金法第24条)、公共施設等運営権への抵当権の設定が可能である。また、権利の性質上、その行使には一定の制約を受けるため、分割又は併合が認められておらず、第三者へ移転する場合は、公共施設等の管理者等の許可を受けなければならない(民間資金法第26条)。
 なお、公共施設等運営権及び公共施設等運営権への抵当権の設定等は、登記に代わるものとして、公共施設等運営権登録簿に登録する必要がある(民間資金法第27条)。

3 更新投資の概要  運営権者は、管理者等が所有権を有する公共施設等の維持管理を行う義務があり、内閣府が定めた「公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン」(以下「運営権等ガイドライン」という。)では、運営権者が行う「維持管理」について、「新設又は施設等を全面除却し再整備するものを除く資本的支出又は修繕(いわゆる増築や大規模修繕も含む。)を指す」と記載されている。なお、更新投資の具体的な実施内容は、管理者等と運営権者との間で締結される実施契約等(民間資金法第22条第1項に規定する公共施設等運営権実施契約をいう。以下同じ。)に基づき定められる。

Ⅳ 本実務対応報告の概要

1 公共施設等運営権に関する会計処理
(1)公共施設等運営権の取得時の会計処理
 本実務対応報告における公共施設等運営権の取得時の会計処理は、図表2のとおりである。

【図表2】公共施設等運営権の取得時の会計処理
(a)運営権者は、公共施設等運営権を取得した時に、管理者等と運営権者との間で締結された実施契約において定められた運営権対価について、合理的に見積られた支出額の総額を無形固定資産として計上する(本実務対応報告第3項)。
(b)運営権対価を分割で支払う場合、資産及び負債の計上額は、運営権対価の支出額の総額の現在価値による(本実務対応報告第4項)。
(c)運営権対価の支出額の総額の現在価値の算定にあたっては、運営権者の契約不履行に係るリスクを割引率に反映させる(本実務対応報告第5項)。
 この会計処理の検討にあたり、公共施設等運営権の会計処理の単位については、公共施設等ごとに分割せずに、一括して会計処理を行うこととした上で、運営権対価の会計的性質について、「運営権者が一定の期間にわたり公共施設等を使用する権利の取得の対価と捉える考え」と「管理者等が所有権を有する公共施設等を毎期使用する役務提供に係る費用と捉える考え」の2つが検討された。この点、公共施設等運営権のみなし物権としての性質や、他の法律上のみなし物権(鉱業権やダム使用権など)の会計処理との整合性の観点から、運営権者が一定の期間にわたり公共施設等を使用する権利の取得の対価と捉えることとしている。
 なお、審議の過程では、実施契約において、運営権対価が固定額ではなく、将来の業績等の指標に連動する形式で定められる場合の会計上の取扱いが論点になった。本論点は、リース会計におけるいわゆる変動リース料の議論と類似しており、結論が一義的に決まるものではないが、次の理由により、運営権対価が固定額か、将来の業績等の指標に連動する形式で定められるかに関わらず、公共施設等運営権を取得した時に合理的に見積られた運営権対価の支出額の総額を無形固定資産として計上することとしている(脚注3)。
・運営権者は、一定の期間にわたり公共施設等を使用する権利を取得することに伴って、取得の対価を支払う義務を負っており、運営権対価が固定額であるか、全額が将来の業績等の指標に連動して定められるかによって、当該義務としての性質は異ならない。
・公共施設等運営権はみなし物権としての性質を有しており、運営権対価が固定額であるか、全額が将来の業績等の指標に連動して定められるかによって、資産及び負債の金額が大きく異なることは適切ではない。
・実施契約に規定された一定の算式に基づき運営権対価を算定することが管理者等と運営権者との間で合意されており、公共施設等運営権を取得した時に、登録免許税の課税標準として合理的な見積りが行われるため(脚注4)、運営権等ガイドラインにおいて、運営権対価は「実施契約において管理者等と運営権者が定めた価格であることから、その価格は一に定まる」ものであり、「固定価格と考えられる」と記載されている性質は変わらない。
(2)見積りの変更が生じた場合の取扱い  合理的に見積られた運営権対価の支出額に重要な見積りの変更が生じた場合、当該見積りの変更による差額は、図表2の(a)及び(b)に基づき計上した資産及び負債の額に加減することとしている(本実務対応報告第6項)。これは、一般的に、会計上の見積りの変更には、将来にわたり会計処理を行う方法が採用されている点を考慮したためであり、当該見積りの変更による差額を資産及び負債の額に加減し、減価償却を通じて残存耐用年数にわたって費用配分を行うこととしている。
(3)リース会計基準との関係  企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」(以下「リース会計基準」という。)におけるリース取引の定義(脚注5)を踏まえると、公共施設等運営権の取得がリース取引に該当する可能性があるため、本実務対応報告では、リース会計基準との関係について、図表3のとおり整理しており、検討の結果、公共施設等運営権の取得は、リース会計基準の適用範囲に含めないものとしている(本実務対応報告第7項)。

【図表3】リース会計基準との関係の整理
論  点 本実務対応報告における整理
リース会計基準との関係 ・管理者等は、公共施設等運営権の移転の許可、公共施設等運営権の取消し、公共施設等運営事業のモニタリングなどによって、公共施設等運営事業に引き続き強く関与するため、公共施設等運営事業は、管理者等による管理の下で行われ、運営権者が使用収益する権利に大きな制約があるという特徴がある。
・仮に公共施設等運営権の取得をリース会計基準の適用範囲に含める場合、公共施設等運営事業の対象とする個々の公共施設等を個別に管理するために、個々に金額(時価)を把握して会計処理するときには、公共施設等運営事業は複数の公共施設等が一体となって1つの事業を構成し、民間資金法上、公共施設等運営権の分割又は併合が認められていないという実態を必ずしも適切に表さない。

(4)公共施設等運営権の減価償却の方法及び耐用年数  本実務対応報告では、公共施設等運営権の減価償却の方法及び耐用年数について、図表4のとおり定めている。

【図表4】公共施設等運営権の減価償却の方法及び耐用年数
(a)無形固定資産に計上した公共施設等運営権は、原則として、運営権設定期間を耐用年数として、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分する(本実務対応報告第8項)。
(b)実施契約において、延長オプション(脚注6)が定められる場合、運営権者が当該条項を行使する意思が明らかな場合を除き、延長可能な期間は公共施設等運営権の耐用年数に含めない(脚注7)(本実務対応報告第9項)。
(5)公共施設等運営権の減損会計に関する取扱い  公共施設等運営権の減損損失の認識の判定及び測定における資産のグルーピングに関して、本実務対応報告の内容は、図表5のとおりである。

【図表5】公共施設等運営権の減損損失の認識の判定及び測定における資産のグルーピング(本実務対応報告第10項)
 公共施設等運営権は「固定資産の減損に係る会計基準」(以下「減損会計基準」という。)の対象となる。その適用に際して、減損損失の認識の判定及び測定において行われる資産のグルーピングは、原則として、実施契約に定められた公共施設等運営権の単位で行う。ただし、管理会計上の区分、投資の意思決定(資産の処分や事業の廃止に関する意思決定を含む。)を行う際の単位、継続的な収支の把握がなされている単位及び他の単位から生じるキャッシュ・インフローとの相互補完性を考慮し、公共施設等運営事業の対象とする公共施設等ごとに合理的な基準に基づき分割した公共施設等運営権の単位でグルーピングを行うことができる。
 減損損失の認識の判定及び測定において行われる資産のグルーピングは、減損会計基準及び企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(以下「減損適用指針」という。)に基づき行われるが、公共施設等運営事業では、公共施設等運営権の設定において複数の公共施設等が含まれることが想定されており、公共施設等運営権の分割は認められていないため、公共施設等運営権の移転時には、一括して移転することが要求されている。また、個々の公共施設等を処分する場合には、管理者等の承認が必要となる。
 上記の公共施設等運営事業の性質を考慮して、原則として、公共施設等運営権の単位でグルーピングを行うこととし、減損会計基準及び減損適用指針の取扱いに従い、公共施設等運営権ごとに適切に判断して、公共施設等運営事業の対象とする公共施設等ごとに合理的な基準に基づき分割した公共施設等運営権の単位でグルーピングを行うことも認めることを定めている。

2 更新投資に関する会計処理
(1)更新投資に係る資産及び負債の計上に関する会計処理
 更新投資は、公共施設等運営事業ごとに具体的な実施内容が様々であり、今後、新たな公共施設等運営事業の進展も見据えると、単一の会計処理を定めるのではなく、個々の公共施設等運営事業の性質に応じて、一定の基準に基づき更新投資に関する会計処理を使い分けることが適切であると考え、図表6の会計処理を定めている。
 なお、図表6の②に記載した区分に該当する場合、修繕費に該当する部分を資産及び負債として計上する範囲に含めるか否かが論点となった。

【図表6】更新投資に係る資産及び負債の会計処理
区  分 更新投資に係る資産及び負債の計上
 本実務対応報告第12項(2)以外の場合の、更新投資のうち資本的支出に該当する部分(所有権が管理者等に帰属するものに限る。)  更新投資を実施した時に、当該更新投資のうち資本的支出に該当する部分に関する支出額を資産として計上する(本実務対応報告第12項(1))。
 次のいずれの条件も満たす場合
・運営権者が公共施設等運営権を取得した時において、大半の更新投資の実施時期及び対象となる公共施設等の具体的な設備の内容が、管理者等から運営権者に対して実施契約等で提示されている。
・更新投資のうち資本的支出に該当する部分(所有権が管理者等に帰属するものに限る。)に関して、運営権設定期間にわたって支出すると見込まれる額の総額及び支出時期を合理的に見積ることができる。
 公共施設等運営権の取得時に、更新投資のうち資本的支出に該当する部分に関して、支出すると見込まれる額の総額の現在価値を負債として計上し、同額を資産として計上する(本実務対応報告第12項(2))。

 この点、一般的に、契約等によって解約不能な取引で将来の支払義務が存在する場合であっても、双務未履行のときは、契約締結時点で資産及び負債を計上する会計処理は行われていないが、更新投資のうち資本的支出に該当する部分は、運営権設定期間にわたる支払義務がある点に加え、公共施設等運営権と同様に、運営権設定期間にわたって費用配分すべきものと考えられるため、支出すると見込まれる額の総額の現在価値を負債として計上し、同額を資産として計上した上で、費用配分することとしている。
 一方、更新投資のうち修繕費に該当する部分は、運営権設定期間にわたる支払義務がある点は同様であるが、修繕費は原則として支出時に費用処理することが適切と考えられるため、資産及び負債を計上する必要性は乏しいと考えられるため、資産及び負債として計上する更新投資に関する支出額の総額は、資本的支出に該当する部分に限定することとしている。
(2)更新投資に係る資産の減価償却の方法及び耐用年数  更新投資に係る資産の減価償却の方法及び耐用年数については、図表7のとおり定めている。

【図表7】更新投資に係る資産の減価償却の方法及び耐用年数
(a)本実務対応報告第12項(1)(図表6の①)に基づき資産を計上する場合、当該更新投資を実施した時より、当該更新投資の経済的耐用年数(脚注8)にわたり、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価から残存価額を控除した額を各事業年度に配分する(本実務対応報告第15項(1))。
(b)本実務対応報告第12項(2)(図表6の②)に基づき資産を計上する場合、運営権設定期間を耐用年数として、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価から残存価額を控除した額を各事業年度に配分する(本実務対応報告第15項(2))。

3 開 示
(1)表 示
 本実務対応報告では、貸借対照表上の表示方法に関して図表8のとおり定めている。

【図表8】公共施設等運営権及び更新投資の貸借対照表上の表示方法
種 類 資産側 負債側
公共施設等運営権 公共施設等運営権は、無形固定資産の区分に、公共施設等運営権などその内容を示す科目をもって表示する(本実務対応報告第16項)。 運営権対価を分割で支払う場合に計上する負債は、貸借対照表日後1年以内に支払の期限が到来するものを流動負債の区分に、貸借対照表日後1年を超えて支払の期限が到来するものを固定負債の区分に、公共施設等運営権に係る負債などその内容を示す科目をもって表示する(本実務対応報告第18項)。
更新投資 更新投資に係る資産は、無形固定資産の区分にその内容を示す科目をもって表示する(本実務対応報告第17項)。 本実務対応報告第12項(2)(図表6 の②)に基づき計上した更新投資に係る負債は、貸借対照表日後1年以内に支払の期限が到来するものを流動負債の区分に、貸借対照表日後1 年を超えて支払の期限が到来するものを固定負債の区分にその内容を示す科目をもって表示する(本実務対応報告第19項)。

(2)注記事項  本実務対応報告では、運営権者は、原則として、図表9に記載した事項を公共施設等運営権ごとに注記することを定めている。ただし、同一の実施契約において複数の公共施設等運営権を対象とすることにより一体的な運営等を行う場合、または個々の公共施設等運営権の重要性は乏しいが、同一種類の複数の公共施設等運営権全体については重要性が乏しくない場合には、集約して注記することができる(本実務対応報告第20項)。

【図表9】注記事項
(a)運営権者が取得した公共施設等運営権の概要(公共施設等運営権の対象となる公共施設等の内容、実施契約に定められた運営権対価の支出方法、運営権設定期間、残存する運営権設定期間、プロフィットシェアリング条項の概要等)
(b)公共施設等運営権の減価償却の方法
(c)更新投資に係る事項
 i.主な更新投資の内容及び投資を予定している時期
 ii.運営権者が採用した更新投資に係る資産及び負債の計上方法
 iii.更新投資に係る資産の減価償却の方法
 iv.本実務対応報告第12項(1)(図表6の①)に基づき更新投資に係る資産を計上する場合、翌期以降に実施すると見込まれる更新投資のうち資本的支出に該当する部分について、合理的に見積ることが可能な部分の内容及びその金額
 図表9の注記事項のうち、(a)については、公共施設等運営権制度が平成23年に改正された民間資金法において新たに設けられたものであり、当該制度の特徴について注記する一定の意義があると考えられるため、当該注記を求めることとしている。
 更新投資については、個々の公共施設等運営事業の性質に応じて、更新投資に関する会計処理を区分することとしたため、財務諸表利用者が当該公共施設等運営事業における更新投資の内容を理解することができる情報を提供することを目的として、更新投資に係る事項として、(c)の運営権者が採用した更新投資に係る資産及び負債の計上方法等の注記を求めることとしている。
 また、本実務対応報告第12項(1)(図表6の①)に基づき更新投資に係る資産を計上する場合、更新投資を実施した時に更新投資に係る資産を計上するため、更新投資に係る将来キャッシュ・フローの金額を財務諸表利用者が理解することができる情報を提供することを目的として、翌期以降に実施すると見込まれる更新投資のうち資本的支出に該当する部分について、合理的に見積ることが可能な部分の内容及びその金額の注記を求めることとしている。

4 適用時期  公共施設等運営権制度は、平成23年に改正された民間資金法において新たに設けられたものであり、実際の運用が既に開始されていること、また、本実務対応報告は、公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に係る実務上の取扱いをより明確にするものであり、特段の周知期間が必要ないと考えられることから、平成29年5月31日以後終了する事業年度及び四半期会計期間から適用することとしている(本実務対応報告第21項)。また、特定の経過的な取扱いを定めずに、本実務対応報告を過去の期間のすべてに遡及適用することとしている。

脚注
1 本実務対応報告の全文については、ASBJのウェブサイト(https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/practical_solution/y2017/2017-0502.html)を参照のこと。
2 当該イメージは、第328回企業会計基準委員会(平成28年1月27日開催)の内閣府説明資料を一部加工したものである。
3 本件の議論においては、運営権対価に特有の性質に着目しており、一般的な変動リース料そのものの包括的な検討を行ったわけではないため、本実務対応報告は、リース取引に係る現行の取扱いに影響を与えるものではない旨が結論の背景に記載されている(本実務対応報告第34項)。
4 民間資金法第27条第1項、公共施設等運営権登録令第13条、公共施設等運営権登録令施行規則第16条第21号及び登録免許税法第10条第1項参照。
5 リース会計基準では、リース取引は「特定の物件の所有者たる貸手(レッサー)が、当該物件の借手(レッシー)に対し、合意された期間(リース期間)にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、合意された使用料(リース料)を貸手に支払う取引」と定義されている(リース会計基準第4項)。
6 延長オプションとは、公共施設等運営事業における確定した運営権設定期間に加えて、一定の条件の下で運営権設定期間を延長することができる条項で、実施契約に定めることができる。
7 企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」第11項(再リースの取扱い)を参照している。
8 当該更新投資に係る資産の経済的耐用年数が公共施設等運営権の残存する運営権設定期間を上回る場合は、当該残存する運営権設定期間を用いる。

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